「その顔つきじゃ、解けない!」と、鋭く子どもに言います。顔つき、つまり内面を引き締めた子は、連続した繰り下がりの難しい計算手順をつかみます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:800 \\ - \: 506\\ \hline \end{array} }} \\ のようなひき算です。

 

初めてであっても、

子どもが知っている計算だけで、

計算できます。

 

① 一の位の0と6を上から下に見て、引きます。

子どもが知っていることです。

 

② 0-6 は、計算できません。

子どもが知っていることです。

 

③ 1を借りて、10にしてから、6を引きます。

子どもが知っていることです。

 

④ 引きます。

10-6=4 です。

子どもが知っていることです。

 

⑤ 答え4を、6の真下に書きます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:800 \\ -\: 506\\ \hline \:\:\:\:4\end{array} }} \\ です。

子どもが知っていることです。

 

⑥ 引かれる数 800 の十の位の0は、

1貸して、9です。

子どもが知っていることです。

 

・・・、7、8、9、10、・・・の数字の並びの逆です。

10の0の前は、9です。

 

⑦ この9から、引く数 506 の十の位の0を引きます。

9-0=9 です。

子どもが知っていることです。

 

⑧ 答え9を、0の真下に書きます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:800 \\ -\: 506\\ \hline \:\:94\end{array} }} \\ です。

子どもが知っていることです。

 

⑨ 8は、1貸して、7です。

子どもが知っていることです。

 

⑩ この7から、5を引きます。

7-5=2 です。

子どもが知っていることです。

 

⑪ 答え2を、5の真下に書きます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:800 \\ -\: 506\\ \hline 294\end{array} }} \\ です。

子どもが知っていることです。

 

このようにすれば、

子どもが知っている計算だけで、

初めての  {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:800 \\ - \: 506\\ \hline \end{array} }} \\ を計算できます。

 

11ステップのどの一つも、

子どもが知っていることですが、

このような組み合わせは初めてです。

 

かなり難しい組み合わせです。

 

それなのに、

目の前の子は、

気を抜いた顔つきです。

 

「その顔つきじゃ、解けない!」と、

鋭く子どもに言います。

 

子どもはすぐ、

顔を引き締めます。

 

顔を引き締める、

つまり、内面をギュッと引き締めることで、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:800 \\ - \: 506\\ \hline \end{array} }} \\ の難しい計算手順をつかむことができます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -154)、(+-  {\normalsize {α}} -100)

 

甘えの残っている幼児のたし算の手伝い方です。

幼児が、

5+3= を計算します。

 

5を見て、

「ご」と黙読して、

3を見て、

「ろく、しち、はち」と3回数えて、

5+3=8 と書きます。

 

鉛筆の先で、

自分の親指、人差し指、中指をつつきながら、

「ろく、しち、はち」と数えます。

 

この幼児の計算の仕方です。

 

さて、

この幼児には、

幼児らしい甘えが少し残っています。

 

だから、

甘えを受け入れますが、

甘えが小さくなるようなリードをします。

 

こちらが、

5を示して、

「ご」と、声に出して読みます。

 

そして、

5を示したまま、

問題 5+3= と、

目の前の幼児から、

こちら自身の気配を消します。

 

甘えが残っている幼児が、

こちらを探るように見上げても、

視線を合わせません。

 

幼児と、

5+3= への気配を消していますから、

幼児の甘えに反応しません。

 

幼児を無視するのはなくて、

こちらが気配を消していますから、

そこにいないのです。

 

そして、

「続きを、計算したければすればいい」、

「しなくても、これ以上は手伝わない」で、

気配を消したままにします。

 

甘えの残っている幼児は、

このような空白、

つまり無反応が嫌いですから、

仕方なく、鉛筆の先で、

自分の親指、人差し指、中指をつつきながら、

「ろく、しち、はち」と数えて計算します。

 

そして、

5+3=8 と書きます。

 

幼児が、

答え8を書いたのを、

視線の中でボンヤリと見たら、

次の問題 8+3= の8を示して、

「はち」と声に出して読みます。

 

そして、

8を示したままで、

また気配を消します。

 

幼児が、

「く、じゅう、じゅういち」と数えて、

8+3=11 と書くのがボンヤリと見えたら、

次の問題 4+3= の4を示して、

「し」と声に出して読みます。

 

このようなリードで、

幼児の甘えを認めて、

受け入れて、

幼児らしい甘えを減らす手伝いをします。

 

(基本  {\normalsize {α}} -153)、(+-  {\normalsize {α}} -099)

 

こちらがたし算を計算する見本を見て、計算の仕方を理解できても、まねできない子がいます。そっと子どもの手を包み持ち、鉛筆を動かすリードで教えます。

目の前の幼児に、

たし算を、

こちらが計算して見せます。

 

幼児のできる力だけを使い、

たし算を計算します。

 

5+1= の

5を示して、「ご」と声に出して読み、

1を示して、「ろく」と1回数えて、

=の右を示して、「ここ、ろく(6)」です。

 

自分ができることだけの計算です。

幼児に、すべて理解できます。

「なるほど」となります。

 

