たし算の指を取り、ひき算の答えを瞬時に出せるようになり、筆算のたし算やひき算の計算手順を使いこなし、九九を速いスピードで唱える力を、地道に育てている 5~6 歳の子です。筆算のかけ算の計算手順を学びます。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算を、

自力で計算して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\:\: 2 \\ \hline \:\:\:86\end{array}  }}\\ と書くことができるようにします。

 

教える子は、

5~6 歳です。

 

次のような高い計算力を、

地道に育ててきた子です。

 

2 の段~9 の段の九九を、

いずれも、

6 秒の早口で唱えることができます。

 

6+5=、7+9=、8+7=、3+6=、

5+7=、8+4=、9+6=、5+8=、

・・・・・のようなたし算 25 問を、

20 秒の速いスピードで計算できます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 324 \\ +\: 257 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:364 \\ - \: 167 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のひき算を、

計算することができます。

 

このような計算の力を持っている

5~6 歳の子です。

 

つまり、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算を、

計算する前提になる計算力を、

すべて持っている子です。

 

 

新たに学ぶことは、

既に持っている力の新しい使い方です。

新しい組み合わせ方です。

 

それは、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算の

計算の手順です。

 

具体的には、

2 と 3 を、下から上に見て、

2×3=6 と計算して、

2 の真下に、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \:\:\:6\end{array}  }}\\ と書いて、

次に、2 と 4 を、下から斜め上に見て、

2×4=8 と計算して、

4 の真下に、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\:\: 2 \\ \hline \:\:\:86\end{array}  }}\\ と書くことです。

 

このような計算手順を使えるようになり、

自力で計算できるようになることが、

新しい学びです。

 

 

さて、

5~6 歳の子の好きな学び方は、

計算そのものを見せられて、

それをまねすることです。

 

計算の仕方を言葉で説明されて、

理解してから、

計算するような学び方は、

5~6 歳の子には、

とても難しいことです。

 

でも、こちらは、

言葉で説明することや、

言葉の説明を聞いて理解することに、

慣れています。

 

だからでしょうか、

何かを教えることを、

言葉で説明することと、

ほぼ無意識の習慣で決めている傾向があります。

 

一方で、

5~6 歳の子は、

言葉で説明される学びに不慣れなことは、

事実なのです。

 

こちらが、

この大きなズレに気が付いて、

計算の仕方を言葉で説明することをやめて、

こちらの計算を

実況中継して見せるようにすれば、

見て、そして、

ソックリまねする学びになりますから、

5~6 歳の子に歓迎されます。

 

 

以下は、

計算の実況中継の見せ方の一例です。

 

机の直角の角を利用すれば、

子どもとこちらの位置関係は、

直角になります。

 

この位置になって、

問題  {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \end{array}  }}\\ を、

子どもは真正面から、

こちらは真横から見ます。

 

そして、

こちらの計算の実況中継を見せます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \end{array}  }}\\ の 2 と 3 を示しながら、

「にさんがろく(2×3=6)」と声に出して言い、

2 の真下を示して、

「ろく(6)」とリードします。

 

2 と 3 を示されたら、

子どもは、

2 と 3 を見ます。

 

示されながら、

「にさんがろく(2×3=6)」と聞いたら、

「九九だ!」と理解できます。

 

それから、

2 の真下を示されて、

「ろく(6)」とリードされたら、

「ここに、6 を書くらしい・・」と理解して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\: 2 \\ \hline \:\:\:6\end{array}  }}\\ と書きます。

 

子どもが答えを書いたのを見たら、すぐ、

2 と 4 を示しながら、

「にしがはち(2×4=8)」と声に出して言い、

4 の真下を示して、

「はち(8)」とリードします。

 

こちらの計算の実況中継を、

先ほどの計算 2×3=6 と

同じような感じで見て、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  43 \\ \:\times  \:\:\:\: 2 \\ \hline \:\:\:86\end{array}  }}\\ と書きます。

 

こちらは、

子どもが答えを書くのを見たら、すぐ、

次の問題に移り、

同じような実況中継を見せます。

 

そして、

3~4 問や、

5~6 問の実況中継を見せます。

 

 

一つ補足します。

学びの向きです。

 

「下から上に見る」や、

「九九を計算する」のようなことを、

言葉で説明したくなりますが、

一言も言わないようにします。

 

一言でも言ったとしたら、

その瞬間に、

こちら自身が「入れ方」指導になって、

子どもの理解を見るようになります。

 

こちらの計算の実況中継を見せるだけの

「出し方」リードから、

こちら自身が離れてしまいます。

 

 

さて、

「にさんがろく(2×3=6)」と、

九九の答えまでこちらが出して、

答えを書く位置を示して、

書く数(九九の答え)を言っています。

 

こちらは、

子どもが書くまでの時間を、

「すぐ」や、

「一瞬の間」のように観察します。

 

こどもの「出し方」を観察します。

 

書くまでの時間、

つまり、

出すまでの時間は、

こちらが見せる答えの出し方を、

子どもが取り込む時間です。

 

この取り込む時間が、

1~2 問の実況中継で、

3~4 問の実況中継で、

短くなりますから、

「すぐ(瞬時)」にまで短くなったとき、

子どもは、

自力で計算できるようになっているようです。

 

こうなったら、

1~2 問、

自力で計算させて確かめます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -546)、(×÷  {\normalsize {α}} -118)