「計算したら答えを出せる」レベルから、「答えを生み出す」レベルに、年単位の時間をかけて少しずつ、子どもを案内していきます。

8+7= のようなたし算は、

「答えを生み出している」と

ほとんど意識していないで、

ただ計算しているのが普通です。

 

たし算の感覚を持っていれば、

8+7= を見るだけで、

答え 15 が浮かびます。

 

たし算の感覚を使って、

答え 15 を生み出したと、

意識していません。

 

答えが浮かびますから、

その浮かんだ答えを、

8+7=15 と書いているだけです。

 

数える計算でしたら、

8 を見て、

その次の 9 から、

+7 の 7 回、

9、10、11、12、13、14、15 と数えて、

答え 15 を出します。

 

このように数えて計算する子も、

答え 15 を生み出していると意識していません。

 

数えて計算しているだけです。

 

さて、

話しを進めて、

 {\Large\frac{4}{6}} のような約分を計算するとき、

約数 2 を思い付いて、

分母と分子を、それぞれ 2 で割って、

6÷2=3、4÷2=2 と計算して、

 {\Large\frac{4}{6}} {\Large\frac{2}{3}} と書きます。

 

分数の計算まで進むと、

何となくですが、

「答えを生み出している」と感じ始めるようです。

 

でもまだ、

計算しているだけと感じています。

 

つまり、

 {\Large\frac{4}{6}} の約分を、

約数 2 を思い付いて、

分母と分子を、2 で割って、

 {\Large\frac{4}{6}} {\Large\frac{2}{3}} と計算しているだけです。

 

答え  {\Large\frac{2}{3}} を生み出したとは思っていません。

 

また、

話しを進めて、

10-2 {\Large\frac{1}{3}}÷ {\Large\frac{3}{4}} や、

 {\Large\frac{5}{8}}×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )- {\Large\frac{1}{4}} のような

四則混合を計算します。

 

ここまで進むと、

「答えを生み出している」と感じ始めるようです。

 

計算順を、

先に決めてからでないと計算できません。

 

計算する前に、

計算の順番を決めるという、

計算とは違うことをするようになります。

 

10-2 {\Large\frac{1}{3}}÷ {\Large\frac{3}{4}} でしたら、

÷ が先で、- が後です。

 

 {\Large\frac{5}{8}}×(  {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{5}} )- {\Large\frac{1}{4}} でしたら、

かっこの中の + が最初で、

次に、× で、最後に、- です。

 

まだ、計算していません。

計算の順番を決めただけです。

 

でも、

計算の順番を決めたから、

計算することができて、

答えを出すことができます。

 

何となくですが、

「答えを生み出している」と感じるようです。

 

こちらが、

計算する前に、

「順番!」と指示して、

計算の順番を、指で示させるようにすると、

「答えを生み出している」と感じる手助けになります。

 

またまた、

話しを進めて、

(-2)(-4 {\Large\frac{1}{2}} )(- {\Large\frac{1}{3}} ) のような

正負の数のかけ算を計算します。

 

マイナス(-)の数を数えます。

3 つですから、

かけ算の答えも、マイナス(-)です。

 

まだ、

計算していません。

 

3 つの数の符号を見て、

マイナス(-)の数を数えて、

答えの符号を決めただけです。

 

(-2)(-4 {\Large\frac{1}{2}} )(- {\Large\frac{1}{3}} )=- と書くことができます。

 

こうなると、

「答えを生み出している」と感じる気持ちは、

よりハッキリとしてくるようです。

 

もっと、

話しを進めて、

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}x+2y-z=12\\2x+y-4z=8\\4x-y+3z=26\end{array}\right.\end{eqnarray}} のような

連立方程式を解きます。

 

式を眺めて、

y を消すと決めます。

 

2 番目と、3 番目の式を足します。

y が消えて、

6x-z=34 です。

 

2 番目の式を、2 倍して、

1 番目の式を引きます。

 

計算すると、

3x-7z=4 です。

 

このような計算から、

次は、

{\begin{eqnarray}\left\{\begin{array}{1}6x-z=34\\3x-7z=4\end{array}\right.\end{eqnarray}} を解きます。

 

このように解いていきます。

 

式を眺めて、

y を消すと決めるとき、

「答えを生み出している」と、

かなりハッキリと感じているようです。

 

