長い計算手順の途中で集中が切れるとミスを生みます。このミスを正すことで長い集中時間を育てます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\:\:\times \: 96 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×2けたの筆算のかけ算は、

長い計算手順で計算します。

 

この長い計算手順を眺めます。

 

まず、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\:\:\times \: 96 \\ \hline \end{array} }}\\

一部分  {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:\:\:\:\: 6 \\ \hline \end{array} }}\\ です。

 

① 6×3=18。

② 8を書いて、繰り上がり数1を覚える。

③ 6×5=30。

④ 30+1=31(繰り上がりのたし算)。

⑤ 31を書く。

 

ここまでの計算で、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:96 \\ \hline  318 \end{array} }}\\ と計算できます。

 

続いて、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\:\:\times \: 96 \\ \hline \end{array} }}\\

一部分  {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \: 9 \:\:\:\:\\ \hline \end{array} }}\\ です。

 

⑥ 9×3=27。

⑦ 7を、318の1の真下に書いて、繰り上がり数2を覚える。

⑧ 9×5=45。

⑨ 45+2=47(繰り上がりのたし算)。

⑩ 47を書く。

 

ここまでの計算で、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \: 96 \\ \hline  318 \\ 477\:\:\:\:\\\end{array} }}\\ になります。

 

続いて、たし算  {\normalsize { \begin{array}{rr} 318 \\ \: 477\:\:\:\: \\ \hline \end{array} }} \\ です。

 

⑪ 477の下に、横線を引く。

⑫ 318の8を、下に移す。

⑬ 1+7=8。

⑭ 8を書く。

⑮ 3+7=10。

⑯ 0を書いて、繰り上がり数1を覚える。

⑰ 4+1=5(繰り上がりのたし算)。

⑱ 5を書く。

 

ここまでの計算で、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \: 96 \\ \hline  318 \\ 477\:\:\:\:\\\hline \:5088\end{array} }}\\ になります。

答えが出ます。

とても長い計算手順です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:\:\:\:\: 6 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×1けたの筆算のかけ算で、

長い計算手順を知っています。

 

そうですが、

ここまで長い計算手順は初めてです。

 

計算手順の長さを比べるために、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:\:\:\:\: 6 \\ \hline \end{array} }}\\ の手順を眺めます。

 

① 6×3=18。

② 8を書いて、繰り上がり数1を覚える。

③ 6×5=30。

④ 30+1=31(繰り上がりのたし算)。

⑤ 31を書く。

 

計算が終わり、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:\:\:\:\: 6 \\ \hline  318 \end{array} }}\\答えが出ます。

 

この2けた×1けたのかけ算の5つの計算手順と比べます。

2けた×2けたのかけ算の18の計算手順の長さが分かります。

 

とても長い計算手順です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\:\:\times \: 96 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×2けたの

筆算のかけ算の長い計算手順を、

正しい順で計算できても、

長い計算手順のどこか1カ所でも計算を間違えると、

×バツ になります。

 

九九のウッカリミスや、

繰り上がりのたし算のウッカリミスや、

繰り上がり数の覚え間違いや、

答えの書き間違いなどです。

さまざまな間違いが起こります。

 

自力で正そうとして、

計算し直します。

 

集中して計算し直します。

集中が続けば、

長い計算手順のどこかでしている計算のミスを

正すことができます。

 

でも、集中が切れたとき、

そこの計算でミスをして、

また ×バツ になったりします。

 

ここまでの長い計算手順になると、

集中が続かなくて、

集中が切れたときに、新たなミスが出るものです。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:\:\:\:\: 6 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×1けたのかけ算は、

5つの計算手順の長さ分だけ、

集中が続けば正しく計算できます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\:\:\times \: 96 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×2けたのかけ算は、

18もの長い計算手順の間、

集中を保たなければなりません。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\times \:\:\:\:\: 6 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×1けたのかけ算の3倍もの長さで、

集中を保たなければなりません。

 

計算手順がとても長いだけに、

集中を保ちにくくなります。

 

ここまでの長い計算手順は、

集中を長く保つ練習になっています。

 

集中が切れたとき、

ミスが出ます。

 

ミスを正すことで、

より長い集中を保つ練習になります。

 

だから、ミスは長い集中を保つ練習です。

 

ミスを嫌がって、「どうして?」ではなくて、

「ミスしたのだ」と受け入れます。

 

そして、ミスしたから、

集中を長く保つ練習ができると思います。

 

すると、少しずつ集中を保つ時間が長くなって、

ミスをしないようになります。

 

「答えが出るまで、とても長くなっています」、

「集中したまま計算する時間を長くします」、

「学ぶのは、計算だけではありません」、

「集中して計算する時間を長くすることも学びます」のように、

言葉で子どもに教えません。

 

「集中したまま」や「長い集中時間」と言葉で教えられても、

理解できません。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 53 \\ \:\:\:\times \: 96 \\ \hline \end{array} }}\\ のような計算手順の長い計算のミスを、

こちらがリードして計算し直すことで正します。

 

やや早口で、

次々に速いスピードで計算し直します。

 

速いスピードの計算し直しについてくる子どもは、

自然に長い集中を保ちます。

 

そうとは気付かないまま、

子どもは長い集中を保つ練習をしています。

 

(×÷023)