2けたの数の筆算のたし算は、縦に見た 1けたの数のたし算を、2回です。一の位のたし算の答えと、十の位のたし算の答えの書き方が、大きく違います。子どもは、慣れて受け入れるまで、抵抗します。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 21 \\ +\: 80 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の答えを書くことに抵抗する子です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 21 \\ +\: 80 \\ \hline \end{array} }} \\ の一の位の計算は、

1+0=1 で、

この答えを  {\normalsize { \begin{array}{rr} 21 \\ +\: 80 \\ \hline \:\:\:\:1\end{array} }} \\ と書くことは、

少しも抵抗しません。

 

それなのに、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 21 \\ +\: 80 \\ \hline \end{array} }} \\ の十の位の計算の

2+8=10 を書くことに、

強く抵抗します。

 

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ も、

同じような抵抗をします。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の一の位の計算は、

8+7=15 で、

この答えを  {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\ と書くことは、

少しも抵抗しません。

 

また、

繰り上がり数 1 を指に取り、

指を 1本伸ばすことに、

少しも抵抗しません。

 

それなのに、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の十の位の計算の

6+4=10 に、

繰り上がり数 1 を足して、

10+1=11 を書くことに、

強く抵抗します。

 

繰り上がりのたし算は、

受け入れています。

 

でも、

十の位の答え 11 を書くことに、

強く抵抗します。

 

 

このようなこの子の振る舞い方から、

一の位の答えを書くことや、

繰り上が数を指に取り、

十の位の答えに足すことは、

受け入れていると理解できます。

 

しかし、

十の位のたし算の答えや、

繰り上がり数を足した答えが、

10 以上の 2けたになると、

この 2けたの答えを書くことに、

強く抵抗していると理解できます。

 

この子には、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の計算の規則が、

2重の基準のように感じるのでしょう。

 

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の一の位の 8+7=15 は、

15 の 5 だけを書いて、

15 の 1 を書きません。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の十の位の 6+4=10 は、

繰り上がり数 1 を足して、

10+1=11 として、

11 の一の位の 1 だけではなくて、

11 の十の位の 1 も書きます。

 

たし算の答えの書き方が、

2重の基準になっているように感じます。

 

そして、

十の位のたし算の答え 11 の

2つの 1 を書くことに

強く抵抗します。

 

 

このような子に、

言葉で説明すると、

混乱がひどくなります。

 

こちらの計算の実況中継を見せるリードで、

十の位の答えを書いてしまうことを、

繰り返させるだけで、

とても自然に受け入れてしまいます。

 

慣れてしまうからです。

 

 

以下の実況中継は、実例です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \end{array} }} \\ の 8 と 7 を示して、

「8+7=15」、

7 の真下を示して、

「ご(5)」、

「指、いち(1)」です。

 

リードされた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\ のように書いて、

指を 1本伸ばします。

 

続いて、

6 と 4 を示して、

「6+4=10」、

子どもが指に取っている 1 を触って、

「1 増えて、11」、

+ の真下を示して、

「いち(1)」、

4 の真下を示して、

「いち(1)」です。

 

リードされた子は、

強く抵抗しながらですが、

それでも、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 68 \\ +\: 47 \\ \hline115\end{array} }} \\ のように書きます。

 

このような実況中継を見せるリードを、

繰り返すだけで、

子どもは慣れてしまいます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -689)、(+-  {\normalsize {α}} -375)