子どもは、計算している自分と、他のことをしている自分の両方を、同時に見ています。どちらか一方を見るこちらと違います。

宿題をしています。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 87 \\ \:\times \:\:\:\:\: 7 \\ \hline \end{array} }}\\ のようなかけ算の計算問題です。

 

7×7=49 と計算して、9を書きます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 87 \\ \times \:\:\:\:\:\: 7 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:9\end{array} }}\\ です。

 

7×8=56 と計算して、

繰り上がり数4を、56+4=60と足します。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 87 \\ \times \:\:\:\:\:\: 7 \\ \hline \:\:\:609\end{array} }}\\ です。

 

筆算のかけ算の計算の仕方を知っています。

九九の答えが浮かびます。

暗算のたし算をスラスラ計算できます。

 

宿題は、20問です。

 

計算できるのですから、

10分もかからないはずです。

 

でも、

ボ~ッとして、

宿題の計算が止まります。

 

少ししたら、1~2問計算します。

 

そして今度は、

いたずら書きです。

また宿題の計算が止まります。

 

いたずら書きが終わったら、

1~2問計算します。

 

次は、トイレに行きます。

「喉が渇いた」で水を飲みます。

宿題の計算が止まります。

 

このような子をこちらは、

「してほしいこと:宿題の計算」を中断して、

「してほしくないこと」をしていると見ます。

 

だから、

「宿題をしてしまいなさい」や、

「まだ、終わってないよ」と促します。

 

子どもは、

「はい」と返事します。

あるいは、「分かっています」と答えます。

 

聞いたこちらは、

「分かっているのならば、終わらせればいいのに」と、

内心で思います。

 

これは、見え方の違いです。

 

こちらは目の前に見せている子を見ています。

 

計算しているときは計算している子を、

他のことをしているときは、

他のことをしている子を見ています。

 

どちらか一方です。

 

宿題をし始めた子どもは、

ボ~ッとしているとき、

ボ~ッとしている自分と、

中断して止まっていますが、

続きを計算している自分を見ています。

 

とても不思議ですが、

両方の自分を見ています。

 

さて、

しばらくボ~ッとしたままの子が気になったら、

ボ~ッとしていることを気にしないで、

止まっている計算  {\normalsize { \begin{array}{rr} 69 \\ \:\times \:\:\:\:\: 7 \\ \hline \end{array} }}\\ をリードします。

 

ボ~ッとしたままの子にささやくように、

「7×9=63」、「3」とリードします。

 

ボ~ッとしたままの子をとがめる気持ちがなくて、

ただ計算をリードしているだけでしたら、

そうであることを子どもは聞き分けますから、

3を書きます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 69 \\ \times \:\:\:\:\:\: 7 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:3\end{array} }}\\ です。

 

続いて、

「7×6=42」、

「6足して、48」です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 69 \\ \times \:\:\:\:\:\: 7 \\ \hline \:\:\:483\end{array} }}\\ と計算できます。

 

子どもは、

ボ~ッとしている自分と、

計算している自分の両方を見ていますから、

計算をリードされると、

すぐに計算し始めます。

 

(基本034)