使える力だけで計算する工夫の仕方を、こちらのリードで、子どもは体験します。さまざまな工夫の仕方を体験することで、子ども自身でも工夫するように育ちます。

使える力だけを使って計算できることを、

さまざまな計算を体験することで、

子どもは少しずつ理解します。

 

いくつかの計算の体験の段階を、

トビトビで紹介します。

 

初めて 5+1= のようなたし算を計算する子に、

こちらの計算を実況中継して見せます。

 

5+1= の 5 を示して、

「ご」と声に出して読みます。

 

続いて、

1 を示して、

「ろく」と声に出して数えます。

 

そして、

5+1= の = の右を示して、

「ろく(6)」です。

 

見て聞いていた子は、

5+1=6 と書きます。

 

1、2、3、4、5、・・と順に唱えることと、

5 を見て、「ご」と読むことと、

「ろく」の音から、6 を書くことだけで、

5+1=6 と計算しています。

 

使える力だけを使って計算しています。

 

ですが、

子どもは、計算に夢中で、

使える力だけを使っていることを

ほとんど意識していません。

 

初めて 15-9= のようなひき算を計算する子に、

こちらの計算を実況中継して見せます。

 

15-9= の = の右を示して、

「ろく(6)」です。

 

見て聞いていた子が、

15-9=6 と書いたら、

9 と、6 と、15 を順に示しながら、

「く足すろく、じゅうご(9+6=15)」です。

 

「9 に何かを足して、15 にする何か?」で、

15-9= の答え 6 を探しています。

 

9 に何かを足すたし算でしたら、

答えがすぐに、

心に浮かぶ子です。

 

この力を使って、

少し試すだけで、

すぐ、6 を足せば、

15 になることが見つかります。

 

使える力だけを使って計算しています。

 

ですが、子どもは、

アレコレと試すことに夢中で、

使える力だけを使っていることを

ほとんど意識していません。

 

初めて  {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算を計算する子に、

こちらの計算を実況中継して見せます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ の 2 と 1 を隠して、

「8+5=13」と計算してから、

5 の真下を示して、

「ここ、3」、

「指、1」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:3\end{array} }} \\ と書いて、

指を 1 本伸ばします。

 

続いて、

2 と、1 を順に示しながら、

「2+1=3」と計算してから、

子どもが指に取っている 1 を触って、

「1、増えて、4」として、

1 の真下を示して、

「ここ、4」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 28 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:43\end{array} }} \\ と書きます。

 

8+5= や、

2+1= を計算できます。

1 を指に取ることができます。

 

使える力だけを使って計算しています。

 

ですが、子どもは、

筆算の計算に夢中で、

使える力だけを使っていることにまで、

気が回りません。

 

初めて  {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算を計算する子に、

こちらの計算を実況中継して見せます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ の 8 と 4 をこの順に示しながら、

「8×4=32」と計算して、

8 の真下を示して、

「ここ、2」、

「指、3」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ と書いて、

指を 3 本伸ばします。

 

続いて、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ の 8 と 3 をこの順に示しながら、

「8×3=24」と計算して、

子どもが指に取っている 3 を触って、

「3、足して、27」と計算して、

3 の真下を示して、

「ここ、27」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:272\end{array}  }}\\ と書きます。

 

九九 8×4=32 や、

8×3=24 を計算できます。

24+3=27 も計算できます。

 

使える力だけを使って計算しています。

 

このような計算にまで進むと、

子どもは何となくですが、

使える力だけを使っていることに、

気が付き始めます。

 

初めて 12÷3= のようなわり算を計算する子に、

こちらの計算を実況中継して見せます。

 

12÷3= の 3 を、示した後、

12 を、示したままで、

「さんいちがさん」、

「さんにがろく」、

「さざんがく」、

「さんしじゅうに」、

「じゅうに(12)になった」と、

3 の段の九九を声に出して唱えてから、

= の右を示して、

「さんしじゅうにの、し(4)」です。

 

見て聞いていた子は、

12÷3=4 と書きます。

 

3 の段の九九を、

12÷3= の 12 を見たまま、

3×1=3 から順に唱えることができます。

 

九九の答えと、

12÷3= の 12 を、

見比べることができます。

 

使える力だけを使って計算しています。

 

このレベルくらいまで計算が進むと、

子どもは何となくですが、

使える力だけを使うことに、

自分が挑戦してみたい気になります。

 

そして、

もう少し先まで計算を進めることで、

使える力だけを使うことに挑戦したい子どもの気持ちが、

大きく強く育つのを待ちます。

 

こうなった後、

仮分数を帯分数に変換する計算で、

見本を見てまねさせることで、

使える力だけを使うことに挑戦させます。

 

 {\Large\frac{12}{3}}=4 を見本にします。

 

この見本を見てまねさせて、

 {\Large\frac{18}{6}}= を計算させます。

 

使える力だけを使う計算です。

 

使える力の工夫を、

自分が考え出します。

 

そして、

18÷6=3 と、

わり算を使って、

 {\Large\frac{18}{6}}=3 と計算します。

 

こうなると、

子どもが、

見本を見てまねして計算することで、

使える力だけを使って計算する工夫を、

自力でしたことになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -277)、(+-  {\normalsize {α}} -178)、

(×÷  {\normalsize {α}} -066)、(分数  {\normalsize {α}} -086