繰り下がりのあるひき算の混乱を抜けた後に、繰り下がりのないひき算を計算させます。楽にできるはずなのに、戸惑う子がいます。こうなる子は、繰り下がりのないひき算と、繰り下がりのあるひき算を、どちらも楽に計算できるようになるまで、数週間かかります。

{ \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:\: 36 \\ - 11 \\ \hline \end{array} }} \\  の計算で、

ひどく戸惑います。

 

できたはずの計算です。

 

ですが、

今は、戸惑っています。

 

 

少し前には、

{ \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:\: 36 \\ - 19 \\ \hline \end{array} }} \\  のように、

繰り下がりのあるひき算で、

モタモタと戸惑っています。

 

答えの出し方をつかむまで、

数日ではなくて、

数週間の時間が必要な子です。

 

今は、

つかんでいますから、

{ \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:\: 36 \\ - 19 \\ \hline \end{array} }} \\  の 6 と 9 を見て、

「引けない」と評価して、

16-9=7  と引いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:36 \\ -\: 19\\ \hline \:\:\:\:7\end{array} }} \\  と書いて、

3 を、2 にしてから、

2-1=1  と引いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:36 \\ -\: 19\\ \hline \:17\end{array} }} \\  と書くことができます。

 

スラスラと計算できます。

 

 

そして、

できたはずのひき算

{ \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:\: 36 \\ - 11 \\ \hline \end{array} }} \\  を計算させます。

 

6 と 1 を見て、

6-1=5  と引いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:36 \\ -\: 11\\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\  と書いて、

3 と 1 を見て、

3-1=2  と引いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:36 \\ -\: 11\\ \hline \:25\end{array} }} \\  と書くだけの計算です。

 

できなくなっています。

 

 

「どうして?」としても、

この子の戸惑いを助ける手伝いになりません。

 

そうではなくて、

「引くことができなくなっている」事実を認めて、

「繰り下がりのあるひき算の後の

繰り下がりのないひき算での戸惑いは、

抜け出るまでに

数週間の時間が掛かる」と、

覚悟を持ってしまいます。

 

そして、

言葉による説明をしないように注意して、

こちらが計算を代行して、

実況中継型リードで、

答えを出してしまいます。

 

{ \normalsize { \begin{array}{rr}\:\:\:\: 36 \\ - 11 \\ \hline \end{array} }} \\  の 6 と 1 を示して、

「6-1=5」と引いて、

11 の一の位の 1 の真下を示します。

 

リードされた子は、

戸惑ったままで、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:36 \\ -\: 11\\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\  と書きます。

 

 

代行の計算を続けます。

 

3 と 1 を示して、

「3-1=2」と引いて、

11 の十の位の 1 の真下を示します。

 

やはり、

戸惑ったままの子どもが、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:36 \\ -\: 11\\ \hline \:25\end{array} }} \\  と書きます。

 

 

戸惑った子の計算が止まったら、

このような実況中継型リードで、

子どもと協力して、

答えを書き終えます。

 

数週間、手伝う覚悟を持ちます。

 

こちらから子どもに、

「分かった?」と聞きません。

 

実況中継型リードで、

子どもとの協力関係で、

答えを書き終えたら、

手伝いを終えます。

 

こうしていると、

数週間後に、

子どもから、

「分かった」、

「もうできる」と言うようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -990)、(+-  {\normalsize {α}} -525)