「一歩進んで、これまでだれも考えたことのないものを生み出そうという人はいますか?」(レベッカ・ロバートソン)。

 {\Large\frac{38}{95}} の約分で、

「分かりません」と、

子どもが聞きます。

 

普通、

すぐに教えようとします。

 

この普通から、

一歩進みます。

あまり考えられないことです。

 

「分かりません」と言った子に、

「分かる!」と強く言い返します。

 

この強い言い方で、

「分からない」と決めている気持ちを、

「分かる」に入れ替えさせようとします。

 

叱るのではありません。

責めるのでもありません。

 

「分からない」の気持ちの子に、

何かを教えても、

なかなか「分かる」になりにくいから、

先に気持ちを

「分かる」に入れ替えてしまいます。

 

「分かる!」と強く言い返して、

うまくいくこともあれば、

そうでないときもあります。

 

「分からない」と決めた気持ちは、

思っている以上に強くて、

「分かる」に入れ替わらないことがあります。

 

さらに一歩進みます。

ほとんど考えられることのないことです。

 

「どこ?」と聞き返します。

 

 {\Large\frac{38}{95}} の約分で、

「分からない」と聞きにきた子は、

「どこ?」と聞き返されて、

戸惑います。

 

「分からない」と言えば、

教えてもらえると思っていますし、

普通、教えてもらえます。

 

「分かる!」と強く言い返される驚きよりも、

「どこ?」と聞かれることは、

少しも思っていないことです。

 

「どこ?」に答えたくても、

答えようがなくて、

驚いた表情の顔のまま

何も言えなくなります。

 

ですから、

こちらは

重ねて聞き返します。

 

「上?」、

「下?」と、聞き返します。

 

子どもは答えるしかなくなりますから、

「上」とか言います。

 

こうなったら、

「何で割れる?」と続けることができます。

 

38が、2で割れると、

子どもはすぐに気付きますから、

「2で割れる」と答えてくれます。

 

「割ると?」で促しますと、

「19」と答えてくれます。

 

ここまできたら、

2×19 と余白に書いて、

下(分母)の95を示して、

「2で割れる?」と聞きます。

 

「割れません」と子どもが答えますから、

「19で割る」と教えます。

 

「分からない」と聞いたこの子に、

実に多くのできることがあります。

 

しかも、

すぐに気付くできることです。

 

そのできることに気付いて、

そして、

やってしまうことを、

このようなリードで教えています。

 

これで、

19で約分できると分かりましたから、

 {\Large\frac{2}{5}} と計算できます。

 

「分からない」の気持ちのまま、

「どこ?」とリードして、

できることがあることを知らせて、

それをさせてしまいます。