筆算のかけ算は、九九に続いて、繰り上がりのたし算を計算します。九九を計算する感覚から、たし算を計算する感覚への切り替えは、慣れが必要です。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ の筆算のかけ算は、

8×7=56 と、

8×6=48 と、

48+5=53 を、

この順に計算します。

 

そして、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:536\end{array}  }}\\ のように、答えを書きます。

 

このように計算できる理屈があります。

 

でも、

とても長い話です。

 

しかも、

書く位置(位)で、

数を書く書き方(位取り記数法)のままでは、

筆算の計算の仕方の理屈を説明しにくいので、

数の書き方を変えます。

 

長くて、

難しさを感じさせる話になります。

 

長さや、難しさを承知で、

できるだけシンプルに話してみます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ は、

67×8= を、

筆算の形に書いています。

 

67 を、

6×10+7 と書くことで、

6 が十の位で、

7 が一の位であることをハッキリとさせます。

 

すると、

67×8=

(6×10+7)×8= です。

 

6 は十の位、

7 は一の位のように、

数の位がハッキリとした式です。

 

つまり、

6 が十の位で、

7 が一の位であることが、

式から分かります。

 

それぞれの数の位のハッキリしている

(6×10+7)×8= を計算します。

 

×8 の 8 を、

(6×10+7) の 6 と、7 に掛けます。

 

(6×8)×10+7×8= と計算できます。

 

それぞれの数の位が、

ハッキリしています。

 

6×8 は、十の位の九九、

7×8 は、一の位の九九です。

 

そして、

九九を計算します。

 

7×8=56 と、

6×8=48 ですから、

(6×8)×10+7×8=

(48)×10+56 と変わります。

 

(48)×10+56 は、

48 が十の位、

56 が一の位の

とても奇妙な式です。

 

ここで、

67 を、

6×10+7 と書き替えたように、

九九の答え 56 と、48 も、

それぞれの数の位をハッキリとさせます。

 

すると、

56=5×10+6 や、

48=4×10+8 になります。

 

それぞれの数の位が、

これでハッキリとします。

 

こうすれば、

(6×8)×10+7×8=

(48)×10+56=

(4×10+8)×10+5×10+6 です。

 

これを計算すると、

4×10×10+8×10+5×10+6 です。

 

この式の 4×10×10 は、

百の位です。

 

また、

8×10+5×10 と、

十の位の数が、8 と 5 の2つあります。

 

1つにまとめます。

 

実は、

筆算のかけ算の計算の

繰り上がりのたし算 48+5 の

8+5 です。

 

8×10+5×10=

(8+5)×10=

(13)×10 です。

 

この 13 を、

1×10+3 と書き替えれば、

それぞれの数の位がハッキリとします。

 

(13)×10=

(1×10+3)×10

1×10×10+3×10 です。

 

とても長い話ですが、

もう少し続きます。

 

かけ算 67×8= の答え、

4×10×10+8×10+5×10+6 の

8×10+5×10 が、

1×10×10+3×10 に変わります。

 

まとめて書くと、

67×8=

4×10×10+8×10+5×10+6=

4×10×10+1×10×10+3×10+6 です。

 

百の位の数が、

4 と、1 の2つですから、

やはり、まとめます。

 

このまとめる計算は、

筆算のかけ算の計算の

繰り上がりのたし算 48+5 の

たし算の繰り上がり計算です。

 

4+1=5 ですから、

5×10×10+3×10+6 です。

 

普通の書き方に変えて、

536 です。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ の筆算のかけ算の

計算の仕方の理屈を説明すると、

このように長い話になります。

 

さて、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算で、

戸惑う子が多いのですが、

2回の九九 8×7 と 8×6 の後、

繰り上がりのたし算 48+5 の

たし算への切り替えが難しいからです。

 

筆算の計算の仕方の理屈を知らないから、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような計算で、

戸惑うのではありません。

 

たし算だけであれば、

48+5=53 と、

すぐ計算できる子です。

 

でも、

2回の九九 8×7 と 8×6 の後、

48+5 を計算しようとして、

たし算の計算に頭を切り替えることが、

難しいのです。

 

この子は、

九九も、

たし算も、

問題を見たら、

答えが浮かぶ感覚を持っています。

 

ですが、

九九の感覚と、

たし算の感覚は、

違う種類の感覚です。

 

2回の九九 8×7 と 8×6 は、

九九の感覚で、答えが浮かびます。

 

続く、

たし算 48+5 は、

九九の感覚を、

たし算の感覚に入れ替えてから、

答え 53 が浮かびます。

 

計算の感覚を

切り替えることが難しいのです。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算を、

繰り返し計算すれば、

2回の九九を計算する感覚を、

たし算を計算する感覚に切り替えることを、

繰り返し練習できます。

 

繰り返し練習すれば、

2回の九九を計算する感覚を、

たし算を計算する感覚に切り替える能力が

必ず育ちます。

 

すると、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  67 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算を、

スラスラと計算できるようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -244)、(×÷  {\normalsize {α}} -059)