「3 けた×1 けた」の筆算のかけ算の長い計算手順のわずか 1 カ所だけを間違えている子です。そこだけを教えることは、できそうでできないことです。間違えた問題を、こちらがリードして、初めから計算し直すことで、教えます。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline \end{array}  }}\\ を、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline902\end{array}  }}\\ と計算します。

 

間違えています。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline812\end{array}  }}\\ が、正しい計算です。

 

また、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:5\\ \hline \end{array}  }}\\ を、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:\:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:\:\:5\\ \hline1105\end{array}  }}\\ と計算します。

 

これも、

間違えています。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:\:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:\:\:5\\ \hline1015\end{array}  }}\\ が、正しい計算です。

 

 

計算の仕方が、

一部分だけ混乱しています。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline \end{array}  }}\\ の 1 番目の計算、

4×3=12 の繰り上がり数 1 を、

この後の計算で足すことは、

理解できています。

 

2 番目の計算、

4×0=0 に足せば、

正しい計算になります。

 

それをこの子は、

3 番目の計算、

4×2=8 に足して、

8+1=9 としています。

 

繰り上がり数 1 を、

足す場所を、

間違えているだけです。

 

同じように、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:5\\ \hline \end{array}  }}\\ の 1 番目の計算、

5×3=15 の繰り上がり数 1 を、

この後の計算で足すことは、

理解できています。

 

2 番目の計算、

5×0=0 に足せば、

正しい計算になります。

 

それをこの子は、

3 番目の計算、

5×2=10 に足して、

10+1=11 としています。

 

やはり、

足す場所を、

間違えているだけです。

 

 

計算の流れの中の一部分、

繰り上がり数 1 を足す場所だけを

間違えているこの子に、

正しい足す場所を教えることは、

実は、

意外と難しいのです。

 

正しくできている部分を、

そっくりそのまま残して、

間違えているこの 1 カ所だけを、

この子が、

「なるほど、ここに足すのか・・」と、

正しく理解できて、

正しく計算できるようにします。

 

教えることができそうで、

できないのです。

 

 

教えることの難しさは、

こちらのことです。

 

この子にしたら、

教えることができそうで、

できないことを習うのですから、

実は、

習うことの難しさになります。

 

こちらが難しいだけでなく、

子どもも難しいのですから、

繰り上がり数 1 を足す場所だけを、

この子が正せるように教えることを、

諦めます。

 

このような都合のよい教え方を、

できないと認めます。

 

そして、

今、正しくできている部分を、

正しいと認める教え方をします。

 

 

一つの実例を、

以下に書きます。

 

間違えた答え  {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline902\end{array}  }}\\ を、

そのまま残して、

こちらの計算の実況中継を見せます。

 

4 と 3 を順に示しながら、

「しさんじゅうに(4×3=12)」、

子どもが書いた答え 902 の 2 を示して、

「合っている」、

「指、1」です。

 

続いて、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline902\end{array}  }}\\ の 4 と 0 を順に示しながら、

「し掛けるゼロ、ゼロ(4×0=0)」、

子どもが指に取った 1 を触って、

「ゼロ足すいち、いち(0+1=1)」、

子どもが書いた答え 902 の 0 を示して、

「ここ、いち(1)」です。

 

「えっ、ここに足すの・・」と、

意外性にやや驚きながら、

この子は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline912\end{array}  }}\\ と書き直します。

 

そして、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline912\end{array}  }}\\ の 4 と 2 を順に示しながら、

「しにがはち(4×2=8)」、

子どもが書き直した答え 912 の 9 を示して、

「ここ、はち(8)」です。

 

この子は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203\\ \:\times  \:\:\:\:\:\:4\\ \hline812\end{array}  }}\\ と書き直します。

 

ここまで教えたら、

終わります。

 

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:\:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:\:\:5\\ \hline1105\end{array}  }}\\ も、

同じようなリードで、

こちらの計算の実況中継から学び、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:\:203\\ \:\:\times  \:\:\:\:\:\:\:\:5\\ \hline1015\end{array}  }}\\ と書き直します。

 

そして、こちらは、

こちらの計算の実況中継を見て、

子どもが学んだことを、

自分のものとして、

これからの計算に利用することを待ちます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -608)、(×÷  {\normalsize {α}} -127)