6の段の九九を覚えようとしています。
練習すれば覚えることができます。
この子は、
2の段~5の段まで、
既に覚えています。
覚え方を知っています。
振り仮名の付いた九九のカードを
声に出して読みます。
「ろくいちがろく」、「ろくにじゅうに」、「ろくさんじゅうはち」、
「ろくしにじゅうし」、「ろくごさんじゅう」、「ろくろくさんじゅうろく」、
「ろくしちしじゅうに」、「ろくはしじゅうはち」、「ろっくごじゅうし」と
読みます。
しかも、
速く読むようにします。
速く読もうとすると、
集中が深くなります。
覚えやすくなります。
次に、
九九のカードを見ないで暗唱します。
「ろくし……」を思い出せなければ、
九九のカードを見ます。
そして、
「ろくしにじゅうし」と言うことで
覚えようとします。
1回暗唱したらまた、
早口で音読します。
そしてまた、
見ないで暗唱します。
思い出せない九九は、
九九のカードを見ます。
この繰り返しです。
九九のカードを
声に出して早口で読み、
見ないで言い、
思い出せなければ九九のカードを見て、
声に出して読み、
そしてまた、
九九のカードを早口で読むことを
同じように繰り返しても、
覚えてしまうまでの期間に、
個人差があります。
何が、
覚えるまでの期間に
個人差を生むのでしょうか?
同じ練習をしています。
覚え方の違いではありません。
覚えていない今、
「覚えてしまった自分」を、
心に感じているかどうかの違いです。
2の段~5の段まで、
既に覚えている子です。
「2の段を覚えてしまった自分」、
「3の段を覚えてしまった自分」、
「4の段を覚えてしまった自分」、
「5の段を覚えてしまった自分」は、
過去の自分です。
「覚えてしまった自分」を、
心に感じようと思えば、
感じることができます。
「ろくいちがろく」、「ろくにじゅうに」、「ろくさんじゅうはち」、
「ろくしにじゅうし」、「ろくごさんじゅう」、「ろくろくさんじゅうろく」、
「ろくしちしじゅうに」、「ろくはしじゅうはち」、「ろっくごじゅうし」と
九九のカードを音読するとき、
「6の段を覚えてしまった自分」を
心に感じて音読します。
速く読む練習をするとき、
「6の段を覚えてしまった自分」を
心に感じて速く読みます。
九九のカードを見ないで
暗唱するとき、
「6の段を覚えてしまった自分」を
心に感じて暗唱します。
暗唱しようとして思い出せない九九を、
九九のカードで見るとき、
「6の段を覚えてしまった自分」を
心に感じて九九のカードを見ます。
「6の段を覚えてしまった自分」を
心に感じて九九の練習をする子は、
6の段を短期間で覚えてしまいます。
そうですが、
言葉で教えることが難しい内容です。
6の段を練習しているこの子に、
「読んで!」や、
「もっと速く!」と、
こちらが促すとき、
「6の段を覚えてしまったこの子」のイメージを、
先に心に持ちます。
すると、
「読んで!」や、
「もっと速く!」を、
目の前の6の段を覚えている子ではなくて、
覚えてしまった子に話します。
子ども時代の不思議さですが、
「6の段を覚えてしまったこの子」のイメージを
こちらが心に持っていることに、
この子は気付きます。
そして、
同じようなイメージを感じ始めます。
参照:
蔵一二三、「計算の教えない教え方 かけ算わり算」(2018)。
アマゾン。
計算の教えない教え方 かけ算わり算―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て