不等式の計算は、方程式の計算に似ています。不等式の答えの出し方だけを教えます。子どもが、方程式と同じような解き方だと気付きます。もちろん、負の数の乗除を知ることで、違いを理解するでしょうが・・。

不等式の計算が

初めての子です。

 

7x+4=4x+6 や、

5x=3x+12 や、

3x+12-5x=0 や、

5-3x-7x+3=0 のような方程式を、

楽にスラスラと

解くことができる子です。

 

例えば、

7x+4=4x+6 でしたら、

「 x を左、数字を右」と、

式を見て先に決めてから解きます。

 

解くと、

7x-4x=6-4 、

3x=2 、x= {\Large\frac{2}{3}} です。

 

 

このような計算力のある子に、

計算の仕方が、

= と似ている > を計算させます。

 

いきなり解かせるような

かなり大きな冒険をさせます。

 

x>5 、x+1>□

不等式の計算です。

 

x>5 と分かっていて、

x+1>□□ を求めます。

 

前もって何も教えません。

自力で計算させます。

大きな冒険です。

 

 

この子が、

不等号 > を、

等号 = に置き換えるアイデアを持てば、

しかも、

試してみる勇気があれば、

x>5 を、

x=5 と書き替えます。

 

すると、

x+1>□ は、

x+1=□ から、

1 を足して、

x+1=5+1=6 と計算できます。

 

このような思い付きを得ることと、

それを試す勇気を期待して、

前もって教えないで、

計算させます。

 

なお、

不等号 > を、

等号 = に置き換えるのは、

ある種のアナロジーです。

 

同じではありませんが、

似ています。

類推可能です。

 

 

さて、

この子は、

x>5 、x+1>□ を見て、

何らかのアイデアを、

いくつか思い付いているはずです。

 

でも、

試そうとしません。

 

何もしないで、

ジッとしています。

 

これでは学びになりません。

 

計算問題は、

何かを出すことで学びます。

これが基本です。

 

 

だから、

答えの出し方だけをリードします。

 

x>5 、x+1>□

x+1 の 1 を示して、

「いち(1)を足す」です。

 

いきなり、

この子に、言います。

 

「何も思い付かないの?」や、

「間違ってもいいから、

何か書こうか・・」のようなことを言わないで、

いきなり、

x+1 の 1 を示して、

「いち(1)を足す」です。

 

 

思い付いている何かを

試そうとしていない子ですが、

答を出そうとしていますから、

「いち(1)を足す」と聞いたら、

「あっ、そうするのか・・」や、

「やはり、そうか!」のように心で感じて、

x>6 と計算します。

 

答えを書いたので、

次の問題 x+1>3 、x>□ を、

自力で計算させます。

 

1 問解いた勢いでしょう。

今度は、

計算します。

 

x+1>3 から、

x>4 とします。

 

「いち(1)を足す」の

言葉が残っているようです。

 

 

x>5 、x+1>□ を、

x+1>6 と計算したことから、

「いち(1)を足す」の言葉が残っていて、

x+1>3 、x>4 と、

1 を足しています。

 

実は、

x>5 、x+1>□ で、

x を、

x+1 にしていますから、

1 を足しています。

 

x+1>3 、x>□ は、

少し違います。

 

x+1 を、

x にしています。

 

ですから、

1 減らします。

 

 

縦に並べた方が、

関係をつかみやすいでしょう。

 

x>5 、

x+1>□ と、

縦に並べると、

x を、

x+1 に変えていることを理解できます。

 

1 増やしています。

 

同じように縦に並べれば、

x+1>3 、

x>□ ですから、

x+1 を、

x に変えています。

 

1 減らしています。

 

 

でも、

2 つの不等式を見比べるように、

言葉で説明しようとすると、

とても長い説明になります。

 

だから、

子どもにすぐに理解できるように、

x+1>3 、

x>4 と計算した子に、

「引く 1 」とだけリードします。

 

すると子どもは、

x+1>3 の 3 から、

1 を引いて、

x>2 と直します。

 

直したら、

子どもは必ず考えます。

「どうして?」です。

 

自動的に、

このように考えます。

 

そして、

自分なりの理屈を出します。

 

例え手伝われてであっても、

計算して答えを出しています。

だから、考えて、

そして、学びます。

 

 

同じ子が、

2x>6 、x>□ を、

12 とします。

 

縦に並べると、

2x>6 、

x>□ ですから、

2 で割っています。

 

「÷2」と、

答えの出し方だけをリードします。

 

これで子どもは、

2x>6 、

x>3 と計算し直します。

 

このようなリードで、

数問解いていくことで、

方程式 x+1=3 や、

2x=6 と、

不等式 x+1>3 や、

2x>6 が似ていることに気付きます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -520)、(分数  {\normalsize {α}} -219)