筆算のかけ算の中の繰り上がりのたし算は、後追いから、待ち伏せに変身します。子どもの主体性が育つことで、この変身をスムースに行うことができます。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  78 \\ \:\times  \:\:\: 7 \\ \hline \end{array}  }}\\ のようなかけ算を計算します。

 

九九を 2 回の後に、

繰り上がりのたし算のある計算です。

 

この繰り上がりのたし算を、

2 回の九九の後追いで計算すると、

九九からたし算に切り替えることが

意外と難しい計算になります。

 

繰り上がりのたし算の答えを、

すぐに出せなくて、

筆算のかけ算の計算自体が止まってしまいます。

 

後追いではなくて、

2 回の九九の後に

繰り上がりのたし算があると

待ち伏せていれば、

計算の切り替えが済んでいますから、

簡単なたし算です。

 

8+3= の答え 11 を、

たし算の感覚で、

瞬時に出す力を使うことができます。

 

たし算を計算すると待ち伏せているからです。

 

2 回の九九の後追いで、

たし算が出てからでしたら、

たし算の感覚にブレーキがかかっていて、

使えないのです。

 

 

でも、

繰り上がりのたし算を、

後追いのたし算から、

待ち伏せるたし算に入れ替えるのは、

子ども自身です。

 

子どもの主体性が育てば、

「後追いだから難しい」、

「たし算を待ち伏せればいい」と、

自ら、

後追いのたし算を、

待ち伏せるたし算へ、

入れ替えてしまうことができます。

 

 

実は、

同時なのです。

 

主体性を育てながら、

後追いのたし算を、

待ち伏せるたし算に入れ替えています。

 

共に育っていきます。

 

主体性を育てることが、

筆算のかけ算の繰り上がりのたし算を

待ち伏せに入れ替えることと

統合されています。

 

組み込まれています。

融合しています。

 

 

後追いのたし算を、

待ち伏せるたし算に入れ替えることと、

主体性を共に育てるような教え方に、

向いているのが、

こちらの計算の実況中継を見せることです。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\

4 と、9 を示しながら、

「しくさんじゅうろく(4×9=36)」、

4 の真下を示して、

「ろく(6)」、

「指、さん(3)」とリードして、

こちらの計算の実況中継を見せます。

 

見ている子は、

当事者になり、

自らも九九を心の中で唱えて、

そして、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:6\end{array}  }}\\ と書いて、

指を 3 本伸ばします。

 

次に、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:6\end{array}  }}\\

4 と、2 を示しながら、

「しにがはち(4×2=8)」、

子どもが指に取った 3 を触って、

「はち足すさん、じゅういち(8+3=11)」、

2 の真下を示して、

「じゅういち(11)」とリードします。

 

見ている子は、

自ら、心の中で、

九九を計算して、

繰り上がりのたし算を計算しようとします。

 

ここで子どもは、

こちらの実況中継の計算と、

自分の心の中の計算に、

大きなギャップを感じます。

 

筆算のかけ算に慣れていない子は、

繰り上がりのたし算が、

2 回の九九の後追いです。

 

モタモタとした計算なのですが、

子どもが見ているこちらの実況中継は、

「はち足すさん、じゅういち(8+3=11)」と、

瞬時に答え 11 を出しています。

 

大きなギャップです。

 

でも、子どもは、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \times  \:\:\: 4 \\ \hline 116\end{array}  }}\\ と書いて、

計算を完成させます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  78 \\ \:\times  \:\:\: 7 \\ \hline \end{array}  }}\\

こちらの実況中継中の

繰り上がりのたし算の部分、

「しじゅうく足すご、ごじゅうし(49+5=54)」にも、

子どもは大きなギャップを感じます。

 

こちらの実況中継の計算と、

自分の心の中の計算とのギャップです。

 

 

そして、

この大きなギャップを感じる回数が、

増えるに連れて、

子どもの繰り上がりのたし算が、

後追いから、

待ち伏せに入れ替わってしまいます。

 

こちらの実況中継のたし算のように、

「あのような速さでたし算の答えを出したい」と、

子どもの中の主体性が刺激を受けて、

主体性の育ちと、

待ち伏せるたし算への入れ替えが、

共に起こります。

 

後追いのたし算を、

待ち伏せるたし算に入れ替えることができるに

十分な主体性が育てば、

繰り上がりのたし算を待ち伏せるようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -559)、(×÷  {\normalsize {α}} -121)