ゴールを決めたら、一つ一つ順に、今現在の位置までさかのぼります。すると、計画を立てることができます。その後は、計画に従って、一つ一つ順に、積み上げていきます。算数の計算も、このようになっていることを、筆算のたし算を例に説明します。

例えば、

「明日の朝07時までに、駅に着きたい」を、

今日の朝、決めたとします。

 

すると自然に、

明日の朝07時に、

駅に着いている自分から、

さかのぼって考え始めます。

 

家を出る時間を決めて、

起きる時間を決めて、

前日の寝る時間を決めるようなことです。

実行計画です。

 

駅に着く前に、これをやって、

その前に、これをやって、

さらにその前に、これをやって

もっと前に、これをやって

・・・・・・このような実行計画です。

 

 

実は、

算数の計算の答えの出し方の学びも、

同じようになっています。

 

例えば、

答えの出し方を習う順を、

次のようにすることです。

 

たし算を習って、

ひき算を習って、

筆算のたし算を習って、

筆算のひき算を習って、

九九を習って、

筆算のかけ算を習って、

九九の逆を習って、

あまりのあるわり算を習って、

筆算のわり算を習って、

仮分数と帯分数の相互変換を習って、

約分を習って、

同分母の分数のたし算を習って、

倍分を習って、

異分母の分数のたし算を習って、

・・・・・・と、

答えの出し方の習う順番を決めることです。

 

たし算から、

積み上げているように感じるでしょうけれども、

実は、

分数計算からさかのぼって考えています。

 

分数計算の答えを出せるようになるために、

その前に、~~の答えを出せるようになって、

さらにその前に、

~~の答えを出せるようになって、

・・・・・・と、さかのぼって、

答えの出し方の習う順番を決めています。

 

 

このように、

さかのぼって習う順番を決めているから、

それ以前の力で、

新しい計算の答えの出し方を

何となく見つけることができます。

 

それ以前に習った答えの出し方を、

少し工夫することや、

いくつか組み合わせることで、

新しい計算の答えを出すことができるように

習う順番を決めているからです。

 

少し大げさな言い方をすると、

逆向きにさかのぼる発想です。

 

 

子どもは、

算数の計算の答えの出し方を、

この順番に習って、

積み上げていきますが、

この順番を決めるこちらは、

「この計算をするには、

どのような計算が必要?」と、

習う順番を逆向きにさかのぼっています。

 

つまり、

何かをできるようになりたいときに、

「このようなことをできるようになりたい」と、

ゴールを決めたら、

このゴールから、

今現在までを

一つ一つさかのぼって

探っていかなければなりません。

 

さかのぼって探るから、

計画を立てることができて、

計画を作ることができたら、

今度は、その計画の順番で、

一つ一つ順番に積み上げていきます。

 

 

算数の計算の答えの出し方を習う順番の

大きな流れの全体を

子どもが見通せるようになるのは、

難しいでしょう。

 

でも、

算数の計算の答えを出す学びで、

狭い前後関係の範囲内ですが、

「逆向きにさかのぼること」を、

自然に、学ばせることができます。

 

例えば、

筆算のたし算   {\normalsize { \begin{array}{rr} 27 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\  を、

初めて習う子です。

 

一の位のたし算  7+5=  は、

ここ以前に修得済みの暗算のたし算と、

見た目が大きく違います。

 

暗算のたし算は、

横書きに、7+5=  と書いています。

 

筆算のたし算になると、

 {\normalsize { \begin{array}{rr}\:\:7 \\ +\:\:\: 5 \\ \hline \end{array} }} \\  のように、

縦に並べて書いてあります。

 

+ も、左の方に、

7 と 5 の間ではないところに書いてあります。

 

見た目は、

これだけ大きく違いますが、

7+5=  の答え 12 は同じです。

 

 

初めて習う子は、

修得済みの暗算のたし算  7+5=  と

同じ計算であることに、

何となく、気付く程度です。

 

デジャブに懐かしさを感じるように、

「習ったような気がするが・・・」のような感じです。

 

答えの出し方を習った後、

繰り返し練習することで、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 27 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\  の答えを、楽に出して、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 27 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:42\end{array} }} \\  と書くことが、

できるようになるまでのどこかで、

「なぁんだ、7+5=  と同じだ」と、

習った順をさかのぼっています。

 

それ以前に習った答えの出し方を、

少し工夫することや、

いくつか組み合わせることで、

新しい計算の答えを出すことができるような

このような順番で習わせているから、

自然に、自動的に、

子どもは、

流れをさかのぼるようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -850)、(+-  {\normalsize {α}} -457)