2けたの筆算のたし算を、十の位から、つまり左から計算する子です。こちらがこの子の計算の仕方を尊重して、速いスピードで左から足す計算をリードすれば、この子の計算のスピードが速くなります。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ のような筆算のたし算を、

十の位から計算する子です。

 

十の位からは、

左からの計算です。

 

普通は、

一の位から計算しますから、

右からになります。

 

右からの計算に見慣れていると、

左から足す子の計算は、

普通ではない変わった計算の仕方に

見えてしまいます。

 

 

でもこの子は、

左からの計算に慣れています。

 

左からの計算で、

繰り上がりがあると、

次のようなやや込み入った計算です。

 

① 4+1=5 と、

十の位のたし算の答え 5 を出します。

 

これは、普通のたし算です。

込み入っていません。

 

繰り上がり数があれば、

1 を足されるだけだからです。

 

ですが、

繰り上がりがあるのか、

ないのか分かりませんから、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ + 15 \\ \hline5\:\:\:\end{array} }} \\ と書くことも、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ + 15 \\ \hline6\:\:\:\end{array} }} \\ と書くこともできません。

 

② 次に計算する一の位のたし算の答えが、

10 以上であれば、

1 繰り上がるので、

この十の位のたし算の答え 5 は、

1 増えて、6 に変わります。

 

こうであれば、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ + 15 \\ \hline6\:\:\:\end{array} }} \\ と書くことができます。

 

でも、一の位のたし算の答えが、

10 未満であれば、

繰り上がりませんから、

この十の位のたし算の答え 5 は、

5 のまま変わりません。

 

こうであれば、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ + 15 \\ \hline5\:\:\:\end{array} }} \\ と書くことになります。

 

③ 一の位のたし算を計算すると、

9+5=14 です。

 

十の位の左からの計算する子も、

まず、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \:\:\:\:4\end{array} }} \\ と書きます。

 

ここだけ見ると、

右から足す子と同じようです。

 

でも、

この子はすでに、

十の位のたし算の答え 5 を出しています。

 

5 のままなのか、

それとも、6 にするのかを決めるために、

一の位のたし算の答え 14 を出して、

4 を書いています。

 

④ 一の位のたし算の答えが、14 で、

10 以上ですから、

十の位のたし算の答え 5 は、

1 増えて、6 に変わります。

 

このように、

やや込み入った計算をして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:64\end{array} }} \\ と書きます。

 

 

さて、

子どもを教え導く側のこちらが、

左から計算する子を見ると、

普通は、

右からの計算に変えようとします。

 

つまり、

右からの計算を、

押し付けてしまいます。

 

右から計算することが、正しくて、

左から計算することは、

計算の仕方が間違えていると、

素朴に思うことが多いからです。

 

 

実は、

右からの計算と、

左からの計算の違いは、

速いスペードの計算のしやすさの違いだけです。

 

右から計算した方が、

楽に、

計算のスピードを速めることができます。

 

左からの計算で、

計算のスピードを速めようとしたら、

かなり大変なことになります。

 

ですから、

左から足す子の計算のスピードは、

普通、

とてもユックリです。

 

計算のスピードを

速く

できないのです。

 

 

それでも、

以下のような実況中継のリードをすれば、

左から足す子の計算のスピードを、

速くすることができます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ を見ている子の真後ろから、

この子の頭の上の方から、

見下ろすような感じで、

「し足すいち、ご」と早口で計算してすぐ、

「く足すご、じゅうし」と、

やはり早口で計算して、

「ご(5)が、ろく(6)になる」とリードして、

1 の真下を示します。

 

見て、聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ + 15 \\ \hline6\:\:\:\end{array} }} \\ と書きます。

 

子どもが書いたのを見てから、

5 の真下を示して、

「し(4)」です。

 

見て、聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline\:\:64\end{array} }} \\ と書きます。

 

 

このようなリードで、

こちらは子どもの真後ろです。

 

子どもに見えるのは、

目の前の問題  {\normalsize { \begin{array}{rr} 49 \\ +\: 15 \\ \hline \end{array} }} \\ です。

 

こちらの声は、

子どもの後方から聞こえています。

 

子どもは、

こちらの顔を見ません。

こちらの表情を読み取る必要がありません。

 

問題を見たまま集中して、

左からの計算のスピードが速くなることを、

体感できます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -773)、(+-  {\normalsize {α}} -412)