だから納得して、

5+1=6 と答えを書きます。

 

別のたし算 3+2= の

3を示して、「さん」と声に出して読み、

2を示して、「し、ご」と2回数えて、

=の右を示して、「ここ、ご(5)」です。

 

やはり、

すべて理解できる幼児は、

「なるほど」と納得して、

3+2=5 と書きます。

 

元気にテキパキとしている幼児でしたら、

5~6問や、

8~10問、

このようなたし算の計算を見せるだけで、

「あぁ、そうやるのか」と、

まねして計算し始めます。

 

でも、

少しおっとりとした幼児は、

見せるだけでは、

まねして計算しようとしません。

 

もちろん、

幼児のできることだけのたし算ですから、

「あぁ、そうやるのか」と理解できています。

 

でも、

計算を見て、理解できていることと、

自分が同じようにまねして計算することが、

それぞれ別で、

つながらない幼児です。

 

少しおっとりとしているだけです。

 

だから、

こちらの計算を見て、

理解できているたし算を、

この子が同じように計算できる手伝いをします。

 

この子の鉛筆を持った手を、

こちらがそっと包み持ちます。

 

そして、この子の鉛筆を

こちらが動かす手伝いをします。

 

5+1= の5を、

鉛筆の先でつついてから、

「ご」と声に出して読みます。

 

次に、

1を、鉛筆の先でつついて、

「ろく」と、声に出して、1回数えます。

 

それから、

鉛筆の先を、

=の右に動かして、

「ここ、ろく(6)」で、

子どもの手を包み持ったこちらの手を離します。

 

ここまで手伝えば、

少しおっとりとしている幼児も、

同じようにまねできます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -152)、(+-  {\normalsize {α}} -098)

 

アレコレと問題行動を次々に起こして、こちらが怒り出す限界を探る幼児に、「試されている」と仮定すれば、何をしていても怒らないで、幼児をガッカリさせるゲームになります。

5+3= を数えて計算する幼児です。

 

計算の仕方に慣れています。

 

5を見て、「ご」と黙読して、

3を見て、「ろく、しち、はち」と、3回数えて、

5+3=8 と書きます。

 

幼児には書きにくい数字、8も、

横に寝かさないで、

まっすぐに立たせて書くことができます。

 

でも、

やる気が、

日により、大きくばらつきます。

 

やる気が消えてしまう日もあります。

 

このような幼児の仮説:

「こちらを試している」は、

ほとんど知られていませんが、

とても効果のある仮説です。

 

こちらが怒り出す限界を

幼児はいつも探っていると

仮定する仮説です。

 

プツプツと集中を切らせます。

怒り出す限界を探っています。

 

「やりたくない」と言いながら、

鉛筆を離します。

怒り出す限界を探っています。

 

この仮説を、

こちらが受け入れれば、

目の前の幼児が何をしても、

一切、怒らずに、

ただ計算をリードするゲームと考えます。

 

集中が切れて止まっている問題 4+3= の

4を示して、「し」と声に出して読み、

3を示して、

「ご、ろく、しち」と3回、声に出して数えて、

=の右を示して、

「ここ、しち(7)」とリードします。

 

集中が、2~3分の間に、10回切れても、

1~2問計算したら集中が切れても、

怒ることなく、

たんたんと計算をリードします。

 

幼児に試されている仮説ですから、

怒らないことで、

幼児をガッカリとさせて、

計算に戻すゲームです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -151)、(+-  {\normalsize {α}} -097)

 

四則混合の計算の計算順で混乱したとき、+・-・×・÷ に絞って見る見方をリードするチャンスです。

 {\Large\frac{1}{2}} {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}÷ {\Large\frac{1}{6}} の+を先に計算しています。

 

 {\Large\frac{1}{2}} {\Large\frac{1}{3}} {\Large\frac{3}{6}} {\Large\frac{2}{6}} {\Large\frac{5}{6}} です。

 

分数のたし算の計算は、

通分も、たし算も正しくできています。

 

ですが、

計算の順番が違います。

 

 {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}÷ {\Large\frac{1}{6}} を先に計算するのが、

正しい順番です。

 

別の問題、

 {\Large\frac{3}{7}}÷4+4 {\Large\frac{1}{5}}÷7 は、

正しい計算順で、計算しています。

 

① 左の÷ ( 3 {\Large\frac{3}{7}}÷4 )、

② 右の÷ ( 4 {\Large\frac{1}{5}}÷7 )、

③ 真ん中の+ の順です。

 

もう一つ別の問題、

 {\Large\frac{3}{7}}× {\Large\frac{1}{8}}÷ {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{4}{7}} は、

-を先に計算しようとします。

 

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{4}{7}} {\Large\frac{7}{28}} {\Large\frac{16}{28}} まで計算して、

引けなくなり、

続きを聞きます。

 

計算の順番が違います。

 {\Large\frac{3}{7}}× {\Large\frac{1}{8}}÷ {\Large\frac{1}{4}} を先に計算します。

これが正しい計算の順です。

 

さて、

計算の順を決めるために、

+・-・×・÷ の並び方だけを見ます。

 

