その時その場で「立ち上がる」だけで、マイナスの気持ちを断ち切れます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 23 \\ \:\times \:20 \\ \hline  460 \end{array} }}\\ のような筆算のかけ算の見本を見て、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\:\:\times \: 20 \\ \hline \end{array} }}\\ をまねして同じように計算します。

 

非常識ですが、説明しません。

見てまねさせます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 23 \\ \:\times \:20 \\ \hline  460 \end{array} }}\\ を見て、まねして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\:\:\times \: 20 \\ \hline \end{array} }}\\ を計算して」と誘います。

 

同じように計算すると、 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\times \:20 \\ \hline  620 \end{array} }}\\ です。

1行です。

 

この子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\:\:\times \: 47 \\ \hline \end{array} }}\\ のような2けた×2けたの筆算のかけ算を計算できます。

 

計算すると  {\normalsize { \begin{array}{rr} 32 \\ \:\times \: 47 \\ \hline  224 \\ 128\:\:\:\:\\\hline \:1504\end{array} }}\\ です。

 

ですから、見本  {\normalsize { \begin{array}{rr} 23 \\ \:\times \:20 \\ \hline  460 \end{array} }}\\ をまねしなくても、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\:\:\times \: 20 \\ \hline \end{array} }}\\ を2けた×2けたの筆算として、

計算できます。

 

計算すると  {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\times \: 20 \\ \hline  \:\:00 \\ \:\:62\:\:\:\:\\\hline \:\:\:620\end{array} }}\\ です。

 

正しく計算できていますが、

見本をまねする計算ではありません。

 

再度、「これ(  {\normalsize { \begin{array}{rr} 23 \\ \:\times \:20 \\ \hline  460 \end{array} }}\\ )を見て、

もう一度まねしてごらん」と誘います。

 

「1行で」と教えません。

でも、1行で計算するように誘います。

 

しばらくすると、

涙がポトリと落ちました。

 

声を立てないで、

静かに泣いています。

 

「できない」のようなマイナスの感情に

押しつぶされています。

 

感情を入れないで淡々と、

「立って」と言って、

子どもを立たせてしまいます。

 

立つことは、

その時その場で

すぐに簡単にできる動作です。

 

「できない」のような

強いマイナスの感情のままであっても、

立つことならばできます。

 

目の前の計算と無関係です。

 

「えっ、何?」と感じながら、

子どもはユックリと立ち上がります。

 

教えてもらえると期待していた子どもが、

「立って」と言われたのです。

 

思いもしていないことです。

 

でも、立ち上がることで、

体を動かします。

 

「えっ、何?」と感じる意外性と、

体を動かすことが、

マイナスの感情にとらわれている気持ちを

中断させます。

 

こちらは、泣いていることを気にしません。

できないことを受け入れます。

 

何もなかったように、

しかし突然、

ただ「立って」と言うだけです。

 

そして立たせたまま、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\:\:\times \: 20 \\ \hline \end{array} }}\\ をこちらがリードして計算し直します。

 

「このれい(0)、ここ」で、

20の0を下に動かします。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\times \:20 \\ \hline  \:\:\:\:0 \end{array} }}\\ です。

 

「立って」で立たせました。

子どもには意外なことでした。

 

だから、「できない」とのマイナスの気持ちで

静かに泣いていた子どもの気持ちを、

立った瞬間に中断できました。

 

こちらのリードを受け入れる準備が、

子どもにできました。

 

「このれい(0)、ここ」に続いて、

20の2と、31の1をこの順に示しながら、

「にいちがに(2×1=2)」です。

 

そうして、20の2の真下を示して、

「ここ、に(2)」です。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\times \:20 \\ \hline  \:\:20 \end{array} }}\\ となります。

 

最後に、

20の2と、31の3をこの順に示しながら、

「にさんがろく(2×3=6)」です。

そして、×の真下を示して、

「ここ、ろく(6)」です。

 

見本  {\normalsize { \begin{array}{rr} 23 \\ \:\times \:20 \\ \hline  460 \end{array} }}\\ の計算の仕方を説明しません。

いきなり  {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\:\:\times \: 20 \\ \hline \end{array} }}\\ の計算をリードします。

 

見本  {\normalsize { \begin{array}{rr} 23 \\ \:\times \:20 \\ \hline  460 \end{array} }}\\ を見て、

まねして計算することを、

問題  {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\:\:\times \: 20 \\ \hline \end{array} }}\\ の計算でリードします。

 

式と答えを書くところだけを、

次々にリードして教えます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 31 \\ \:\times \:20 \\ \hline  620 \end{array} }}\\ と計算し終わります。

 

静かに泣いている子に、

「立って」とリードすることから始めて、

計算し直してしまいます。

 

(×÷026)