分母をそろえてから足す分数のたし算で、多くの子が混乱します。教え方の善し悪しではなくて、多くの子が、こうなる計算なのです。混乱するのも、抜け出るのも子ども自身のことと割り切って、淡々と答えの出し方だけを教えます。

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}}= の計算の仕方を教えます。

 

分母をそろえるたし算です。

右の分数  {\Large\frac{1}{4}} を通分します。

 

 

「分母をそろえる(通分)」や、

「分母と分子に同じ数を掛ける(倍分)」のように、

言葉で説明して教えても、

こちらの計算を見せる実況中継で教えても、

混乱します。

 

そして、

混乱するのも、

混乱から抜け出るのも、

子ども自身のことです。

 

こちらが、

混乱させているのではありません。

 

「もう少し、上手に教えることができれば、

この子は、混乱しなかったのでは・・」と、

思うこともあるでしょうが、

「教え方」が混乱させているのではありません。

 

多くの子が混乱する計算なのです。

 

「混乱している」、

「抜け出るように手伝ってあげよう」と、

このように思うこともあるでしょうが、

混乱から抜け出る手助けをできません。

 

子どもが、

自力で抜け出るしかないのです。

 

つまり、

混乱したのもこの子であり、

混乱から抜け出るのもこの子なのです。

 

 

言葉で説明しても、

こちらの計算の実況中継を見せても、

どちらの教え方であろうとも、

多くの子が混乱しますから、

教え方で何とかしようとしません。

 

つまり、

教え方の善し悪しではなくて、

多くの子が混乱する計算なのです。

 

 

ですから、

子どもを当事者として、

初めから参加させることができる

こちらの計算を見せる実況中継で教えます。

 

言葉で説明する教え方では、

子どもは、計算の傍観者です。

当事者意識を持てないのです。

 

以下は、

実況中継の一例です。

 

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}}= の

 {\Large\frac{3}{8}} を示して、

「これ」、

= の右を示して、

「ここ」です。

 

計算の当事者として、

こちらの実況中継を見ている子は、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} と書きます。

 

続いて、

 {\Large\frac{1}{4}} の分母 4 を示して、

「下」、

子どもが書いた  {\Large\frac{3}{8}} の分母 8 を示して、

「ここに合わせる」、

そして、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} の + を示して、

「これ」、

子どもが書いた  {\Large\frac{3}{8}} の右を示して、

「ここ」としてから、

子どもが書いた + の右に、

「下、はち(8)」です。

 

見ている子どもは、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}} と書きます。

 

次に、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}}

 {\Large\frac{1}{4}} の 4 と、

 {\Large\frac{\:\:\:}{8}} の 8 を示しながら、

「しにがはち(4×2=8)」、

 {\Large\frac{1}{4}} の 1 と、

 {\Large\frac{\:\:\:}{8}} の分子を示しながら、

「いんにがに(1×2=2)」です。

 

見ている子どもは、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}} と書きます。

 

そして、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}}= と = を書かせてから、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}}= の分母 8 を示して、

「下、はち(8)」とリードすれば、

子どもは、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}} と書きます。

 

最後に、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}}= の分子の 3 と 2 を示しながら、

「さん足すに、ご(3+2=5)」とリードすれば、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{5}{8}} と子どもが完成させます。

 

 

このように、

こちらの計算を見せる実況中継を、

2~3 問や、

3~4 問と、

子どもに見せる教え方です。

 

いくつかの計算の組み合わせです。

 

 {\Large\frac{3}{8}} を転記するだけのこともあれば、

 {\Large\frac{1}{4}} を、 {\Large\frac{2}{8}} に変える計算もあれば、

 {\Large\frac{3}{8}} {\Large\frac{2}{8}} の 3 と 2 を足す計算もあります。

 

子どもは、

自分がつかまえやすい計算から、

つかまえます。

 

どこから、

どのようにつかんでも子どもの自由です。

 

そして、

すべての計算をつかめたとき、

自力で計算することができます。

 

こうなるまで、

混乱して、

そして、

自力で抜け出ています。

 

多くの子で、

こうなる計算なのです。

 

 

この後、

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}= のように、

左の分数  {\Large\frac{1}{4}} を通分するたし算を教えます。

 

ここでも、

混乱して、

そして、

自力で抜け出ます。

 

 

この先で、

 {\Large\frac{1}{2}} {\Large\frac{1}{3}}= のように、

両方の分数を通分するたし算を教えます。

 

またここでも、

混乱して、

そして、

自力で抜け出ます。

 

混乱して、

抜け出ることが、

このように繰り返されます。

 

同じことを繰り返すと、

子どもは必ず上達します。

 

混乱から、

自力で抜け出ることが、

巧みになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -558)、(分数  {\normalsize {α}} -236)