根号(ルート)のたし算は、かけ算の計算のように都合よくできません。この理由を、「2 乗して、2 になる数」だけの約束を利用して導きます。

\sqrt{2} は、

2 乗して、2 になる数です。

 

「どうして?」ではなくて、

約束(定義)です。

 

このように決めたのです。

 

式で書くと、

\sqrt{2}×\sqrt{2}=2 です。

 

同じように、

\sqrt{3} は、

2 乗して、3 になる数です。

 

\sqrt{3}×\sqrt{3}=3 です。

 

\sqrt{6} でしたら、

2 乗して、6 になる数です。

\sqrt{6}×\sqrt{6}=6 です。

 

つまり、

2 回掛けると、

\sqrt{\:\:\:\:} が消えてしまう計算ゲームです。

 

さて、

\sqrt{2}×\sqrt{3}= は、

計算できるでしょうか?

 

\sqrt{\:\:\:\:} の約束を利用しますから、

\sqrt{2}×\sqrt{3} を、2 乗して、

どうなるのかを計算してみます。

 

(\sqrt{2}×\sqrt{3})^{2}

\sqrt{2}×\sqrt{3})×(\sqrt{2}×\sqrt{3})=

\sqrt{2}×\sqrt{3}×\sqrt{2}×\sqrt{3}

\sqrt{2}×\sqrt{2}×\sqrt{3}×\sqrt{3}

(\sqrt{2})^{2}×(\sqrt{3})^{2}

2×3=

6 です。

 

途中の計算を省略して書けば、

(\sqrt{2}×\sqrt{3})^{2}=6 です。

 

\sqrt{2} は、

2 乗して、2 になる数と約束していますから、

(\sqrt{2}×\sqrt{3})^{2}=6 から、

\sqrt{2}×\sqrt{3} は、

2 乗して、6 になる数です。

 

2 乗して、6 になる数は、

\sqrt{6} と書く約束ですから、

\sqrt{2}×\sqrt{3}\sqrt{6} と計算できます。

 

さて、

\sqrt{2}×\sqrt{3}\sqrt{6} を眺めると、

\sqrt{\:\:\:\:} のかけ算は、

中の数を掛けて(2×3)、

その答え(6)を、

\sqrt{\:\:\:\:} の中に書く計算になります。

 

こうなると、

たし算も、

同じような計算の仕方を

期待してしまいます。

 

例えば、

\sqrt{2}\sqrt{3}=でしたら、

\sqrt{\:\:\:\:} の中の数を足して(2+3)、

その答え(5)を、

\sqrt{\:\:\:\:} の中に書く計算です。

 

つまり、

かけ算のときのように、

たし算でも、

\sqrt{2}\sqrt{3}\sqrt{5} とできるのかです。

 

かけ算のときのように、

\sqrt{2}\sqrt{3} を 2 乗して、

(\sqrt{2})^{2}(\sqrt{3})^{2} とできれば、

たし算でも、

\sqrt{2}\sqrt{3}\sqrt{5} とできます。

 

だから、

そうなることを期待して、

\sqrt{2}\sqrt{3} を、2 乗して、

どうなるのかを計算してみます。

 

(\sqrt{2}+\sqrt{3})^{2}

\sqrt{2}\sqrt{3})×(\sqrt{2}\sqrt{3})=

(\sqrt{2})^{2}+2\sqrt{2}×\sqrt{3}(\sqrt{3})^{2}

2+2\sqrt{6}+3=

5+2\sqrt{6} です。

 

かけ算のときと同じようであれば、

5 だけになってほしいのです。

 

が、

期待通りにはいかなくて、

余分に、2\sqrt{6} も付いています。

 

ですから、

\sqrt{2}\sqrt{3} は、

2 乗して、5 になる数ではありません。

 

\sqrt{2}\sqrt{3} を 2 乗すると、

5+2\sqrt{6} です。

 

かけ算のときと、

大きく違って、

たし算のとき、

\sqrt{2}\sqrt{3} は、

これ以上計算できません。

 

\sqrt{2}\sqrt{3}\sqrt{2+3}\sqrt{5} と計算してしまい、

\sqrt{2}\sqrt{3} のままと教えられても、

「分かった」、

「そうなのだ」と受け入れることのできない

理屈の好きな子に、

このようにリードして、

時間を取って考えてもらうと、

とても刺激的な体験になります。

 

ここでの一例のように、

\sqrt{\:\:\:\:} の約束だけを使って、

2 乗する計算だけをリードします。

 

(基本  {\normalsize {α}} -374)、(分数  {\normalsize {α}} -135)