こちらが、

連立方程式を解く前の子に、

「何を消す?」、

「どのようにして?」と聞くことで、

「答えを生み出している」と、

ハッキリと感じさせるようにします。

 

「答えを生み出す」とは、

問題からではなくて、

答えから問題を見る逆算の見方です。

 

答えが先にあるとして、

この答えを生み出すために、

その前に、どのようにするのかと、

アレコレ考えることです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -267)、(+-  {\normalsize {α}} -170)、(分数  {\normalsize {α}} -083)

 

2020年10月31日(土)~11月06日(金)のダイジェスト。

20年10月31日(土)

 

割り切れるわり算 24÷4= も、

あまりのあるわり算 27÷4= も、

九九を利用すれば計算できます。

 

慣れるまで、

戸惑います。

 

 

20年11月01日(日)

 

計算の仕方を理解することと、

理解した計算に慣れることは、

区別すべきで、

慣れることは自助努力だと気付くのが育ちです。

 

 

20年11月02日(月)

 

分数のひき算で、

引けなくて止まっている子です。

 

「どうようにできたら、計算できる?」をガイドに、

「引かれる数を大きくできたら、引ける」と考えて、

子どもに教えます。

 

 

20年11月03日(火)

 

たし算 5+3= の計算の仕方を、

言葉で説明して理解させても、

こちらの計算の実況中継を、

同じようにまねさせても、

どちらでも、

子どもは計算できるようになります。

 

 

20年11月04日(水)

 

6+5= の数える計算の仕方の教え方を、

詳しく説明します。

 

言葉で説明する教え方と、

こちらの計算を実況中継で見せる教え方の

2 つです。

 

 

20年11月05日(木)

 

2けた×1けたの筆算のかけ算の計算の仕方を、

子どもの様子をリアルタイムで見ながら教えます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ と書く書き方や、

繰り上がり数 3 の指への取り方や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:272\end{array}  }}\\ と書く書き方を、

リアルタイムで見ながら教えます。

 

 

20年11月06日(金)

 

(-1)×(-1)=+1 の理由を

説明してからでも、

(-1)×(-1)=+1 自体を

正しいと受け入れてからでも、

正負の数のかけ算の計算を修得できます。

 

(-1)×(-1)=+1 の理由を説明してからでも、(-1)×(-1)=+1 自体を正しいと受け入れてからでも、正負の数のかけ算の計算を修得できます。

(-1)×(-1)=+1 と計算します。

 

「-」と、

「-」を掛けて、

符号を、「+」にします。

 

そして、

1×1=1 のかけ算から、

+1 と計算しています。

 

このように計算できる理由を、

教えようとすれば、

工夫された物語が必要です。

 

困ったことに、

とても複雑な物語で、

マイナスに、マイナスを掛けると、

プラスになる理由を説明します。

 

その 1 つの物語を紹介します。

 

右向きに進むのをプラス(+)、

左向きに進むのをマイナス(-)とします。

 

1 秒後の未来を、+1 秒と、

1 秒前の過去を、-1 秒とします。

 

さて、

1 秒間に、1 ㎝の速さで、

左に進むとすれば、

速さは、-1 ㎝/秒と書けます。

 

1 秒前の過去:-1 秒に、

どこにいたのかを計算する式は、

(速さ)×(時間)=距離ですから、

(-1)×(-1) です。

 

左に、-1 ㎝/秒の速さで進むものが、

1 秒前の過去:-1 秒にいたところは、

右に、1 ㎝のところです。

 

右に、1 ㎝は、+1 ㎝です。

 

だから、

(-1)×(-1)=+1 と計算できます。

 

このような複雑な物語で、

(-1)×(-1)=+1 の理由を説明します。

 

さて、

このような物語を聞いて、

話しの流れを理解できる子であっても、

「なるほど」となるよりも、

「こじつけている」と感じるようです。

 

どうしても

わざとらしさを感じさせてしまいます。

 

だから、

少し根源的なことを考えます。

 

(-1)×(-1)=+1 と計算できる理由を、

説明して子どもを納得させても、

理由を説明しないで、

正しいことと受け入れさせても、

(-1)×(-1)=+1 を利用して、

(-2)×(-3)= を計算することは、

同じようにできます。

 

理由を聞いて納得していても、

正しいと受け入れていても、

どちらであっても、

(-1)×(-1)=+1 を利用できます。

 

