たし算の指が取れて、しばらくたってから、指が取れるまでの学びを思い出させます。

6+5 の6を「ろく」と黙読して、

「しち、はち、く、じゅう、じゅういち」と

指で数えて、

答え11を出していると、

やがて、6+5 を見たら、

答え11が頭に浮かぶようになり、

指で数えなくなります。

 

そして、

〇+〇 の問題を見たら、

どの問題にも、答えが浮かぶようになって、

指を使うことがなくなります。

 

このようなたし算の答えを浮かべる感覚を、

無意識に自然に使うようになった子に、

いくつか聞いてみます。

 

聞く直前に、

6+8、4+6、9+5、7+5、8+8、

4+8、6+5、7+9、8+5、4+4、

5+7、8+7、9+6、4+7、5+6、

8+4、7+7、5+4、8+6、7+8、

5+5、7+6、9+8、7+4、6+7、の

たし算を25問計算させます。

 

ストップウォッチで時間を測り、

できるだけ速く計算させます。

 

その後で、

次のような5つの質問をします。

 

① どのように計算した?

 

② いつ頃、今のような計算ができるようになった?

 

③ どのような練習をした?

 

④ 今、どのような集中で計算した?

 

⑤ 今のような計算ができるようになるまで、

先生は、どのようなことを教えてくれた?

 

質問に答える子どもに、

「自分がつかんだのだ」と

気付いてもらえることを期待しています。

 

6+5 を見たら、

答え11が浮かぶ感覚ですから、

11をどのように計算したのかを

答えられません。

 

言葉で説明できない、

正体のハッキリとしない、

不思議な方法で計算していることに

気付いてもらえれば、

教えられた知識で計算していないことが、

何となく分かるはずです。

 

「いつ頃、このような感覚を持ったのか」や、

「どのような練習をしたのか」を、

ハッキリと答えられないはずです。

 

指で数えていたことくらいは、

覚えているでしょう。

 

25問のたし算を計算しているときの

自分の集中のレベルは、

この質問で何を聞かれているのかも

子どもには分かりにくいはずです。

 

指で数えていたときよりも

問題を見たら答えが浮かぶ今の方が、

集中は深くて

長く持続しているのですが、

自分の集中のレベルを

意識したことはないのが普通です。

 

でも、

25問のたし算を

できるだけ速く計算しようとして、

夢中になって計算していたことくらいは

思い出せるはずです。

 

先生の役割になると、

???状態です。

 

何を聞かれているのか、

サッパリ分からないはずです。

 

ここから先、

15-7 のようなひき算や、

12÷3 のようなわり算で、

答えを出すたし算とは違う種類の

感覚をつかみます。

 

計算そのものではなくて、

計算を学ぶ自分のことを、

ボンヤリとでも意識するようになれば、

学び方が真剣になります。

 

「自分がつかんだのだ」は、

学ぶ自分のことです。

 

たし算やひき算の計算のことではありません。

ボンヤリとでも学ぶ自分を意識するようになり、

感覚をつかむ学びが加速します。

 

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