子どもには、慣れ親しんでいる所要時間があります。速いスピードの計算をできるはずなのに、ダラダラと計算しているのは、無意識の所要時間を使い切ろうとコントロールされているからです。こちらのリードで、速いスピードの計算を疑似体験させることで、無意識の所要時間を短くできます。ここでは、筆算のかけ算を例にします。

{\normalsize{\begin{array}{rr} 27 \\\:\times\:\:\: 6 \\ \hline \end{array}}}\\ のような筆算のかけ算 50問を、

モタモタ、ダラダラと計算しています。

 

九九は、

6×7= を、

「ろくしちしじゅうに」の音を使わなくても、

瞬時に、答え 42 が出ます。

 

たし算は、指が取れていますから、

12+4= のような繰り上がりのたし算も、

瞬時に、答え 16 が出ます。

 

筆算のかけ算の計算手順に、

つまり、6×7=42、

6×2=12、

12+4=16 の 3回の計算に、

十分に慣れています。

 

スラスラ、サッサと計算できるはずです。

 

 

実は、

子どもには、

慣れ親しんでいる所要時間があります。

 

一人一人で違いますが、

10分前後や、

30分前後や、

1時間前後のように、

慣れ親しんでいる所要時間です。

 

慣れ親しむ元は、

大好きなテレビ番組の時間であることも、

大好きなスポーツの一区切りであることも、

あるいは、

学校の1コマの授業時間であることもあって、

実にさまざまです。

 

 

この慣れ親しんでいる所要時間が、

子どもを無意識にコントロールしています。

 

「この位の時間をかけて・・」と、

{\normalsize{\begin{array}{rr} 27 \\\:\times\:\:\: 6 \\ \hline \end{array}}}\\ のような筆算のかけ算 50問を、

始める前に、

既に決めている時間です。

 

九九の力や、

たし算の力や、

計算手順の慣れからは、

少しモタモタしたとしても、

10分くらいで終わるはずですが、

すでに決めている所要時間を使い切ると、

無意識のうちにコントロールされています。

 

 

ですから、

「どうしたの?」、

「九九も速いし、たし算も楽でしょ」、

「サッサと終わらせたら・・」と、促しても、

子どもが無意識に決めている

所要時間を短くすることが難しいのです。

 

少しくらい利を説いても、

無意識には届かないですし、

無意識が決めている所要時間は、

少しも変わりません。

 

 

このようなとき、

理屈ではなくて、

速いスピードの計算を、

こちらの実況中継でリードして、

子どもに、

速いスピードの計算を疑似体験させることが、

とても効果的です。

 

以下のような実例で、

速いスピードの計算を、

子どもに疑似体験させることができます。

 

例えば、

{\normalsize{\begin{array}{rr} 27 \\\:\times\:\:\: 6 \\ \hline \end{array}}}\\ の 6 と 7 を示しながら、

「ろくしちしじゅうに(6×7=42)」と、

声に出して言い、

6 の真下を示して、

「に(2)」、

「指、し(4)」とリードします。

 

目の前の計算を子どもは見て、

{\normalsize{\begin{array}{rr} 27 \\\:\times\:\:\: 6 \\ \hline \:\:\:2\end{array}}}\\ と書いて、

指を 4本伸ばします。

 

リードを続けて、

{\normalsize{\begin{array}{rr} 27 \\\:\times\:\:\: 6 \\ \hline \:\:\:2\end{array}}}\\ の 6 と 2 を示しながら、

「ろくにじゅうに(6×2=12)」と、

声に出して言い、

子どもが指に取っている 4 を触って、

「し(4)増えて、じゅうろく(16)」と足して、

2 の真下を示して、

「じゅうろく(16)」とリードします。

 

速いスピードの計算をリードされた子は、

速いスピードの計算を疑似体験できて、

{\normalsize{\begin{array}{rr} 27 \\ \times  \:\:\: 6 \\\hline 162 \end{array}}}\\ と書きます。

 

もちろん、

この 1問ではなくて、

4~5問リードして、

こちらがリードしている 4~5問だけでも、

子どもの無意識が決めている所要時間に抗して、

速いスピードの計算を

疑似体験させることができます。

 

 

速いスピードの計算の 4~5問の疑似体験を、

少し間を空けてから、

50問が終わるまで、

5~6回繰り返すことで、

子どもが決めている所要時間に抗して、

20~30分くらいで

終わらせることができます。

 

今回だけではなくて、

次も、

また次も、

同じような速いスピードの計算の

疑似体験をさせることで、

子どもが決めている所要時間が、

筆算のかけ算の計算で、

別の短い所要時間に入れ替わります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -723)、(×÷  {\normalsize {α}} -146)