y の係数だけが、2 倍になっている連立方程式は、y の答えだけが、半分になります。子どもが、「どうして?」と考え始めるようなリードが可能です。

2 つの連立方程式を、

並べて見せます。

 

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+2y-z=12\\2x+y-4z=8\\4x-y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} と、

それから、

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+4y-z=12\\2x+2y-4z=8\\4x-2y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} です。

 

y の前の数(係数)だけが、違っています。

 

1 番目は、

y の前に、上から順に、

+2 、+1 、-1 が付いています。

 

2 番目は、

y の前に、上から順に、

+4 、+2 、-2 が付いています。

 

2 倍になっています。

 

 

さて、

1 番目を、子どもに解かせます。

 

解く前に、

「何、消す?」と聞きます。

 

「 y 」と、答えてくれます。

 

次に、

「どうする?」と聞きます。

 

「 ②+③ 」、

「 ①+2×③ 」と、即答してくれます。

 

 

このように、

解き方を決めた後、

解かせます。

 

途中の計算の概略です。

 

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+2y-z=12\\2x+y-4z=8\\4x-y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}}

2 番目と、3 番目を足すと。

6x-z=34 です。

 

1 番目に、3 番目を 2 倍した式を足すと。

9x+5z=64 です。

 

2 つの式を、

新たに連立させて、{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}6x-z=34\\9x+5z=64\end{array}\right.\end{eqnarray}} です。

 

ここで子どもは、

自力で、

解く前に解き方を決めます。

 

z を消すことと、

1 番目の式を 5 倍して、2 番目に足す・・

のように決めます。

 

計算して、39x=234 から、

x=6 です。

 

1 番目の式から、

36-z=34 で、

z=2 です。

 

そして、

x=6 、z=2 と、

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+2y-z=12\\2x+y-4z=8\\4x-y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} の 2 番目の式から、

12+y-8=8 で、

y=4 です。

 

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+2y-z=12\\2x+y-4z=8\\4x-y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} の解は、

x=6 、y=4 、z=2 です。

 

 

この子が、

このように、

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+2y-z=12\\2x+y-4z=8\\4x-y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} を解いた後、

もう 1 つの連立方程式

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+4y-z=12\\2x+2y-4z=8\\4x-2y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}}

式の形の見方を伝えます。

 

例えば、

先の連立方程式

1 番目 x+2y-z=12 の

式の y の前が、2 で、

後の連立方程式

1 番目 x+4y-z=12 の

式の y の前が、4 で、

y の前の数以外の x の前や、z の前は、

同じであることを見比べて気付かせます。

 

こうすれば、

子どもは、

y の係数だけが、2 倍になっていることに、

見比べることで気付きます。

 

この後で、

「y の答えは、どうなる?」と聞きます。

 

この子は、

「2 倍!」と答えます。

自信があるようです。

 

 

子どもの答え 「2 倍!」 を聞いて、

こちらは、ニヤッとなってしまう自分を抑えて、

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+4y-z=12\\2x+2y-4z=8\\4x-2y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} を解く前に、

「y の答えは、2 倍」と書かせます。

 

それから、

「何、消す?」と、

「どうする?」のリードで、

解き方を決めてから、

子どもに解かせます。

 

途中の計算を省略します。

 

子どもが出した答えは、

x=6 、y=2 、z=2 です。

 

 

このように解いた子に聞きます。

「どうなった?」です。

 

子どもは、

「半分・・」と答えてくれます。

 

 

でもこの子は、

「y の答えは、2 倍」と書いていますから、

自分の予想が、

間違っていたことを知ります。

 

実は、

これで、この子へのリードを、

打ち切ってしまいます。

 

こちらからは、

「y の答えは、2 倍」の予想が、

間違っていたことを指摘しません。

 

こうした方が、

子どもの心に、

「どうして、半分なの?」と、

引っかかって、残ります。

 

アレコレと考えてくれます。

 

このようなことから、

何かを思い付くことを体験していきます。

 

これが、

現場の教え方の知恵です。

 

(基本  {\normalsize {α}} -538)、(分数  {\normalsize {α}} -229)