すでにできるようになった計算を利用して、その先の計算をできるようにします。でも、すでにできるようになった計算が、その先の計算を混乱させて、邪魔することもあります。子どもから聞かれた計算を、完成させる手伝いを続けます。

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}}{\Large\frac{\sqrt{6}}{3}}

{\Large\frac{2\sqrt{24}}{24}}{\Large\frac{\sqrt{6}}{3}}= と計算しています。

 

続きの計算で迷っているようです。

この子から聞かれます。

 

この子は、

\sqrt{2} や、\sqrt{3} を、

「つかんだ!」となる手前を、

ウロウロしています。

 

(\sqrt{2})^{2}=2 や、

(\sqrt{3})^{2}=3 のように、

2 乗すると、

見慣れた数 2 や 3 になるのですから、

\sqrt{2} や、\sqrt{3} も、

数だと、

この計算を通して理解しています。

 

また、

1.4<\sqrt{2}<1.5 や、

1.7<\sqrt{3}<1.8 と、

大体の大きさを知っていますから、

やはり、

この計算を通して、

\sqrt{2} や、\sqrt{3} が、

数であることを理解できています。

 

でも、

\sqrt{2}+5\sqrt{2}=9\sqrt{2} として、

\sqrt{2}+5\sqrt{3} は、このままです。

 

文字 a 、b の計算で、

4a+5a=9a として、

4a+5b は、このままに似ています。

 

このような捉えどころのなさに、

「つかんだ!」となれないままです。

 

さて、

算数や数学の計算では、

すでにできるようになった計算を利用して、

その先の計算をできるようにします。

 

でも、

すでにできるようになった計算が、

その先の計算を

混乱させて、

邪魔することもあります。

 

この子の今の状態です。

知っていることに、

邪魔されています。

 

「つかんだ!」となれない不安定さが、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}} に、

{\Large\frac{\sqrt{8}}{\sqrt{8}}} を掛けて、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}}×{\Large\frac{\sqrt{8}}{\sqrt{8}}}

{\Large\frac{2\sqrt{3}\sqrt{8}}{3(\sqrt{8})^{2}}}

{\Large\frac{2\sqrt{3×8}}{3×8}} のようにしてから、

{\Large\frac{2\sqrt{24}}{24}} と計算させています。

 

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}} の分母から、

根号(ルート)が消えています。

分母の有理化になっています。

 

しかも、

計算自体にミスはないのですが、

「つかんだ!」になり切れない弱さが出ています。

 

「つかんだ!」となることができるのは、

子ども本人だけです。

こちらが何かを教えることで、

そのようにさせることはできません。

 

ですが、

「つかんだ!」のキッカケになることを願って、

望ましい計算(分母の有理化)を教えます。

 

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}} の分母の

\sqrt{8}\sqrt{8} は、

無理数(ルート)のように見えますが、

実は、

\sqrt{8}\sqrt{4×2}\sqrt{4}\sqrt{2}=2\sqrt{2} です。

 

だから、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}} の分母の

\sqrt{8}\sqrt{8} を、

\sqrt{2} に置き換えると、

\sqrt{8}=3×2\sqrt{2}=6\sqrt{2} です。

 

これから、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}}{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3×2\sqrt{2}}}{\Large\frac{2\sqrt{3}}{6\sqrt{2}}} となります。

 

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{6\sqrt{2}}} の一部分 {\Large\frac{2}{6}} を、

普通に約分して、{\Large\frac{1}{3}} ですから、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{6\sqrt{2}}}{\Large\frac{\sqrt{3}}{3\sqrt{2}}} です。

 

このような計算で、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}} を、

{\Large\frac{\sqrt{3}}{3\sqrt{2}}} に変えるのが、

望ましい計算です。

 

そして、

この {\Large\frac{\sqrt{3}}{3\sqrt{2}}} の分母の \sqrt{2} を、

有理化します。

 

{\Large\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}} を掛けて、

{\Large\frac{\sqrt{3}}{3\sqrt{2}}}×{\Large\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}}}

{\Large\frac{\sqrt{3}\sqrt{2}}{3(\sqrt{2})^{2}}}

{\Large\frac{\sqrt{3×2}}{3×2}}

{\Large\frac{\sqrt{6}}{6}} と計算できます。

 

こうすれば、

{\Large\frac{2\sqrt{3}}{3\sqrt{8}}}{\Large\frac{\sqrt{6}}{3}}= は、

{\Large\frac{2\sqrt{24}}{24}}{\Large\frac{\sqrt{6}}{3}}= ではなくて、

{\Large\frac{\sqrt{6}}{6}}{\Large\frac{\sqrt{6}}{3}}= です。

 

ここまで教えれば、

{\Large\frac{\sqrt{6}}{6}}{\Large\frac{\sqrt{6}}{3}}

{\Large\frac{1}{6}}\sqrt{6}{\Large\frac{1}{3}}\sqrt{6}= と子どもは理解できます。

 

そして、

{\Large\frac{1}{6}}\sqrt{6}{\Large\frac{1}{3}}\sqrt{6}

{\Large\frac{1}{6}}\sqrt{6}{\Large\frac{2}{6}}\sqrt{6}

{\Large\frac{3}{6}}\sqrt{6}

{\Large\frac{1}{2}}\sqrt{6} と、自力で計算できます。

 

これで、

また一歩、

「つかんだ!」に近付きます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -386)、(分数  {\normalsize {α}} -145)