算数や数学の計算スキルだけを育てているのではありません。同時に、それ以前の力を応用するために、自分の頭の中を検索する力も育てています。文字式の展開で、分数のわり算を利用します。

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}}= の

かっこを外す問題(展開)を、

自力で解くことができなくて、

「どうやるの?」と聞く子です。

 

「分からない?」と、

幼稚な聞き方ではありませんから、

こちらは、

この子を少し育てることができていると、

自己評価できます。

 

でも、

「これは、分数のような計算ですか?」や、

「÷ の右を分母にしようとすると、

分母が、分数になりますが・・」と

この子が聞くようになっていたら、

こちらは、

この子をもっと高いレベルまで

育てることができていると自己評価できます。

 

つまり、

このようなレベルまで、

この子を育てていないのですから、

この問題で、

この子をこのレベルに高めるようにします。

 

 

今のこの子の育ちのレベルは、

「どうやるの?」の聞き方で、

「これは、分数のような計算ですか?」の

手前ですから、

この子の育ちのレベルを

押し上げるようなリードをします。

 

すぐに思い付くリードは、

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}}= の  {\Large\frac{1}{2a}} を示して、

分数の形であることに気付かせて、

÷ を示して、

分数のわり算は、

どのように計算したのかを

思い出させることです。

 

こうすると、

こちらに教えられて気付いたのですから、

こちらが、

分数の形から、

分数のわり算を連想する発想自体を、

教えてはいないことになります。

 

 

ですから、

逆説的ですが、

分数のわり算の計算だけをリードすることで、

子どもが心の中で、

「そうか、分数のわり算だ」と

こちらのリードに刺激されて

発見できるようにすれば、

分数の形から、

分数のわり算の計算を連想する発想を、

子どもに教えたことになります。

 

このように考えて、

以下のようなリードをします。

 

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}}= の「かっこ」全体を示して、

「これ、ここ」とリードして、

= の右に移します。

 

言葉で、

「分数のわり算と同じように計算します」のように、

子どもに説明しません。

 

「そうか!」、

「分数のわり算か!」と、

発見する喜びを、

子どもに残すためです。

 

子どもは、

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}} {(3ab-2a^{2}b)}

書きます。

 

次に、

÷ を示して、

「掛ける(×)」です。

 

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}} {(3ab-2a^{2}b)×} と、

この子は書き足します。

 

そして続けて、

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}} {(3ab-2a^{2}b)×}

{\Large\frac{1}{2a}} を示して、

「上、2a」、

「下、1」です。

 

ここまでくると、

子どもは、

分数のわり算のような計算であることを発見して、

 {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}} {(3ab-2a^{2}b)×{\Large\frac{2a}{1}}}

書きます。

 

 

このリードで、

子どもは、

改めて式  {(3ab-2a^{2}b)÷{\Large\frac{1}{2a}}}= を見て、

分数のわり算の形になっていることを

ハッキリと確認します。

 

分数のわり算のような計算をする・・と、

言葉で説明していないから、

自動的に子どもが、

「何をしている?」と自分に聞いて、

「分数のわり算のような計算」をしていることに、

気付くと言うよりも、

発見に近い体験をします。

 

(基本  {\normalsize {α}} -711)、(分数  {\normalsize {α}} -306)