子どもは皆、「伸びたい!」と思っています。強くて臆病な気持ちです。

「この子、

伸びたいって思っているのだろうか?」と

疑いたくなる子です。

 

能面のように

表情がありません。

 

こちらの様子を探っています。

この子の内面が見えません。

 

子どもは皆、

「伸びたい!」と、

内面で強く思っています。

 

内面で思っているだけです。

言いません。

 

だから、

このような子も、

「伸びたい!」と

思っているはずなのです。

 

「伸びたい!」が

消えたのではなくて、

どこかにヒッソリと

隠れているはずです。

 

このように考えて、

この子の内面のどこかに隠れている

「伸びたい!」を探します。

 

目の前の子どもは、

すっかり自信を失っています。

 

自分で自分の

「伸びたい!」気持ちを

感じられなくなっています。

 

素直に伸びることがなくなって、

伸びることに対して

強い抵抗を感じます。

 

算数の勉強のどこかで、

とても嫌なことがあったのでしょうが、

たし算の指は取れています。

 

6+5 を見たら、答え11が、

4+9 を見たら、答え13が、

指で数えなくても、

勝手に浮かびます。

 

だから、

7+8 のようなたし算25問を、

繰り返し計算させることで、

30秒や20秒の速いスピードにまで、

短期間で育てることができます。

 

「伸びたい!」が

見えない子です。

計算のスピードを速めるリードをして

子どもの計算を手伝います。

 

6+8 の+を示して、

「14」と、答えを言います。

 

子どもが自然な速さで、

答え14を書き始めたら、

次の問題 4+6 の+を示して、

「10」と、答えを言います。

 

答え10を書き始めたら、

次の問題 9+5 の+を示して、

「14」と、答えを言います。

 

答え14を書き始めたら、

次の問題 7+5 の+を示して、

「12」と、答えを言います。

 

答え12を書き始めたら、

次の問題 8+8 の+を示して、

「16」と、答えを言います。

 

子どもが答を書き始めたら

次の問題に移るリードで、

計算のスピードを速めてしまいます。

 

ダラダラと言う九九の1つの段を、

繰り返し言わせることで、

6秒で言えるように育てます。

 

2の段を、

この子の速さで言わせると、

15秒くらいかかります。

 

「この速さ」と言ってから、

2の段を一息、

6秒を切る速さで

言ってみせます。

 

子どもはまねします。

九九を言うスピードが

速くなります。

 

子どもにストップウォッチを持たせて、

時間を測らせて、

「6秒で言ってごらん」と誘います。

 

こちらの様子を探る子です。

 

「伸びたい!」気持ちが見えなくなっていて、

どこかに隠れているだけと、

こちらが思っていることを

この子は、

正しく察知しています。

 

だから、

こちらのリードに素直に従って、

スピードを速めてくれます。

 

「伸びたい!」は

とても臆病です。

 

「こんなのもできないの……」

「いいかげんに分かって欲しい」

「何回、教えさせるの?」

「やっぱりダメね!」

……このような言葉に弱いのです。

 

だから、

こちらのリードに

かなりモタモタとしていても、

このような言葉を口にしません。

 

こうして、

この子のできる計算のスピードを

とても速くさせる行動で、

この子の内面の「伸びたい!」気持ちを、

この子が感じられるようにします。

 

たし算の計算スピードが、

25問を20~30秒になると、

内面の「伸びたい!」を

この子は少し感じます。

 

九九の1つの段が、

6秒を切る速さになると、

内面の「伸びたい!」を、

また少し感じます。

 

すでにできる計算ですが、

計算のスピードを速めることで、

「もっと速くしたい!」と、

子どもは思うようになって、

内面の「伸びたい!」を感じて、

計算のスピードがもっと速くなって、

伸びた状態に自力で育ちます。

 

子どもの奥深くに隠れていた

「伸びたい!」が

さらに現れます。

 

すると少し難しい問題を、

ほんの少しの手伝いだけで

自力で解けたりします。

 

「あっ、そうか!」と

分かるときがあります。

 

子どもはニッコリ、

周りを引き込むような

ほほえみになります。

 

赤ちゃんのような

ほほえみです。

 

子どもが、

自分の「伸びたい!」を

ハッキリと感じた瞬間です。

 

忘れていた感覚です。

久しぶりに感じます。

 

子どもが感じた「伸びたい!」気持ちを

大切にして

リードし続けます。

 

参照:

蔵一二三、「計算の教えない教え方 基本」(2017)。

アマゾン。

計算の教えない教え方 基本―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て