11+2= のようなたし算を、
子どもの計算力だけを使って、
こちらが、計算して見せます。
11+2= の十の位の 1 を隠して、
〇1+2= のように見えるようにして、
「いち足すに、さん(1+2=3)」、
隠していた 1 を見せて、
「じゅうさん(13)」です。
見て聞いていた子は、
自分ができる計算だけですから、
11+2=13 と書きます。
でも、
ほんのチョット、戸惑います。
11+2=13 と書く前に、
一瞬ですが、
止まるのです。
たし算の感覚を持っていますから、
1+2= の答え 3 が、
問題を見ただけで浮かびます。
1+2= だけを見たときの話です。
11+2= を見てしまってから、
1 を隠されて、
〇1+2= のように見せられても、
11+2= の印象が残っていますから、
〇1+2= から、
1+2= が見えないのです。
だから、
11+2=13 と書く前に、
「自分の知っている 1+2= なのかな?」で、
一瞬止まり、
ためらいながら書きます。
1+2=3 に、
十の位の 1 を付けて、
13 にすることへの戸惑いではなくて、
11+2= の印象が残っていて、
〇1+2= から、
1+2= を抜き出して見ることに、
戸惑っています。
この「戸惑い」や、
「ためらい」は、
子ども自身のことです。
抜け出るのも子ども自身です。
こちらは、
子どもの「戸惑い」や「ためらい」を、
「そうなっている」と見るだけです。
そして、
子どもが抜け出ることができるように、
抜け出る手助けをします。
手助けはシンプルで、
同じような計算を、
次々に、実況中継で見せるだけです。
子どもが、
「分かった」、
「もういい」となるまで、
繰り返し見せます。
12+8= の 1 を隠して、
〇2+8= として、
「に足すはち、じゅう(2+8=10)」、
1 を見せて、
「にじゅう(20)」です。
子どもは、
ためらいながらも、
12+8=20 と書きます。
13+7= の 1 を隠して、
〇3+7= として、
「さん足すしち、じゅう(3+7=10)」、
1 を見せて、
「にじゅう(20)」です。
子どもはまだ、
ためらいながらも、
13+7=20 と書きます。
19+2= の 1 を隠して、
〇9+2= として、
「く足すに、じゅういち(9+2=11)」、
1 を見せて、
「にじゅういち(21)」です。
子どもは、
少し慣れてきて、
19+2=21 と書きます。
18+3= の 1 を隠して、
〇8+3= として、
「はち足すさん、じゅういち(8+3=11)」、
1 を見せて、
「にじゅういち(21)」です。
子どもは、
18+3=21 と書きます。
19+3= の 1 を隠して、
〇9+3= として、
「く足すさん、じゅうに(9+3=12)」、
1 を見せて、
「にじゅうに(22)」です。
子どもは、
19+3=22 と書きます。
25+5= の 2 を隠して、
〇5+5= として、
「ご足すご、じゅう(5+5=10)」、
2 を見せて、
「さんじゅう(30)」です。
子どもは、
25+5=30 と書きます。
ここまでのどこかで、
子どもは、
「戸惑い」や「ためらい」から抜け出て、
「分かった。もういい」となり、
計算の仕方をつかみます。
2 けたの数を足すたし算も、
同じように計算できます。
子どもの計算力だけを使って、
こちらが計算する実況中継も、
同じように見せます。
9+11= の 1 を隠して、
9+〇1= として、
「く足すいち、じゅう(9+1=10)」、
1 を見せて、
「にじゅう(20)」です。
子どもは、
違いに戸惑いながらも、
9+11=20 と書きます。
4+17= の 1 を隠して、
4+〇7= として、
「し足すしち、じゅういち(4+7=11)」、
1 を見せて、
「にじゅういち(21)」です。
子どもは、
4+17=21 と書きます。
4+18= の 1 を隠して、
4+〇8= として、
「し足すはち、じゅうに(4+8=12)」、
1 を見せて、
「にじゅうに(22)」です。
子どもは、
4+18=22 と書きます。
戸惑いから突き抜けた子どもは、
12+8= の中の 2+8= や、
4+18= の中の 4+8= が、
見えるようになります。
(基本 -297)、(+- -192)