目の前の子どもの悪さを見ません。とてもいいときの子どもを想像して、心に映します。

目の前の子どもが、

「少しも集中できていない」や、

「ボ~ッとしてなかなか計算しない」

ときがあります。

 

3+6 や 8+6 のたし算を、

指で数えて計算する子です。

 

3+6 の3を「さん」と読んでから、

「し、ご、ろく、しち、はち、く」と、

指で6回数えて、

答え9を出します。

 

8+6 でしたら、

「はち」に続いて、

「く、じゅう、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし」です。

答え14が出ます。

 

指で数えることに慣れています。

 

ですがこのところ、

集中が切れやすくて、

ボ~ッとする時間も長くなり、

なかなか計算に戻りません。

 

このようなとき、

「集中が切れている」や、

「しばらくボ~ッとしている」と、

見えているままを、

心に映すのが普通です。

 

そして、

心に映った子に教えます。

 

だから、

「切れている集中」や、

「しばらく続くボ~ッ」の悪さを

直そうとします。

 

計算が止まったままの 2+6 の

計算に戻すことよりも、

この子の悪い状態を正そうとして、

アレコレと非難がましいことを

言ってしまいます。

 

こちらの心に映っている子は、

計算している子ではなくて、

集中が切れて、

ボ~ッとしたままの子だからです。

 

あまり聞くことがないでしょうが、

違うやり方があります。

 

別のときの子を、

心に想像して映します。

 

「集中して、指で数えて計算している」

子どもの姿を想像して、

心に映します。

 

目の前の今ではありませんが、

集中して計算しているときもあります。

そのときの姿を心に思い返します。

 

そして、

心に映したこの子をリードします。

 

「集中して、計算している子」を

心に映して見ていますから、

とても暖かな雰囲気のリードになります。

 

2+6 の2を示して、

「に」と読みます。

 

続いて、

子どもに見えるように、

「さん、し、ご、ろく、しち、はち」と、

指を折りながら数えます。

 

子ども自身、

集中が切れて、

ボ~ッとしたまであることに気付いています。

計算しなければと思っています。

 

暖かな雰囲気で優しく、

しかし、テキパキと速いスピードで

リードされますから、

子どもはこちらが計算した答え8を、

とても自然に書いてしまいます。

 

参照:

蔵一二三、「計算の教えない教え方 基本」(2017)。

アマゾン。

計算の教えない教え方 基本―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て