 {\Large\frac{1}{2}} {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}÷ {\Large\frac{1}{6}} でしたら、

+ × ÷

の並び方です。

 

 {\Large\frac{3}{7}}÷4+4 {\Large\frac{1}{5}}÷7 は、

÷ + ÷

の並び方です。

 

 {\Large\frac{3}{7}}× {\Large\frac{1}{8}}÷ {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{4}{7}} は、

× ÷ -

の並び方です。

 

この子は今、

×と、÷が、

続いて並んでいると、

順番を決められなくなります。

 

このように混乱しているとき、

+・-・×・÷ の並び方だけを見る見方に、

式の見方を絞り込むチャンスです。

 

 {\Large\frac{1}{2}} {\Large\frac{1}{3}}× {\Large\frac{1}{4}}÷ {\Large\frac{1}{6}} の×と、÷だけを順に示して、

「これとこれ、一度に」と教えてから、

+を示して、

「次に、これ」とリードします。

 

+・-・×・÷ を示しながら、

「これ」とだけ言います。

 

このようなリードをすれば、

子どもは、

+・-・×・÷ に絞って見るようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -150)、(分数  {\normalsize {α}} -048)

 

6+5= の答え11が、6+5= を見ただけで浮かぶようになっても、子どもは浮かんだ答えを信じることができません。確信を促すリードをします。

6+5= を、

指を折って、数えて計算します。

 

6を、「ろく」と黙読して、

指を折りながら、

心の中で、声に出さないで、

「しち、はち、く、じゅう、じゅういち」と数えて、

答え11を出します。

 

子どもの計算ミスが大幅に減って、

楽しそうに指を折って数えているようであれば、

答え11が、先に浮かんでいます。

 

答え11が浮かんでいるのですが、

まだ自分がつかんだたし算の感覚を

信じていませんから、

指を折って数えることで、

浮かんでいる答え11を検算しています。

 

数えミスがあるようでしたら、

答えが浮かぶ前ですから、

指を折って数えなければ、

答え11を出せません。

 

子どもの状態が、

このような2つであると知っていて、

子どもを見分ける積りで見ることで、

見分けることができます。

 

答えが浮かんでいて、

指を折って数える検算でしたら、

こちらが答えをささやくようなリードをします。

 

8+4= に、

子どもが指を折る前に、

「じゅうに(12)」とささやきます。

 

9+6= でしたら、

やはり指を折る前に、

「じゅうご(15)」です。

 

このようなリードを、

何回か繰り返すことで、

子どもは、

自分に浮かんでいる答えと、

こちらがささやく答えが同じと分かって、

自分に浮かんでいる答えが正しいと確信できます。

 

つまり、

「あなたの心に浮かんでいる答えは、

合っています」のメッセージです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -149)、(+-  {\normalsize {α}} -096)

 

できると感じた自分の感覚を信じて計算します。間違っていても、それが糧となって感覚が育ちます。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:100 \\ - \: \:\:\:\:\:\:2 \\ \hline \end{array} }} \\ の計算の仕方を教える前に、

子どもが計算してしまいます。

 

こちらが計算して見せる教え方をしようとしたら、

計算しています。

 

子どもは、

できると感じたようです。

 

唐突ですが、

これからの時代に必要とされる感覚です。

「何となく、こうすればよさそう」の感覚です。

 

「そう」感じる感覚です。

 

感じるだけの感覚ですから、

正しいこともありますが、

間違えていることもあります。

 

でも、

「できそう」と感じただけでは、

計算していませんから、

正しい感覚なのか、

間違えた感覚なのか分かりません。

 

計算すれば、

正しいのか、

間違えているのかが分かります。

 

この子は、

「できそう」と感じただけではなくて、

自分の感覚を信じて計算しています。

 

自分の感覚を信じることは、

できそうでできません。

 

間違えているかもの

漠然とした恐れがあるからです。

 

自分の感覚を信じて計算することは、

できそうで、できないことをしたのです。

とてもいいことです。

 

ですが、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:100 \\ -\: \:\:\:\:\:\:2\\ \hline 198\end{array} }} \\ と計算しています。

間違えています。

 

計算したから、

間違えた感覚と分かります。

 

さて、

「こうだろう」と感じたのは、

子どもの内面の計算の指示役(リーダー)です。

 

指示役のリードに従い、

実行役が計算します。

 

問題の答えが間違えているのではなくて、

計算の仕方の間違いです。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:100 \\ -\: \:\:\:\:\:\:2\\ \hline 198\end{array} }} \\ の計算を正すことで、

計算の指示役(リーダー)に、

計算の仕方を教えます。

 

一の位の0と、その真下の2を示して、

「0-2、できない」、

「1借りる」、

「10-2=8」、

「この8、合っている」です。

 

次に、

十の位の0を示して、

「1減って、9」、

「この9、合っている」です。

 

最後に、

百の位の1を示して、

「使ったから、ない」、

「この1、消して」です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:100 \\ -\: \:\:\:\:\:\:2\\ \hline \:\:98\end{array} }} \\ と直ります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -148)、(+-  {\normalsize {α}} -095)