つまり、

(-1)×(-1)=+1 を利用して計算することは、

(-1)×(-1)=+1 の理由を知っていることと無関係です。

 

もう一つの根源的なことは、

(-1)×(-1)=+1 の理由を説明する物語は、

左向きを、マイナスや、

過去の時間を、マイナスと決めています。

 

つまり、

このように決めたことを、

正しいことと受け入れさせています。

 

正しいことと受け入れさせている内容が、

左向きを、マイナスや、

過去の時間を、マイナスと決めたことであれば、

(-1)×(-1)=+1 の理由を説明する物語を、

生み出すことができます。

 

(-1)×(-1)=+1 自体を、

正しいことと受け入れれば、

(-1)×(-1)=+1 を利用して、

(-2)×(-3)= のような計算をできます。

 

このような違いです。

 

何かを正しいことと受け入れていることは、

同じです。

 

さて、

とても面白いことですが、

(-1)×(-1)=+1 自体を、

正しいことと受け入れさせると、

子どもは素直に受け入れてくれます。

 

そして、

(-2)×(-3)= のような計算の符号を、

+ に決めて、

2×3=6 のかけ算から、

(-2)×(-3)=+6 と計算してしまいます。

 

(-1)×(-1)=+1 自体を、

正しいことと受け入れさせることから始めても、

正負の数のかけ算を修得できます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -266)、(分数  {\normalsize {α}} -082)

 

2けた×1けたの筆算のかけ算の計算の仕方を、子どもの様子をリアルタイムで見ながら教えます。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような筆算のかけ算を教えます。

 

九九の1つの段を、

6秒で言える子への

初めての筆算のかけ算です。

 

計算の仕方自体は、

以下のようです。

 

8 から、4 を見て、

8×4=32 と計算して、

2 を、8 の真下に、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ のように書いて、

32 の 3 を、

繰り上がり数として覚えます。

 

次に、

8 から、3 を見て、

8×3=24 と計算して、

覚えている繰り上がり数 3 を足して、

24+3=27 として、

27 を、3 の真下に、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:272\end{array}  }}\\ のように書きます。

 

このような計算の仕方を、教えて、

子どもが自分で計算できるようにします。

 

どうして、

このように計算できるのかの理由ではなくて、

このような計算の仕方自体を教えます。

 

教える目的は、

子どもが自分で計算できるようになることです。

 

教えながら、

子どもが計算できるようになり始めているのかを

リアルタイムで評価可能なのは、

こちらの計算を実況中継で見せる教え方です。

 

子どもに、

「理解できている?」と聞かなくても、

子どもの様子を

リアルタイムで見ていれば、

計算の仕方をどの程度理解できたのかを

評価できます。

 

以下は、

実況中継の例です。

 

8 と 4 を、この順に示しながら、

「8×4=32」、

8 の真下を示して、

「ここ、2」、

「指、3」と実況中継すれば、

見て聞いている子どもは、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ と書いて、

指を 3 本伸ばします。

 

「そう」と受けてから、

8 と 3 を、この順に示しながら、

「8×3=24」、

子どもが伸ばしている 3 本の指を触ってから、

「この 3 を足す」、

「24+3=27」、

8 の真下を示して、

「ここ、27」と実況中継すれば、

見て聞いている子どもは、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:272\end{array}  }}\\ のように書きます。

 

このような実況中継を、

子どもに見せれば、

こちらは、計算問題だけではなくて、

子どもの様子もリアルタイムで見ています。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ と書く書き方や、

繰り上がり数 3 の指への取り方や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \:272\end{array}  }}\\ と書く書き方を、

リアルタイムで見ています。

 

同じような実況中継を、

2 ~ 3 問、見せれば、

リアルタイムで見ている

子どもの答えの書き方や、

繰り上がり数を指に取る取り方が、

モタモタから、

スラスラに変わるのが分かります。

 

スラスラに変わったら、

こちらの実況中継をやめて、

「これ、計算して」で、

子どもに計算させます。

 

自分で計算し始めると、

答えの書き方や、

繰り上がり数を指に取る取り方が、

少しモタモタしますが、

それでも計算できれば、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のようなかけ算の計算の仕方をつかんでいます。

 

計算できないときは、

できないところだけを、

こちらが代行して、

実況中継のように見せて教えます。

 

