分数のたし算の通分は、倍分から教え始めます。この倍分は、約分の逆です。既に、約分を計算できる子ですから、倍分の学習を、例を見て、まねして計算させることができます。自分が自分を観察する自覚の力があるからです。

2つの計算見本を見させて、

隠されている計算を

子どもに自力で探し出させて、

同じような問題を計算させます。

 

 {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{2}{6}}     {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{6}{15}}    計算見本です。

 

 {\Large\frac{3}{4}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}}    同じような問題です。

 

 

指示の仕方は、

シンプルです。

 

 {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{2}{6}}     {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{6}{15}}    を示して、

「これ、見て」と言い、

続けて、

 {\Large\frac{3}{4}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}}    を示して、

「これ、やって」と言います。

 

「これ、見て」、

「これ、やって」だけの指示です。

 

 

子どもは、

指示されたように行い、

 {\Large\frac{3}{4}} {\Large\frac{6}{8}} と、

正しい答えの分子 6 を書きます。

 

「合っている」と伝えてから、

「どうやったの?」と聞きます。

 

シンプルで、

ストレートな聞き方です。

 

 

子どもは、

 {\Large\frac{3}{4}} {\Large\frac{6}{8}} のように、

分子 6 を書いています。

 

自分が出した答えです。

 

「どうやったの?」と聞かれて、

自分が行った計算を説明します。

 

 

つまりこの子は、

「どうやったの?」に答えるために、

自分自身を観察しています。

 

問題  {\Large\frac{3}{4}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}} の分子を出すために、

2つの見本  {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{2}{6}}     {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{6}{15}} を、

自分が、

どのように見て、

隠されている計算を、

どのように推測して、

そして、

分子 6 を出したのかを、

思い返します。

 

すべて、自分がしたことそのものです。

 

 

この子の説明から、

この子が思い返した内容を、

順に推測します。

 

2つの見本  {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{2}{6}}     {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{6}{15}}

右の見本  {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{6}{15}} を、

自分がまねする対象に、選びます。

 

 {\Large\frac{2}{5}} {\Large\frac{6}{15}} の右から左を見ます。

 

2つの分母、15 と 5 から、

15÷3=5 の計算を見つけます。

 

問題  {\Large\frac{3}{4}} {\Large\frac{\:\:\:}{8}} を、

右から左に見て、

8÷2=4 を見つけます。

 

そして、

求める分子を、

2 で割って、3 になる数で探して、

6 を見つけます。

 

この子の説明を元にすれば、

このように見たようです。

 

 

「どうやったの?」と聞いて、

子どもが行った計算を思い返させることで、

実は、

自分が自分を観察する体験を、

やや強制的にさせています。

 

人が生まれながらに持っている自覚の力です。

 

「どうやったの?」に答えるために、

自分が自分を観察することで、

自覚の力が育ちます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -781)、(分数  {\normalsize {α}} -339)