2 次方程式の解の公式を習う前でも、式を変形して、完全平方を導けば、解くことができます。式変形を質問されたら、解く流れの向きに説明します。

2 次方程式  {x^{2}-6x-1=0} を解きます。

 

 {x^{2}-6x-1} は、

因数分解できません。

 

解の公式を習った後でしたら、

公式を使って解きます。

 

解の公式を習う前ですから、

式を変形します。

 

 {x^{2}-6x-1=0} を、

 {x^{2}-6x=1} としてから、

 {(x-3)^{2}-9=1} とします。

 

この続きは、

 {(x-3)^{2}=1+9}

 {(x-3)^{2}=10}

x-3=±\sqrt{10}

x=3±\sqrt{10} と解きます。

 

ここまで解く前の

 {x^{2}-6x=1} から、

 {(x-3)^{2}-9=1} と式変形したとき、

子どもが、

「-9 って?」と聞きます。

 

 {(x-3)^{2}-9=1} の -9 を見て、

出どころが分からないから、

「-9 って?」と聞いています。

 

このような聞き方が、

この子の高いレベルを表しています。

 

自分でも計算している子です。

 

だから、

出どころの分からない -9 を、

自分が計算するために聞きたいのです。

 

高いレベルの子ですが、

でも、

この子は、

-9 の出どころを、

疑問に感じた式  {(x-3)^{2}-9=1} で、

探し出そうとしているようです。

 

確かに、

疑問を持った式は、

 {(x-3)^{2}-9=1} でしょうが、

-9 の出どころは、

この前の式  {x^{2}-6x=1} からです。

 

ですから、

 {x^{2}-6x=1} {x^{2}-6x} を示して、

「これ」と言ってから、

この式の下の狭い余白に、

 {(x^{2}-6x+9)-9=1} を、書いてしまいます。

 

これで、

この子は、

「あっ」となります。

見ている式が違ったからです。

 

 {x^{2}-6x} の 6 を、

2 で割った 3 の

2 乗が、9 と気付きます。

 

勝手に 9 を入れたので、

-9 でキャンセルしておきます。

 

これで自分でも計算できるようになって、

-9 の出どころを理解できます。

 

 {x^{2}-6x} を、

 {(x-3)^{2}} と変形したいために、

-9 が生み出されています。

 

さて、

「-9 って?」と聞いたこの子に引きずられると、

 {(x-3)^{2}-9=1} を、

 {x^{2}-6x+9-9=1} と展開して、

この子に説明しようとしてしまいます。

 

2 次方程式を解く流れは、

 {x^{2}-6x-1=0} を、

 {x^{2}-6x=1} としてから、

 {(x-3)^{2}-9=1} とする流れです。

 

この子に説明するために、

 {(x-3)^{2}-9=1} を、

 {x^{2}-6x+9-9=1} と展開して、

+9-9=0 ですから、

 {x^{2}-6x=1} とすれば、

説明にはなります。

 

-9 が必要だと、

納得できます。

 

でも、

解く流れの

逆の向きです。

 

この子は、

自分も計算していますから、

流れを追っていて、

「-9 って?」の疑問を持ちます。

 

説明するために、

逆向きの流れにしてしまうと、

困ったことに、

この子に、とても漠然とした新たな疑問、

「なぜ?」を感じさせてしまいます。

 

解く流れに逆らって、

逆向きに説明してしまったからです。

 

ですから、

「-9 って?」と聞いたこの子に、

 {x^{2}-6x=1} {x^{2}-6x} を示して、

「これ」と言ってから、

この式の下の狭い余白に、

 {(x^{2}-6x+9)-9=1} を、書くだけにします。

 

こうすれば、

解く流れのままなのです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -425)、(分数  {\normalsize {α}} -165)