こうして、

子どもの様子をリアルタイムで見ながら、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  34 \\ \:\times  \:\:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のようなかけ算を

計算できるように育てます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -265)、(×÷  {\normalsize {α}} -063)

 

6+5= の数える計算の仕方の教え方を、詳しく説明します。言葉で説明する教え方と、こちらの計算を実況中継で見せる教え方の 2 つです。

6+5= の数える計算の仕方を、

教えます。

 

6 を見て、

次の 7 から、

+5 の 5 回、

7、8、9、10、11 と数える計算です。

 

普通は、

言葉で、

計算の仕方自体を説明します。

 

「これは、たし算の記号ですから、

左の 6 に、右の 5 を足します」、

「この 6 の次は、7 です」、

「7 から数えて計算します」、

「この 5 の回数、数えます」、

「7、8、9、10、11 です」、

「最後の 11 が、

たし算 6+5= の答えです」、

「6+5=11 と書きます」のような説明です。

 

このように説明して、

1 回の説明で、

6+5= の計算の仕方を理解させようとします。

 

だから、

ユックリと丁寧な話し方をします。

 

聞いている子どもの反応を見ながら、

理解されているかどうかを気にして、

ユックリと丁寧に話します。

 

1 分くらいは、

掛かってしまいます。

 

説明する前に、

子どもの気持ちを引き付けようとして、

「たし算の計算の仕方を説明します」、

「とても簡単です」、

「分かりやすいように話しますから、

最後まで聞いてください」のようにすると、

説明の時間が長くなります。

 

また、

説明の間に、

「ここまでは、分かりますか?」、

「分かりにくいところは聞いてください」のようにすると、

説明の時間が長くなります。

 

そして、

説明を終えてから、

「分かりましたか?」、

「分からないところがありますか?」、

「そこは、もう一度説明しますから」のようにすると、

さらに説明の時間が長くなります。

 

あるいは、

子どもとの対話型にすると、

もっと説明の時間が長くなります。

 

6+5= の + を示して、

「これは、何の記号?」や、

「この記号の計算は、何?」のような対話型です。

 

さて、

このような説明を聞いている子どもは、

6+5= の計算の仕方を、

話しを聞くことで理解しようとしています。

 

そして、

6 を見て、

次の 7 から、

+5 の 5 回、

7、8、9、10、11 と数える計算の

全体を理解できたとき、

「分かった」となります。

 

このような教え方と違って、

普通ではなくて、

マイナーな教え方があります。

 

こちらの計算を、

実況中継で説明しながら見せる教え方です。

 

6+5= の 6 を示して、

「ろく」と声に出して読み、

5 を示してから、

「7、8、9、10、11」と声に出して数えて、

= の右を示して、

「じゅういち(11)」と実況中継する教え方です。

 

見て聞いていた子は、

6+5=11 と書きます。

 

こちらの計算を見せますから、

テキパキとした速さです。

 

ユックリと丁寧な実況中継を見せると、

全体の計算の仕方を、

見て聞いている子どもが、

捉えられなくなります。

 

1 問の実況中継は、

5 秒程度です。

 

5 秒あれば、

何を見て、

何をして、

6+5= を計算しているのかを、

実況中継できます。

 

そして、

1 回の実況中継を見せれば、

計算の仕方をつかんでいますが、

「えっ、何をしているの?」、

「どのようにしているの?」のようになるのが普通です。

 

だから、

「そうか!」、

「そうするのか!」と子どもがなるまで、

個人差に見合うだけの問題数を、

3 ~ 4 問や、

7 ~ 8 問と

実況中継を繰り返します。

 

1 問が、5 秒程度ですから、

8 問でも、40 秒程度です。

 

「そうか、こっちを読むのだ」や、

「なるほど、6 の次から数えるのだ」や、

「数える回数が、これだ」のように、

計算の一部分ずつ

「分かった」となるような理解です。

 

1 問目の 5 秒程度の後、

子どもが、

6+5=11 と書きますから、

実況中継を見て聞いているだけではなくて、

最初から参加しています。

 

なお、

こちらの計算を実況中継で見せるだけの教え方ですから、

言葉で説明していませんから、

子どもが使える力だけの計算にします。

 

