のような筆算のたし算を、
十の位から計算する子です。
十の位からは、
左からの計算です。
普通は、
一の位から計算しますから、
右からになります。
右からの計算に見慣れていると、
左から足す子の計算は、
普通ではない変わった計算の仕方に
見えてしまいます。
でもこの子は、
左からの計算に慣れています。
左からの計算で、
繰り上がりがあると、
次のようなやや込み入った計算です。
① 4+1=5 と、
十の位のたし算の答え 5 を出します。
これは、普通のたし算です。
込み入っていません。
繰り上がり数があれば、
1 を足されるだけだからです。
ですが、
繰り上がりがあるのか、
ないのか分かりませんから、
と書くことも、
と書くこともできません。
② 次に計算する一の位のたし算の答えが、
10 以上であれば、
1 繰り上がるので、
この十の位のたし算の答え 5 は、
1 増えて、6 に変わります。
こうであれば、
と書くことができます。
でも、一の位のたし算の答えが、
10 未満であれば、
繰り上がりませんから、
この十の位のたし算の答え 5 は、
5 のまま変わりません。
こうであれば、
と書くことになります。
③ 一の位のたし算を計算すると、
9+5=14 です。
十の位の左からの計算する子も、
まず、
と書きます。
ここだけ見ると、
右から足す子と同じようです。
でも、
この子はすでに、
十の位のたし算の答え 5 を出しています。
5 のままなのか、
それとも、6 にするのかを決めるために、
一の位のたし算の答え 14 を出して、
4 を書いています。
④ 一の位のたし算の答えが、14 で、
10 以上ですから、
十の位のたし算の答え 5 は、
1 増えて、6 に変わります。
このように、
やや込み入った計算をして、
と書きます。
さて、
子どもを教え導く側のこちらが、
左から計算する子を見ると、
普通は、
右からの計算に変えようとします。
つまり、
右からの計算を、
押し付けてしまいます。
右から計算することが、正しくて、
左から計算することは、
計算の仕方が間違えていると、
素朴に思うことが多いからです。
実は、
右からの計算と、
左からの計算の違いは、
速いスペードの計算のしやすさの違いだけです。
右から計算した方が、
楽に、
計算のスピードを速めることができます。
左からの計算で、
計算のスピードを速めようとしたら、
かなり大変なことになります。
ですから、
左から足す子の計算のスピードは、
普通、
とてもユックリです。
計算のスピードを
速く
できないのです。
それでも、
以下のような実況中継のリードをすれば、
左から足す子の計算のスピードを、
速くすることができます。
を見ている子の真後ろから、
この子の頭の上の方から、
見下ろすような感じで、
「し足すいち、ご」と早口で計算してすぐ、
「く足すご、じゅうし」と、
やはり早口で計算して、
「ご(5)が、ろく(6)になる」とリードして、
1 の真下を示します。
見て、聞いていた子は、
と書きます。
子どもが書いたのを見てから、
5 の真下を示して、
「し(4)」です。
見て、聞いていた子は、
と書きます。
このようなリードで、
こちらは子どもの真後ろです。
子どもに見えるのは、
目の前の問題 です。
こちらの声は、
子どもの後方から聞こえています。
子どもは、
こちらの顔を見ません。
こちらの表情を読み取る必要がありません。
問題を見たまま集中して、
左からの計算のスピードが速くなることを、
体感できます。
(基本 -773)、(+- -412)