筆算のかけ算に繰り上がりのたし算が出ます。九九とたし算の違う計算をします。戸惑います。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 97 \\ \times \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array} }}\\ のような筆算のかけ算に、

繰り上がりのたし算が出ます。

 

4×7=28 の2が繰り上がり数です。

この2を、4×9=36 に足します。

36+2 の繰り上がりのたし算です。

 

九九もたし算も、

楽にスラスラとできます。

 

でも、

難しさを感じて戸惑います。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 48 \\ +\: 54 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算の

繰り上がりのたし算と比べて、

筆算のかけ算の繰り上がりのたし算に、

強い難しさを感じます。

 

既に、

筆算のたし算に出てくる

繰り上がりのたし算には慣れています。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 48 \\ +\: 54 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算の

繰り上がりのたし算は、

8+4=12、4+5=9 の

2回のたし算の後です。

9+1=10 のたし算です。

 

2回のたし算の後の

繰り上がりのたし算です。

 

同じ計算のたし算が、

1回増えるだけです。

 

しかも、筆算のたし算の繰り上がり数は、

いつも1です。

 

繰り上がりがあれば、

繰り上がり数は、いつも1です。

 

筆算のたし算の繰り上がりのたし算は、

1を足すたし算です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 97 \\ \times \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array} }}\\ のような筆算のかけ算の

繰り上がりのたし算は、

4×7=28、4×9=36 の

2回の九九の後です。

 

36+2=38 のたし算です。

九九ではありません。

 

2回の九九の後の繰り上がりのたし算です。

 

たし算は、

九九(かけ算)と違う種類の計算です。

 

九九の後のたし算に慣れるまで、

子どもは難しさを感じて、

戸惑います。

 

それだけではなくて、

繰り上がり数が、

1(2×5=10 など)から、

8(9×9=81)まで、

変わります。

 

いつも1を足すだけの

筆算のたし算の繰り上がりのたし算と違います。

 

たし算だけを計算するのでしたら、

36+2 を見ただけで、

答え38が頭に浮かびます。

楽にできる計算です。

 

でも、筆算のかけ算の九九の後に、

36+2 を計算すると、

難しくなります。

 

九九からたし算に

頭を切り替えます。

 

その後で、

繰り上がりのたし算 36+2 を計算します。

 

しかも、繰り上がり数は、

1から8まで変わります。

 

繰り上がり数を覚えるだけでも

大変な努力が必要です。

 

このように、

子どものしていることの難しさを、

詳しく理解します。

 

そして、

筆算のかけ算の

繰り上がりのたし算に慣れるまで、

繰り上がり数を指に取らせるようにします。

 

鉛筆を持っていない手の指を

伸ばさせます。

 

こうすることで、

1から8まで変わる繰り上がり数を

覚える大変さを軽くします。

 

そして、九九からたし算に

切り替えることに集中させます。

 

1(2×5=10 など)から、

5(6×9=54 など)までは、

指を1本から5本伸ばさせます。

 

6(7×9=63 など)は指を1本、

7(8×9=72 など)は指を2本、

8(9×9=81)は指を3本と決めれば、

片手で1から8までの繰り上がり数を区別できます。

 

「たし算でしょ!」や、

「楽にできるでしょ!」と、

繰り上がりのたし算で戸惑う子どもを

焦らせません。

 

「難しいのになぁ」や、

「分かってほしいな」と、

子どもに嫌がられます。

 

筆算のかけ算の繰り上がりのたし算は、

難しいのです。

とても難しいのです。

 

それでも、

難しさを乗り越えようとしている子どもを

そのまま受け入れます。

 

難しさから逃げることもあります。

 

子どもが逃げたことを受け入れます。

そして、

こちらが計算をリードして計算します。

 

こうすると、

子どもは計算に戻ります。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 97 \\ \times \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array} }}\\ で逃げたら、

逃げたままの子に、

「ししち(4×7)?」と計算をリードします。

 

答え28が出なければ、

こちらが、「にじゅうはち(28)」です。

 

続けて、「指、に(2)」で、

繰り上がり数2を指に取らせます。

 

さらに続けて、

「しく(4×9)?」です。

 

答えが出なければ、こちらが、

「さんじゅうろく(36)」と答えを出します。

 

そして、「に(2)、足すと?」とリードします。

このように、逃げたままの子に計算をリードしていきます。

 

参照:

蔵一二三、「計算の教えない教え方 かけ算わり算」(2018)。

アマゾン。

計算の教えない教え方 かけ算わり算―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て