7+8 の問題を見ただけで、
答え15を浮かべてしまう力を持つことが、
暗算のたし算のゴールです。
たし算のゴールを
もう少しハッキリとさせます。
問題 7+8 を見ただけで
答え15が浮かぶ力ですが、
答えを浮かべる力そのものを
教えることができません。
「こうすれば、
問題を見ただけで
答えが浮かぶ」の
「こうすれば……」が
分からないからです。
こちらは問題 7+8 を見たら、
答え15が浮かぶのですが、
どのようにして答えを浮かべているのか、
分かりません。
「こうすれば……」を教えようとしても、
答えの浮かばせ方が分かりませんから、
教えようがないのです。
教えたくて
教えようとしても、
教えようがないのですから、
子どもが
自力でつかむしかない力です。
どのようにして答えを浮かばせているのか、
そうできている自分でも分からない
正体不明な不思議な力です。
子どもが
この不思議な力をつかめば、
答えが浮かぶようになります。
いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、……と
数を唱えることを、
そのままたし算にした 2+1 や 3+1 の
たし算の初歩の計算から、
計算の仕方を自分でつかむような
教え方をします。
2+1 や 3+1 のようなたし算の初歩から、
子どもが計算の仕方を
自力でつかむように教えます。
もちろん、
問題 2+1 を見ただけで、
答え3を浮かべる方法ではありません。
数を順に数える方法です。
言葉で教えることができます。
教えられた子どもは、
説明を理解できます。
「いち、に、さん、し、ご、ろく、……と言えます」、
「これを使うと計算できます」、
「2+1 ならば、こっちが“に”です」、
「“に”の次は、“さん”です」、
「この“さん”が答えですから、
わ(=)を書いて、
さん(3)と書きます」と、
言葉で説明すると、
子どもは理解できます。
たし算のゴールの
「問題を見ただけで
答えを浮かべる力」は
言葉で説明できませんから、
その手前のどこかで言葉の説明を
やめなければなりません。
やや非常識ですが、
たし算の初めから、
計算の仕方を
言葉で説明しません。
どこかで、
計算の仕方を
言葉で説明することをやめて、
不親切になるのですから、
初めから不親切に
言葉で説明しないようにします。
言葉で説明しないで、
子どもの目の前で、
計算の仕方を
使って見せます。
2+1 の2をペン先で示してから、
「に」と言います。
続いて、
1を示してから、
「さん」です。
「わ」で、
=を書かせてから、
「さん」と言います。
子どもが、
3を書くのを待ちます。
これだけのリードです。
不親切です。
不十分です。
子どもの目の前で
見せていますが、
計算しているだけです。
子どもは
計算の仕方を、
自分でつかむしかありません。
子どもに計算の仕方を見せながら、
こちらの言うことだけを
順に書きます。
「に」、
「さん」、
「わ」、
「さん」だけです。
これだけです。
子どもは
計算の仕方を
自分でつかむために、
「どうやっているのだろうか?」と
考え始めます。
続くたし算の問題、
5+1 に、「ご」、「ろく」、「わ」、「ろく」、
3+1 に、「さん」、「し」、「わ」、「し」、
1+1 に、「いち」、「に」、「わ」、「に」、
と、同じ計算の仕方を
使って見せます。
子どもが、
「あぁそうか!」と、
計算の仕方をつかむまで、
同じ計算を
使って見せます。
楽にスラスラできる
数字の読みと書き、
2回の数唱の力だけを使って、
2+1 や 3+1 を
計算しています。
だから子どもは、
計算の仕方を
自分でつかむことができます。
参照:
蔵一二三、「計算の教えない教え方 たし算ひき算」(2018)。
アマゾン。