分数の約分は、
上(分子)と下(分母)を、
同じ数で割って、
簡単にするだけのことです。
「簡単にする」のような
曖昧な言い方をすることが多いのですが、
「これ以上、約分できない」、
つまり、
既約分数にするのが約分です。
ルールは、
とてもシンプルですから、
約分ゲームのようにできます。
このような約分で、
子どもが感じる難しさは、
2 つです。
割る数(約数)を自分で見つけることと、
これ以上は約分できなくなったと、
自分で判断することです。
実は、
約数を見つけることも、
既約分数(これ以上は約分できなくなった)と
判断することも、
感覚です。
このような約分の感覚は、
7+6= を見たら、
答え 13 を出すたし算の感覚や、
28÷4= を見たら、
答え 7 を出すわり算の感覚と同じように、
繰り返し計算することにウンザリしていても
計算を続けて、その結果、
持つことができる感覚です。
ですから、
計算をしないで、
言葉で説明されて、
持つことはできません。
でも、
約数を見つける感覚を持つ前であっても、
約数を見つけて、
約分できるようにしないと。
感覚を持つために、
繰り返し計算すること自体をできません。
ですから、
約数を見つける感覚を持つ前の子に、
割る数(約数)を見つける
シンプルな方法を教えます。
5 つの割る数(約数)の候補を持たせるだけの
シンプルな方法です。
その 5 つの数は、
2 と、3 と、5 と、7 と、11 です。
約数のリストです。
このリストの使い方も、
シンプルです。
まず、2 で割れるか確かめます。
ダメであれば、
3 を確かめます。
これもダメであれば、
5 を確かめて・・です。
約数を出す感覚は、
1 回で約分できる数を出す感覚です。
2 と、3 と、5 と、7 と、11 の
5 つの数を利用する約分は、
1 回で約分できることもあれば、
2 回、3 回と約分するときもあります。
この 5 つの数 :
2 と、3 と、5 と、7 と、11 では、
約分できなくて、
13 や、17 や、19 を
確かめなければならないこともあります。
以下は、
2 と、3 と、5 と、7 と、11 の
約数のリストの使い方の例です。
例えば、
= の約分です。
上(分子) 36 は、
リスト : 2 、3 、5 、7 、11 の
最初の数 2 で割れます。
同じ数 2 で、
下(分母) 48 も割れますから、
2 は、
= の約数です。
2 で割ります。
=
です。
1 回、
わり算を計算したために、
これを答えにする子がいます。
こういう子に、
=
の 「
=」 を隠して、
だけが見えるようにしてから、
「2 で割る」と教えます。
「2 で割る」と教えられても、
この子は、計算を終えていますから、
何を言われているのか
分からないことがあります。
このような子に、
もう一度、
「2 で割る」と教えると、
だらしのない子を育ててしまいますから、
計算をリードするようにします。
「教えたことを聞いていたの?」のような
ネガティブな気持ちを、
持たないように自制して、
淡々と、
「上、18÷2=9」、
「下、24÷2=12」です。
このようにリードされると、
子どもは素直に、
=
=
と書きます。
1 回で終わったと思っていた約分を、
もう 1 回行って、
2 回、約分の計算をしています。
だから、
これが答えと思うようです。
こういう子に、
さらに、教えます。
=
=
の 「
=
=」 を隠して、
だけが見えるようにしてから、
「3 で割る」と教えます。
先ほどと違って、
「えっ、そうなの!」、
「まだ約分できるの・・」、
「3 で割るらしい・・」と理解してくれます。
そうすると子どもは、
9÷3=3 、
12÷3=4 と計算して、
=
=
=
と書きます。
こうなった後、
これ以上約分できないことを
確かめます。
の上(分子) 3 を示して、
「3 で割れる」、
下(分母) 4 を示して、
「3 で割れない」、
「これ以上、約分できない」です。
このように教えて、
これ以上、約分できないことの
確かめ方を教えます。
こうして、
リスト : 2 、3 、5 、7 、11 の使い方と、
これ以上約分できないことの確かめ方を
子どもに教えます。
子どもが、
自力で約分できるようになるまで、
3 問や、5 問と教えます。
自力で約分できるように育てたら、
繰り返し約分を計算させます。
そして、
ウンザリとしても、
約分の計算を続けさせると、
約数を出す感覚と、
既約分数になったと判断する感覚を、
子どもは持ちます。
こうなると、
= を見たら、
約数 12 を感覚で出して、
1 回の計算で、
=
と約分して、
が既約分数であることを、
感覚的に判断しています。
(基本 -469)、(分数
-192)