正負の数の累乗が、計算の一部分になっていると、- の個数を数えて、答えの符号を決めるとき、式の形を正確に見ることができない子がいます。

 {\normalsize {(-2)^{3}÷(-2)=+〇}}

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=+〇}}

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=+〇}}

のような符号の決め方をしています。

 

見えている - の個数は、

すべて 2 個ですから、

答えの符号を、+ に決めています。

 

 {\normalsize {(-2)^{3}÷(-2)=+〇}} の +は、

正しくて、

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=+〇}} と、

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=+〇}} の +は、

間違えています。

 

 

さて、この子は、

正負の数のかけ算や、わり算は、

- の個数を数えて、

2 や、4 や、6 のような偶数であれば、

答えの符号は、+ に、

1 や、3 や、5 のように奇数であれば、

答えの符号は、- になることを知っています。

 

しかも、

先に符号を決めてから計算する習慣が、

身に付いています。

 

ただ、

式の形を正確に見ることが、

一時的に乱れています。

 

計算式がシンプルでしたら、

 {\normalsize {(-2)^{3}=-〇}} や、

 {\normalsize {(-2)^{2}=+〇}} や、

 {\normalsize {(-2)^{4}=+〇}} のように、

正しく符号を決めることができます。

 

少し複雑な式になって、

 {\normalsize {(-2)^{3}÷(-2)=}} や、

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=}} や、

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=}} は、

 {\normalsize {(-2)^{3}}} や、

 {\normalsize {(-2)^{2}}} や、

 {\normalsize {(-2)^{4}}} が、

計算式の一部分になっているだけなのですが、

式の形を正確に見ることができなくなります。

 

 

でも、

算数や、数学の計算では、

こういうことがよく起こります。

 

その一つの例です。

 

8+4= や、

4+5= の指が取れて、

問題を見たら、

答え 12 や、9 が出るようになってから、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 48 \\ +\: 54 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算に

進んだ子にある一時的な混乱です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 48 \\ +\: 54 \\ \hline \end{array} }} \\ の 1 番目の計算、

8+4= を、

指で、9、10、11、12 と

数えたりします。

 

「指が取れていたはずなのに・・」、

ではありません。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 48 \\ +\: 54 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算の

一部分  {\normalsize { \begin{array}{rr}\:\:8 \\ +\:\:\: 4 \\ \hline \end{array} }} \\ だけを見て、

手順のある計算に慣れるまでの混乱です。

 

一時的に、

たし算 8+4= や、4+5= の計算力の

レベルが悪くなって、

指で数えているだけなのです。

 

 

さて、

このたし算で起こったことと、

同じようなことが、

 {\normalsize {(-2)^{3}÷(-2)=}} や、

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=}} や、

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=}} の一部分に、

 {\normalsize {(-2)^{3}}} や、 {\normalsize {(-2)^{2}}} や、 {\normalsize {(-2)^{4}}} が、

含まれている計算に起こっています。

 

正しくできるようになる前の

式の形を正確に見ることの混乱です。

 

子ども自身も、

自分が混乱していることを知っています。

 

「式の形を正しく見抜くことが、

できるような、できないような」混乱が、

今の状態だと感じています。

 

そして、

式の形を正しく見抜けるようになりたいと、

ボンヤリと望んでいます。

 

だから、

子どもの書いている符号を、

そのまま残して、

間違っていれば、

書き直すようにリードします。

 

答えの符号を正しく決めることで、

式の形を正確に見抜く手伝いです。

 

こちらが、

何を見て、

どうしているのかを実況中継すれば、

式の見方を手伝うことができます。

 

 {\normalsize {(-2)^{3}÷(-2)=+〇}}

 {\normalsize {(-2)^{3}}} の - を示して、

「マイナス」、

右肩の 3 を示して、

「3 個」、

 {\normalsize {÷(-2)=}} の - を示して、

「4 個、プラス」、

=+〇 の + を示して、

「合っている」です。

 

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=+〇}}

 {\normalsize {(-2)^{2}}} の - を示して、

「マイナス」、

右肩の 2 を示して、

「2 個」、

 {\normalsize {÷(-2)=}} の - を示して、

「3 個、マイナス」、

=+〇 の + を示して、

「ここ、マイナス」です。

 

子どもは、

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=+〇}} を、

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=-〇}} と書き直します。

 

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=+〇}}

 {\normalsize {(-2)^{4}}} の - を示して、

「マイナス」、

右肩の 4 を示して、

「4 個」、

 {\normalsize {÷(-2)=}} の - を示して、

「5 個、マイナス」、

=+〇 の + を示して、

「ここ、マイナス」です。

 

子どもは、

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=+〇}} を、

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=-〇}} と書き直します。

 

このリードで、

子どもは、

 {\normalsize {(-2)^{3}÷(-2)=}} や、

 {\normalsize {(-2)^{2}÷(-2)=}} や、

 {\normalsize {(-2)^{4}÷(-2)=}} の式の形を、

正確に見抜くようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -452)、(分数  {\normalsize {α}} -181)