高校数学の計算には、目的があります。先に目的を意識することで、計算の仕方が変わります。

 

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}\;\;\;\,}{{z^{2}-(x+y)^{2}\;\;\;\,}}} を、

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}\;\,}}{{(x+y)^{2}-z^{2}\;\,}}} と書き換えてから

因数分解する子がいます。

 

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}\;\;\;\,}{{z^{2}-(x+y)^{2}\;\;\;\,}}} を、

そのまま因数分解する子もいます

 

どちらの子も、因数分解しています。

同じような計算をしています。

 

因数分解を計算する力は、

どちらの子も高くて、

そして同じレベルです。

 

少し複雑な式{x^{2}-(y+z)^{2}}

因数分解することができます。

 

それなのに、

解き方が少し違います。

 

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}}{{(x+y)^{2}-z^{2}}}} と書き換える子は、

因数分解の目的を約分することと、

ハッキリ意識しています。

 

だから、

因数分解した後の因数を、

見比べやすいように、

「x→y→z」の順に書き換えています。

 

この子の解き方で、

因数分解します。

 

すると、

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}}{{(x+y)^{2}-z^{2}}}}=- {\Large\frac{(x+y+z)(x-y-z)}{(x+y+z)(x+y-z)}} です。

 

分母と分子に、

(x+y+z) があります。

約分できます。

 

約分すると、

 {\Large\frac{(x-y-z)}{(x+y-z)}} です。

 

因数分解する目的を、

約分するためと理解して、

「x→y→z」の順に書き換えてから、

因数分解しています。

楽に約分できます。

 

計算の目的を考えないで、

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}\;\;\;\,}{{z^{2}-(x+y)^{2}\;\;\;\,}}} を、

そのまま因数分解してみます

 

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}\;\;\;\,}{{z^{2}-(x+y)^{2}\;\;\;\,}}} {\Large\frac{(x+y+z)(x-y-z)}{(z+x+y)(z-x-y)}} です。

 

約分が、

少し難しくなります。

 

さて、

因数分解する目的を、

少しも考えないのは今です。

 

因数分解する目的を、

先に考える子に変わるのも、

実は、同じ今です。

 

だから、この子に、

説明抜きで、

 {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}\;\;\;\,}{{z^{2}-(x+y)^{2}\;\;\;\,}}}=- {\Large\frac{{x^{2}-(y+z)^{2}}}{{(x+y)^{2}-z^{2}}}} と、

こちらが書き換えてしまいます。

 

こうするだけでこの子は、

「どうして書き換えたの?」と

自分に問います。

 

そして、

因数分解したとき、

約分が楽になることに気付きます。

 

「なるほど、約分するための因数分解だ」と、

因数分解する目的を理解します。

 

(基本  {\normalsize {α}} -126)、(分数  {\normalsize {α}} -035)