中学数学の根号(ルート)のやや複雑な計算をしている子は、小学校算数の簡単な分数の計算を思い出せなくなることがあります。無言で、式を書くだけの教え方が、子どもの頭を刺激します。

{\Large\frac{\sqrt{16}}{\sqrt{4}}}= を、

正しく計算できる子です。

 

この子は、

まず、

分子と、分母に

別々に付いている \sqrt{\:\:\:\:} を、

1 つにまとめます。

 

{\Large\frac{\sqrt{16}}{\sqrt{4}}}\sqrt{{\Large\frac{16}{4}}}= です。

 

続いて、

\sqrt{\:\:\:\:} の中の分数 {\Large\frac{16}{4}} を、

整数 4 に変えます。

 

計算は、

16÷4=4 です。

 

\sqrt{\:\:\:\:} の中の計算ですから、

答え 4 を、

\sqrt{\:\:\:\:} の中に書きます。

 

\sqrt{{\Large\frac{16}{4}}}\sqrt{4}= です。

 

そして、

4= {\normalsize {2^{2}}} ですから、

\sqrt{4} の約束(定義)の「2 乗して 4 になる数」は、

2 です。

 

\sqrt{4}=2 です。

 

これだけ複雑な中学数学の根号(ルート)の計算を、

自力で計算するのですから、

それ以前に習ったさまざまな計算の中から、

必要な計算を選び出して、

組み合わせて行います。

 

まず、

問題 {\Large\frac{\sqrt{16}}{\sqrt{4}}}= を見るとき、

数字を見えているのに見ない視線で、

{\Large\frac{\sqrt{\:\:\:\:}}{\sqrt{\:\:\:\:}}}= を見ます。

 

分子と、分母それぞれに、

\sqrt{\:\:\:\:} のある分数の形です。

 

そして、

1 つの根号(ルート)にまとめることができますから、

{\Large\frac{\sqrt{\:\:\:\:}}{\sqrt{\:\:\:\:}}}\sqrt{{\Large\frac{\:\:\:\:}{\:\:\:\:}}} と、

\sqrt{\:\:\:\:} を 1 つにすると決めます。

 

それから、

\sqrt{\:\:\:\:} の中の数だけを見ます。

 

つまり、

{\Large\frac{\sqrt{16}}{\sqrt{4}}}\sqrt{{\Large\frac{16}{4}}}= の数だけを見ます。

 

こうすると、

\sqrt{{\Large\frac{16}{4}}}= の分数 {\Large\frac{16}{4}} だけが見えます。

 

ここで、

小学校算数の分数の初歩で習った

仮分数を整数に変える計算、

つまり、

分子を分母で割るわり算を

自分の頭の中から探し出します。

 

自分の頭の中からの

発見です。

 

理詰めで探すのではなくて、

「この計算だ!」と、思い付くのです。

 

そして、

16÷4=4 と計算して、

この答え 4 を、

\sqrt{\:\:\:\:} の中に入れます。

 

それが、

\sqrt{{\Large\frac{16}{4}}}\sqrt{4}= です。

 

続いて、

根号(ルート)の約束を、

頭の中から探し出して、

\sqrt{4}= の 4 から、

2 乗して、4 になる数を見つけます。

 

 {\normalsize {2^{2}}}=4 をすぐに思い付きますから、

\sqrt{4}=2 と計算できます。

 

子どもが、

自分の頭の中から探し出す計算は、

根号(ルート)に関することがほとんどですが、

それでも、

仮分数を整数に変える計算のように、

小学校算数で習った計算も、

探し出さなければなりません。

 

これだけの複雑な計算を自力でできるこの子が、

\sqrt{8}÷\sqrt{2}= は、何?」と聞きます。

 

こちらは、

「同じ問題でしょ!」と、

心の中で、とても意外に感じます。

 

でも、

この子には、

{\Large\frac{\sqrt{16}}{\sqrt{4}}}= と、

\sqrt{8}÷\sqrt{2}= は、

違う計算に見えています。

 

しかも、

\sqrt{8}÷\sqrt{2}= は、

自分にはできない計算です。

 

だから、

\sqrt{8}÷\sqrt{2}= は、何?」と聞いています。

 

もちろんこの子も、

\sqrt{8}÷\sqrt{2}= は、何?」と聞く前に、

頭の中から計算を探し出そうとしています。

 

が、

探し出す範囲が、

根号(ルート)の周りに狭くなっているようです。

 

その上、

小学校算数の分数の計算でも、

2÷3={\Large\frac{2}{3}} は、

印象が薄くて、

自分の頭の中に入っている計算ですけれども、

探し出しにくくなっています。

 

だから、

無言で、

{\Large\frac{\sqrt{8}}{\sqrt{2}}} と、

子どもが見ている前で書きます。

 

これで子どもは、

「あっ・・」となります。

 

自分の頭の中から、

同じような計算の仕方を見つけたようです。

 

実は、

無言で、

{\Large\frac{\sqrt{8}}{\sqrt{2}}} と、書くだけの教え方は、

この子の頭の中の、

2÷3={\Large\frac{2}{3}} のような計算に、

スポットライトを当てるような教え方です。

 

さて、

子どもが自力で、

\sqrt{8}÷\sqrt{2}\sqrt{8÷2} と書いていたら、

「どうして?」と、

子どもの考えを聞いておきます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -375)、(分数  {\normalsize {α}} -136)