6+5= の 6 を見ることができます。

「ろく」と読むことができます。

5 を見ることができます。

「7、8、9、10、11」と数えることができます。

= の右を見ることができます。

音:「じゅういち(11)」と聞いて、11 と書くことができます。

 

すべて、

子どものできることだけで計算しています。

 

(基本  {\normalsize {α}} -264)、(+-  {\normalsize {α}} -168)

 

たし算 5+3= の計算の仕方を、言葉で説明して理解させても、こちらの計算の実況中継を、同じようにまねさせても、どちらでも、子どもは計算できるようになります。

5+3= のようなたし算の

計算の仕方を教えます。

 

5+3= の + の左の 5 を見て、

次の 6 から、

+ の右の 3 回、

6、7、8 と数える計算の仕方を教えます。

 

「入れる学び」の「入れ方」指導の

教え方があります。

 

5+3= の + を示して、

「これは、たし算の記号で、

足す、と読みます」、

5 を示して、

「+ の左の数字を読みます」、

「ご、です」、

「ご(5)の次のろく(6)から」と教えてから、

3 を示して、

「この数の分だけ、数えます」、

「さんですから、3 回数えます」、

「数えると、6、7、8 です」、

「数え終えた 8 が、たし算の答えです」、

「5+3=8 のように書きます」のように教えます。

 

たし算の意味ではなくて、

計算の仕方そのものを説明する教え方です。

 

このような説明を聞いている子が習うのは、

実は、

こちらの説明を取り込むことです。

 

こちらの説明を取り込み(入れて)、

理解することを習っています。

 

説明を聞いて、

「なるほど」と理解することを、

子どもは習っています。

 

ここでの説明で理解できること、

つまり、理解の対象が、

たし算の計算の仕方です。

 

少し違う教え方があります。

「出す学び」の「出し方」リードの教え方です。

 

ほとんど見ることのない、

マイナーな教え方です。

 

こちらの計算を実況中継で見せるだけの教え方です。

 

5+3= の 5 を示して、

「ご」と声に出して読み、

3 を示して、

「ろく、しち、はち」と数えて、

= の右を示して、

「はち(8)」と、計算の実況中継を見せます。

 

5+3= のたし算の

計算の仕方そのものを見せています。

 

子どもが、

見ているのは、

こちらが計算して答えを出していることです。

 

「あぁやって計算して、

答えを出すのか」のように受け取ります。

 

答えの出し方を見ていますから、

同じようにまねできれば、

子どもは、

たし算を計算できます。

 

見て聞いて、

同じようにまねする力を、

生まれながら持っているようですから、

見て、まねすることを習っているのではなくて、

すでに持っている力を使うだけです。

 

見て、まねする対象が、

たし算の計算の仕方です。

 

余談ですが、

見て、まねする対象が、

母国語の会話能力であれば、

母国語を聞いて話すことをまねします。

 

二足歩行が対象であれば、

立って歩くことをまねします。

 

乳幼児が、

生まれたときに

すでに持っている力です。

 

さて、

言葉で説明されて、

計算の仕方を理解できたら、

計算できるようになります。

 

あるいは、

こちらの計算の実況中継を見て、

同じようにまねできれば、

やはり、

計算できるようになります。

 

こちらのしていることを、

子どもは、

「なんだ、そういうことか!」、

「それならばできるよ」と思えるのは、

計算を実況中継で見せる教え方です。

 

言葉で説明する教え方を、

「そのような説明ならば、

私もできるよ」と、

子どもは思わないはずです。

 

でも、

説明を理解できれば、

たし算を計算することはできます。

 

つまり、

同じような説明をできるようにはなりませんが、

たし算を計算することはできます。

 

説明を聞いて、理解するとは、

こういうことです。

 

善し悪しではなくて、

「入れる学び」の「入れ方」指導と、

「出す学び」の「出し方」リードのどちらで教えても、

子どもは、計算できるようになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -263)、(+-  {\normalsize {α}} -168)

 {\scriptsize {参照:蔵一二三、「計算の教えない教え方 たし算ひき算」(2018)。アマゾン}}

計算の教えない教え方 たし算ひき算―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て

 

分数のひき算で、引けなくて止まっている子です。「どうようにできたら、計算できる?」をガイドに、「引かれる数を大きくできたら、引ける」と考えて、子どもに教えます。

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}= のようなひき算を、

 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= まで計算して止まります。

 

