コントロールの哲学は産業の時代に芽生えたもので、権力を握る人々の間でマネジメントに関する支配的な思考様式となっている(スティーブン・R・コヴィー)。

コントロールの考え方が、

どこにでもある社会通念になっています。

 

そうしていると意識することなく、

誰かをコントロールするか、

あるいは、

誰かにコントロールされています。

 

「言われたとおりにやれ」か、

「言われたとおりにやる」です。

 

産業の時代の企業活動の

マネジメントだけではなくて、

教育の世界にまで

コントロールの考え方が入り込んでいます。

 

時代は、

産業の時代から

知識時代へ入れ替わっています。

 

そうですが、

社会通念のような

考え方やものの見方は、

心に根強く残ってしまいます。

 

入れ替わるのが

遅れます。

 

知識時代にふさわしい教え方を

しようと思うのですが、

産業の時代のコントロールの考え方が

心に残っていて、

邪魔します。

 

3+1 のたし算を、

3を示して、「さん」と読み、

1を示して、「し」と言う教え方があります。

 

計算の仕方を言葉で説明しません。

計算してみせる教え方です。

 

同じように、

2+1 に、「に」、「さん」、

5+1 に、「ご」、「ろく」、

11+1 に、「じゅういち」、「じゅうに」と

計算します。

 

見ている子どもが、

「あぁ、そうか!」と

計算の仕方をつかむまで、

5問10問と計算します。

 

コントロールの考え方で教えると、

「言われたとおりにやれ」と思っていますから、

この計算の仕方で

子どもを支配してしまいます。

 

同じように計算することを、

子どもに押し付けてしまいます。

 

違う計算の仕方を

認めませんし、

許しません。

 

「そうではなくて、こう」や、

「違う」となります。

 

でも、

目の前の子どもたちが生きる時代は、

産業の時代の次の

知識時代です。

 

「言われたとおりにやる」では、

知識を生み出すことができません。

 

コントロールの考え方で、

「知識を出せ」や、

「アイデアを出せ」と指示されても、

出るものではありません。

 

「言われてもいないことをやる」で、

新しい何かを

生み出さなければならない時代です。

 

放任ではありませんが、

違っていることが認められる

おおらかな自由が必要です。

 

3+1 を計算してみせます。

「さん」、「し」と計算して

答え4を出します。

 

知識の時代に生きる子どもたちに、

「どのように計算しても構わない」、

「3+1 の答え4が出ればいい」、

「1つの手掛かりとして見本を見せるよ」、

「まねしてもいい」、

「別のやり方で計算してもいい」……

このように思って

計算してみせます。

 

同じであることを求められる

コントロールの考え方ではありません。

 

違っていることを認められる

おおらかさです。