3けた×1けたの筆算のかけ算で、5×0=0 に、繰り上がり数を足すことは、子どもには、とても難しい計算です。0 に何かを足すことが、嫌なようです。

{\normalsize {\begin{array}{rr}\:340 \\ \:\:\times\:\:\:\:\:\: 2\\ \hline \end{array}}}\\ の筆算のかけ算を、

{\normalsize {\begin{array}{rr}\: 340\\ \:\times\:\:\:\:\:\: 2 \\\hline 680 \end{array}}}\\ と計算できる子です。

 

それなのに、

{\normalsize {\begin{array}{rr}\:304 \\ \:\:\times\:\:\:\:\:\: 5\\ \hline \end{array}}}\\ を、計算できません。

 

「どうやるの?」と聞きます。

 

 

聞かれたこちらは、

「できそうな気がするが・・」と思いますから、

「何か、書いてごらん」と、

やや突き放したくなります。

 

「何か、書いてごらん」と誘われた子は、

答えを出そうと努力して、

「間違えているような気がするが・・」と思っても、

この気持ちを乗り越えて、

計算します。

 

すると、

仮に、間違えていたとしても、

自力で答えを出した子ですから、

多くのことを学ぶことができます。

 

間違えた体験から得る学びですから、

この子だけの体験知です。

 

 

でも、

一定の速いスピードで、

答えを出し終えてしまうことも大事です。

 

「何か、書いてごらん」と突き放すと、

既に、この子は、

こちらに聞くまで答えを出していないので、

ロスタイムが発生しています。

 

その上、

答えを出すように促された後、

更に時間をかけるのですから、

この 1問の答えを出すまでの時間が

とても長くなってしまいます。

 

この子は、

ややグズグズとした傾向がありますから、

答えを出すように促すよりも、

こちらの答えの出し方を

実況中継で見せることで、

この 1問の答えを出し終わるまでの時間を、

できるだけ短くします。

 

 

{\normalsize {\begin{array}{rr}\:304 \\ \:\:\times\:\:\:\:\:\: 5\\ \hline \end{array}}}\\ の 5 と 4 を示しながら、

「ごしにじゅう(5×4=20)」、

5 の真下を示して、

「ゼロ(0)」、

「指、に(2)」です。

 

この子が、

「どうやるの?」と聞いたら、

こちらがすぐに教え始めたから、

真剣になって、

こちらの答えの出し方を見て、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:304 \\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\: 5 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:0\end{array}  }}\\ と書いて、

指を 2本伸ばします。

 

こちらは続けて、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:304 \\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\: 5 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:0\end{array}  }}\\ の 5 と 0 を示しながら、

「ごゼロがゼロ(5×0=0)」、

子どもが指に取った 2 を触って、

「に(2)増えて、に(2)」、

0 の真下を示して、

「に(2)」です。

 

ここを知りたかった子どもは、

特に真剣になって見ます。

 

そして、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:304 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 5 \\ \hline \:\:\:\:\:20\end{array}  }}\\ と書いて、

「に(2)は、ここに足すのか‥」と、

心の中で思います。

 

次は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:304 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 5 \\ \hline \:\:\:\:\:20\end{array}  }}\\ の 5 と 3 を示しながら、

「ごさんじゅうご(5×3=15)」、

3 の真下を示して、

「じゅうご(15)」です。

 

この子は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:\:304 \\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:\:\: 5 \\ \hline1520\end{array}  }}\\ と書いて、

自分が計算したような疑似体験を感じます。

 

子どもに聞かれてすぐ、

こちらの答えの出し方を見せたために、

子どもは、

自分が計算しているように錯覚するようです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -654)、(×÷  {\normalsize {α}} -137)