通分は、

ひき算でもできます。

 

続きを教えて、

計算を進めて、

答えを出します。

 

 {\Large\frac{2}{8}} の 1 を、

 {\Large\frac{8}{8}} に変えて、

 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{8}{8}} {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{10}{8}} と変えることを教えます。

 

こちらは、

子どもの力を推測するとき、

教え方を選ぶとき、

「どのようにできたら、計算できる?」を、

ガイドにします。

 

この子ができている通分、

 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= を、

「どのようにできたら、計算できる?」で見ることで、

この子の力を推測します。

 

こうするために、

この子が、

計算問題 1 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}= を見て、

「どのようにできたら、計算できる?」と考えたと仮定します。

 

この子は、

「通分して、

同じ分母にそろえたら、

分子同士のひき算になる」のようなことを

考えているはずです。

 

そして、

同じ分母を探しています。

 

この子の知っている探し方は、

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}= の 2 つの分母の、

大きい方の 8 を、

小さい方の 4 で割ることです。

 

8÷4=2 で割り切れますから、

大きい方の 8 が、

共通分母になります。

 

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}= の分母を、

8 にそろえるのですから、

引く数  {\Large\frac{3}{8}} は、そのままで、

引かれる数 1 {\Large\frac{1}{4}} の分母を、

8 にします。

 

分数 1 {\Large\frac{1}{4}} の分母を、

8 にするために、

4 に、2 を掛けます。

 

なお、

この子は、

分数 1 {\Large\frac{1}{4}} の分母と分子に、

同じ数を掛けていいことを知っています。

 

分母に 2 を掛けて、8 にしていますから、

分子にも 2 を掛けて、

1×2=2 になります。

 

このように考えるとはなく考えて、

この子は、

 {\Large\frac{1}{4}}=1 {\Large\frac{2}{8}} に変えて、

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}=1 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= と通分しています。

 

さて、

これだけの力を持っている子が、

 {\Large\frac{1}{4}} {\Large\frac{3}{8}}=1 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= まで計算して止まっています。

 

ここでまた、

「どのようにできたら、計算できる?」と、

この子が考えたと仮定します。

 

すると、

「1 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= の引かれる数 2 が、

引く数 3 よりも小さいから、

ひき算をできない」、

「引かれる数 2 を、

引く数 3 よりも大きくすれば、

ひき算できるようになる」のようなことを

考えているはずです。

 

こちらが勝手に、

子どもが、

考えるとはなく考えていることを、

このように推測することが大事です。

 

「できないようだから教える」としますと、

子どもの心のネガティブな部分を見ています。

 

「引かれる数を大きくして、

ひき算ができるようにする」と、

子どもが考えていると仮定すれば、

子どもの心のポジティブな部分を見ています。

 

そして、

子どもは、

自分の心のポジティブな部分を見てくれる人が好きで、

その人と信頼関係を築こうとします。

 

このように、

子どものことを推測して、

 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= の 2 を大きくする計算の仕方を教えます。

 

 {\Large\frac{2}{8}} の 1 を示して、

「この 1 は、 {\Large\frac{1}{1}} 」と教えてから、

 {\Large\frac{2}{8}} の 1 と、 {\Large\frac{2}{8}} の間の隙間を示して、

「ここ、+ だから、

1+ {\Large\frac{2}{8}} で、

 {\Large\frac{1}{1}} {\Large\frac{2}{8}} 」と、余白に書いて教えます。

 

続けて、

「 8 に通分するから、

 {\Large\frac{1}{1}} は、 {\Large\frac{8}{8}} になり、

 {\Large\frac{8}{8}} {\Large\frac{2}{8}}= 」まで教えます。

 

ここまで教えれば、

余白に書いた  {\Large\frac{8}{8}} {\Large\frac{2}{8}}= を、

子どもは計算して、

 {\Large\frac{8}{8}} {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{10}{8}} にします。

 

これで、

 {\Large\frac{2}{8}} {\Large\frac{3}{8}}= の 2 が、

3 よりも大きくなったので、

ひき算できます。

 

子どもは、

「あっ、そうか!」、

「これで、引ける」となるようです。

 

「どのようにできたら、計算できる?」は、

計算で困ったときに、

計算を導くガイドになります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -262)、(分数  {\normalsize {α}} -081)