車を運転するのに忙しくてガソリンスタンドに寄る暇もない、などということはありえない(スティーブン・R・コヴィー)。

「車を運転すること」と、

「ガソリンスタンドに寄ること」は、

同時に行うことができません。

 

どちらか一方だけになります。

 

「車を運転する」とき、

走りながら、

「ガソリンスタンドに寄る」ことを

できません。

 

「ガソリンスタンドに寄る」とき、

給油しながら、

車を走らせることを

できません。

 

「ガソリンスタンドに寄ること」で、

ガソリンを給油できます。

 

ガソリンを十分に給油できれば、

「車を運転すること」ができます。

 

普通、

このように切り離されています。

 

算数や数学の計算は、

実に面白いことに、

同時に

2つのことを行うことができます。

 

一定の時間続く集中力や

最後まで終わらせる意志の力を

育てることと、

8+6 のようなたし算を

数唱を指で数えて

50問100問と計算することが、

同時に行われます。

 

計算している子どもは、

8+6 を、

「はち」としてから、

「く、じゅう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし」と、

数唱を指で6回数えて、

答え14を計算していると思っています。

 

計算だけをしていると

思っています。

 

実は、

集中力を伸ばすことも、

最後まで終わらせる意志の力も、

同時に育てているのですが、

子どもは、

そのようなことも育てていると

少しも思ってはいません。

 

3+6 の計算で、

集中が切れて止まっていたら、

集中を戻す手伝いをします。

 

3+6 を離れて

計算をしていないとき、

集中力や意志の力が

育っているのではありません。

 

集中が切れて、

3+6 の計算から離れると。

計算が止まるだけではありません。

 

集中力や意志の力が育つことも

同時に止まります。

 

だから、

切れている集中を

手伝って戻します。

 

子どもの耳元で、

「さん」とヒソヒソ声で言ってから、

「し、ご、ろく、しち、はち、く」と、

子どもに見えるように、

こちらの指で6回数えて、

答え9を出します。

 

こうすると、

子どもは、

答え9を書いて、

3+6=9 とします。

 

答え9を書いたとき、

計算することに戻ります。

 

集中力を伸ばすことと、

最後まで終わらせる意志の力を、

育てる手助けをしていると

こちらは意識しています。

 

子どもは、

計算を手伝ってもらったと

思っています。

 

算数や数学の計算問題は、

車を運転し続けながら

ガソリンスタンドに寄っているような

奇妙なことを

同時にできてしまいます。