8+4= を、9、10、11、12 と数えて、答え 12 を出す計算の仕方を、言葉で説明することができます。説明されて理解できた子が、自力で計算して、答えを出したとき、「こういうことか・・」と、何かを感じます。この何かを、言葉で説明して、教えることはできません。

8+4=、5+4=、9+4=、・・・・・。

4 を足すたし算です。

〇+4= の形のたし算です。

 

8+4= の計算の仕方を、

つまり、

答えの出し方を

言葉で説明します。

 

要点だけを以下に、

箇条書きで書きます。

 

子どもに教えるときは、

「分かりましたか?」のような、

あるいは、

「8+4= の答えの出し方を説明します」と、

枝葉を付ける必要があります。

 

① 8 を見ること。

② 8 の次の 9 から数えること。

③ +4 の 4 回数えること。

④ 9、10、11、12 となること。

⑤ 最後の 12 が答えになっていること。

⑥ = の右に、8+4=12 と書くこと。

 

これだけのことを、

言葉で説明できれば、

子どもは、

4 を足すたし算の答えの出し方を理解できます。

 

つまり、

「分かった」となります。

 

言葉で説明されて、

「分かった」となる知識ですから、

学習知のような言い方をします。

 

 

計算の仕方を、

説明されて分かった子が、

自力で計算します。

 

8+4= の 8 を見て、

8 の次の 9 を数えて出して、

+4 の 4 回、

9、10、11、12 と数えて、

12 を出してから、

8+4=12 と書きます。

 

次の計算 5+4= の 5 を見て、

5 の次の数 6 を数えて出して、

+4 の 4 回、

6、7、8、9 と数えて、

9 を出してから、

5+4=9 と書きます。

 

さらに次の問題 9+4= の 9 を見て、

9 の次の数 10 を数えて出して、

+4 の 4 回、

10、11、12、13 と数えて、

13 を出してから、

9+4=13 と書きます。

 

このようにして、

自力で計算していくと、

子どもはどこかで、

「4 を足すってこういうことか・・」と、

納得します。

 

自力で計算して、

答えを出すような体験をして、

「こういうことか・・」と納得していますから、

体験知のような言い方をします。

 

 

さて、

8+4= の答えの出し方の学習知は、

「何が、分かったの?」と聞かれて、

言葉で説明して答えるときの知識です。

 

一方で、

体験知は、

「何が、こういうことなの?」と聞かれても、

言葉で説明しようのない知識です。

 

子どもが、

「何が、こういうことなの?」を、

答えの出し方を聞かれていると誤解すれば、

「あのね、この 8 の次の 9 から、

ここが 4 だから、4 回、

9、10、11、12 と数えて、

12 を見つける・・」のように

説明することがあります。

 

これは、

8+4= の答え 12 の出し方を、

説明しているだけですから、

この子が、

自分で計算した結果、

「こういうことか・・」と感じたこと

そのものの説明ではありません。

 

更に言うならば、

8+4= を計算して、

答え 12 を出すことに集中していますから、

自力で計算したことで、

何かを感じていると、

気にする余裕がないのでしょう。

 

でも、

答えの出し方の説明を聞くことで、

知った知識の学習知とは、

かなり違う何かを、

自力で計算することで、

「こういうことか・・」と、

子どもは感じています。

 

 

たし算の学びが進むことでやがて、

6+5=、7+9=、8+7=、3+8= のように、

足される数も、

足す数も、

さまざまな組み合わせのたし算の

答えを出せるようになります。

 

このレベルになっても、

やはり、

説明されて理解して得る学習知と、

自力で計算することで、

「こういうことか・・」と感じる

体験知があります。

 

面白いことに、

学習知は、

基本、一種類です。

 

6+5= の答えの出し方の学習知でしたら、

「6 の次の 7 から、

+5 の 5 回、

7、8、9、10、11 と数えて、

答え 11 を出す・・」のような内容です。

 

もちろん計算の仕方が違えば、

答えの出し方の学習知の内容は変わります。

 

ですが、

学習知は、基本、一種類です。

 

 

一方で、

体験知は、

何種類もあります。

 

一種類だけではありません。

 

6+5= を、

7、8、9、10、11 と数えて、

答え 11 を、

7+9= を、

8、9、10、11、12、13、14、15、16 と数えて、

答え 16 を、

8+7= を、

9、10、11、12、13、14、15 と数えて、

答え 15 を、

3+8= を、

4、5、6、7、8、9、10、11 と数えて、

答え 11 を、

どうにか出せるようになった子が感じる

「こういうことか・・」の体験知があります。

 

この計算の仕方

数えて答えを出すことが、

楽にスラスラと、

短い時間でできるようになった子が感じる

「こういうことか・・」の体験知は、

どうにか答えを出せる子が感じる体験知と、

かなり違います。

 

更に、

数えて答えを出そうとしたら、

いくつかの問題で、

既に、答えが出ているようになった子が感じる

「こういうことか・・」の体験知は、

これもまた、別の種類の体験知です。

 

そして、

全ての問題で、

問題を見たら答えが出るようになった子が感じる

「こういうことか・・」の体験知は、

これもまた、別の種類の体験知です。

 

このようになっているようです。

 

もちろん

どの種類の体験知も

言葉で説明することはできません。

 

つまり、

こちらから、

子どもに言葉で説明して、

自力でたし算の答えを出せるようになると

「こういうことが分かるよ・・」と、

教えることができません。

 

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