分数のかけ算の計算は、分子同士と、分母同士を掛けることが基本です。そして、帯分数があれば、仮分数に変えます。途中約分ができれば、約分します。これはオプションです。このように理解できている子です。でも分数の計算では、答えの「出し方」が乱れて、この通りにできないことが、よく起こります。思っていることと、やっていることが、バラバラになります。

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}}= は、

分数のかけ算です。

 

この子は、

答えの「出し方」で、

大きく混乱しています。

 

かけ算の計算の仕方は、

分母同士を掛けて、分母に、

分子同士を掛けて、分子にすると、

理解できています。

 

この子が、

理解しているように、

つまり、

思っているように計算できれば、

 {\Large\frac{1×1}{2×3}} {\Large\frac{1}{6}} と計算できます。

 

 

それなのに、この子は、

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{3}{6}}× {\Large\frac{2}{6}}= のように、

分数のかけ算の計算で、

分数のたし算のような通分をしています。

 

思っていることと、

やっていることが、

バラバラになっています。

 

つまり、

分数のかけ算の計算の仕方の

理解(思っていること)の乱れではなくて、

答えを出す「出し方」(やっていること)で

混乱しています。

 

たし算の計算が、

混ざってしまいます。

 

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}}= のかけ算を、

 {\Large\frac{3}{6}}× {\Large\frac{2}{6}}= と、

たし算の計算のように通分しています。

 

「出し方」(やっていること)の乱れです。

 

 

「出し方」(やっていること)で乱れていますから、

「出し方」(やっていること)だけを手伝います。

 

分数のかけ算の計算の仕方を

つまり、

思っていることを、

一切、

説明しません。

 

もし、説明してしまうと、

「出し方」(やっていること)で乱れているだけで、

計算の仕方の理解(思っていること)では、

混乱していませんから、

「分かっているよ・・」と思われて、

子どもに聞いてもらえません。

 

「出し方」(やっていること)だけを教えれば、

子どもは真剣になって聞いてくれます。

 

 

以下は、

「出し方」(やっていること)の

教え方の一例です。

 

子どもの書いた

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{3}{6}}× {\Large\frac{2}{6}}=・・ をそのまま残して、

その真下の余白に、

正しい答えの出し方をリードして、

子どもに書かせます。

 

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}}= の

2 つの分母、2 と 3 を順に示しながら、

「にさんがろく(2×3=6)」、

「下、6」です。

 

このような計算の実況中継を見せれば、

「出し方」(やっていること)だけを教えていますから、

子どもは真剣になって見てくれます。

 

そして、

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{\:\:\:}{6}} のように書いてくれます。

 

 

続いて、

2 つの分子、1 と 1 を順に示しながら、

「いんいちがいち(1×1=1)」、

「上、1」です。

 

真剣に見ている子どもは、

 {\Large\frac{1}{2}}× {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{1}{6}} と書きます。

 

子どもは書くことで、

「そうか・・」と、

正しい答えの「出し方」を理解します。

 

 

同じ子が、

 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}=1 {\Large\frac{1}{12}} と計算します。

 

間違えた計算です。

 

正しい計算は、

帯分数 1 {\Large\frac{1}{3}} を、

仮分数  {\Large\frac{4}{3}} に変えてから、

かけ算を計算します。

 

 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{4}{3}}× {\Large\frac{1}{4}} \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{4}\end{matrix}\,}{3}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{1}{\begin{matrix}\cancel{4}\\1\end{matrix}\,}} {\Large\frac{1}{3}} のような計算です。

 

 

やはり、

計算の仕方(思っていること)を、

正しく理解できています。

 

「帯分数があれば、

仮分数に変えて、

途中で約分できれば、

約分をして、

そして掛ける」と、

理解できています。

 

理解(思っていること)の混乱ではなくて、

答えの「出し方」(やっていること)の乱れです。

 

だから、

答えの「出し方」(やっていること)だけを教えます。

 

 

でも、

答えの「出し方」(やっていること)だけを教えることは、

簡単そうにみえますが、

実は、

とても難しいのです。

 

油断していると、

答えの「出し方」(やっていること)だけではなくて、

計算の仕方(思っていること)の説明が、

紛れ込んでしまいます。

 

そして、

計算の仕方(思っていること)の説明が、

答えの「出し方」(やっていること)を教えている中に、

紛れ込むと、

習っている子どもを混乱させます。

 

 

計算の仕方(思っていること)の説明が、

紛れ込むことを防ぐ

とても易しい方法が、

こちらの計算を見せるだけの教え方です。

 

 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}=1 {\Large\frac{1}{12}} と、

間違った計算をする子に、

こちらの計算を見せるだけの教え方を、

以下に例示します。

 

子どもが書いた

間違った答え 1 {\Large\frac{1}{12}} を、

そのまま残して、

その真下の余白に、

正しい計算を書かせます。

 

 

問題 1 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}= の 1 {\Large\frac{1}{3}}

整数部分 1 と、分母 3 を示しながら、

「1×3=3」、

分子 1 を示して、

「1 を足して、4」、

「上、4」、

「下、3」です。

 

このように、

こちらの計算を見せれば、

見ている子どもは、

答えの「出し方」(やっていること)だけですから、

とても素直に見て、聞きます。

 

そして、

 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{4}{3}} と書きます。

 

書きながら、

心の中で、

「そうだった・・」のように、

自分が理解している

計算の仕方(思っていること)と同じなので、

納得します。

 

続いて、

× と、 {\Large\frac{1}{4}} を示しながら、

「×(掛ける)」、

「これ」です。

 

子どもは、

 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{4}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}= と書きます。

 

 

次に、こちらは、

左上の 4 と、

右下の 4 を示しながら、

「これとこれ」、

「4 で割って」、

「ここ、1」、

「ここ、1」です。

 

こちらが計算しています。

それを見せています。

 

セリフと、

動作を想像いただけるでしょう。

 

子どもは、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{4}\end{matrix}\,}{3}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{1}{\begin{matrix}\cancel{4}\\1\end{matrix}\,}}= と、

途中約分を書きます。

 

この続きは、

分母同士、

分子同士のかけ算です。

 

 

ここまで、

こちらの計算を見て、

こちらが出した答えを書いた子は、

自分が理解できている

計算の仕方(思っていること)と、

答えの「出し方」(やっていること)が、

全く同じものに重なります。

 

理解できているような計算を、

できる子に近づきます。

 

答えの「出し方」(やっていること)だけを

見せて教えれば、

子どもはこのように、

ごく自然に、

理解している計算の仕方(思っていること)と、

答えの「出し方」(やっていること)が、

同じものになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -527)、(分数  {\normalsize {α}} -222)