分数のかけ算で、途中約分を指定すれば、計算する前に式を見ようになります。時としてですが、思いもしない誤解をする子がいます。正しい計算をリードするだけです。

 {\Large\frac{3}{4}}× {\Large\frac{5}{6}}= の分数のかけ算の計算を、

 {\Large\frac{3×5}{4×6}}= のように、

分子同士、分母同士を掛けて、

 {\Large\frac{15}{24}}= と計算してから、

3 で約分して、

 {\Large\frac{5}{8}} と答えを出す計算が、

説明し易い計算でしょう。

 

分子同士、分母同士を掛けてから、

約分するのですから、

計算の順番を入れ替えて、

掛ける前に、

約分したとしても、

同じ答えを出すことができます。

 

 {\Large\frac{3}{4}}× {\Large\frac{5}{6}}= を、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{3}\end{matrix}\,}{4}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{5}{\begin{matrix}\cancel{6}\\2\end{matrix}\,}}= のように、

途中で約分してから、

 {\Large\frac{1×5}{4×2}}= のように、

分子同士、分母同士を掛けて、

 {\Large\frac{5}{8}} と答えを出す計算です。

 

 

お勧めは、

掛ける前に、

先に、途中で約分する計算です。

 

計算する前に、

式を見る習慣を育てることができます。

 

式を見る目的は、

約分出る組を探し出して、

先に約分することです。

 

ただボンヤリと式を眺めるのではなくて、

「約分できる組があれば、

探し出して、

約分する」のような目的を頭に置いて、

計算する前に式を見ます。

 

つまり、

 {\Large\frac{3}{4}}× {\Large\frac{5}{6}}= を、

先に約分できるのならば

約分してしまう・・のように

ハッキリとした目的を持って、

式を見ます。

 

このように、

計算する前に式を見る行動が、

とても自然です。

自動的です。

 

式を見なければ、

約分できるのかどうかを、

決められないからです。

 

しかも、

先に約分するときに見るところは、

左上の 3 と、右下の 6 の組と、

左下の 4 と、右上の 5 の組だけです。

 

そして、

左上の 3 と、右下の 6 の組を見ると、

3 で約分できることに気付きます。

 

同じように、

左下の 4 と、右上の 5 の組を見ると、

約分できないことに気付きます。

 

だから、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{3}\end{matrix}\,}{4}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{5}{\begin{matrix}\cancel{6}\\2\end{matrix}\,}}= のように、

途中で約分することができます。

 

と、このように、

約分をする前に、

子どもは式を見るようになります。

 

だから、

途中で約分して、

その後から掛ける計算を、

子どもに指定します。

 

 

さて、

途中で約分してから、

その後で、掛ける計算をする子が、

 {\Large\frac{4}{5}}× {\Large\frac{5}{7}}= のかけ算を計算します。

 

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix} \\\cancel{4}\end{matrix}\,}{5}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{7}{\begin{matrix}\cancel{7}\\ \end{matrix}\,}}= のように書いて止まっています。

 

左上の 4 と、右下の 7 の組を、

約分できないのに、

約分しようとして、

やはり、

約分できないので止まっています。

 

 

どうやら、

式を見ていないようです。

 

この子は、

 {\Large\frac{3}{4}}× {\Large\frac{5}{6}}= の途中約分を、

「左上と右下の組を約分する計算」と、

理解したようです。

 

この問題  {\Large\frac{3}{4}}× {\Large\frac{5}{6}}= であれば、

「左上と右下の組を約分する計算」は、

正しいのですが、

そうではない問題もあります。

 

 

この理解で、

どのかけ算も計算しようとしていますから、

 {\Large\frac{4}{5}}× {\Large\frac{5}{7}}= を、

「左上と右下の組を約分する計算」で、

答えを出そうとします。

 

そして、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix} \\\cancel{4}\end{matrix}\,}{5}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{7}{\begin{matrix}\cancel{7}\\ \end{matrix}\,}}= と書いてから、

何で約分するのかを考えます。

 

 

が、

約分できない組ですから、

約数を見つけられません。

約分もできません。

計算が止まってしまいます。

 

途中約分を、

「左上と右下の組を約分する計算」と、

理解してしまったために、

このように、

左上と右下を約分しようとします。

 

左上と右下の組を約分しようとすることが、

この子には、

とても自然なことなのです。

 

そうしているのに、

約分できないことが不思議なのです。

 

このように、

「左上と右下の組を約分する計算」と、

理解してしまう子は、

限られたまれな子ではなくて、

ある一定数の子です。

 

 

このままでは、

答えを出せませんから、

教えます。

 

以下は、

教え方の一例です。

 

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix} \\\cancel{4}\end{matrix}\,}{5}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{7}{\begin{matrix}\cancel{7}\\ \end{matrix}\,}}= の 4 と 7 を示して、

「消して」です。

 

子どもは、

 {\Large\frac{4}{5}}× {\Large\frac{5}{7}}= に戻します。

 

こうなったら、

左下の 5 と、

右上の 5 を順に示しながら、

「これとこれ、5 で」とリードします。

 

答えを出すことに直結したことだけに、

絞り込んで教えます。

 

 

子どもは、

「えっ、何なの?」、

「左上と右下の組を約分ではないの?」、

「左下と右上なの?」のような

混乱した状態でしょうから、

 {\Large\frac{4}{5}}× {\Large\frac{5}{7}}= の

左下の 5 と、

右上の 5 を順に示しながら、

「線」です。

 

頭は、

フリーズ状態でしょうから、

子どもの体を動かします。

 

面白いことに、

子どもの体を動かせば、

頭も動きます。

 

「線」とリードされた子は、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{4}{\begin{matrix}\cancel{5}\\ \end{matrix}\,}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix} \\\cancel{5}\end{matrix}\,}{7}}= のように、

線を引きます。

 

 

続きをリードします。

 

線で消された左下の 5 と、

右上の 5 を順に示しながら、

「5 で割って、1 と、1」です。

 

子どもは、

ようやく納得できて、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{4}{\begin{matrix}\cancel{5}\\1\end{matrix}\,}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{5}\end{matrix}\,}{7}}= と書きます。

 

ここまできたら、

分子の 4 と 1 を掛けて、4 、

分母 1 と 7 を掛けて、7 とリードすれば、

 \require{cancel}\displaystyle {\frac{4}{\begin{matrix}\cancel{5}\\1\end{matrix}\,}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{5}\end{matrix}\,}{7}} {\Large\frac{4}{7}} と計算できます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -589)、(分数  {\normalsize {α}} -249)