(+2)×(+3)=+6、
(+2)×(-3)=-6、
(-2)×(+3)=-6、
(-2)×(-3)=+6。
この4つの見本を、
正しい計算(公理)と認めます。
すると、
正負の数のかけ算を計算できます。
4つの見本を正しい(公理)と認める理由は、
正負の数のかけ算を計算できるからです。
本当に正しい(公理)かどうかではなくて、
正しい(公理)と認めれば、
正負の数のかけ算を計算できます。
都合がいいのです。
数学流の作法は、
これだけのことです。
4つの見本を利用して、
計算してみます。
(-8)×(-5)= の計算は、
4番目の (-2)×(-3)=+6 と
同じ形です。
「-」が、×の左の数にも、
右の数にも付いています。
(-2)×(-3)=+6 と
同じように計算します。
2と3を掛けて、
その答え6に、「+」を付けるだけの計算です。
(-8)×(-5)= の8と5を掛けると、
答え40です。
これに「+」を付ければ、+40 です。
(-8)×(-5)=+40 と計算できます。
正しい(公理)と認めた4つの見本を利用して、
正負の数のかけ算を計算する作法は、
数学の作法です。
どれと同じ形なのかを選び出します。
同じようにまねして計算します。
これで、ほとんどの
正負の数のかけ算を計算できます。
少し細かいことですが、
(-2)×0=0 のような計算も、
加えれば、より良くなります。
正しい(公理)と認めた4つの計算を、
証明ではなくて、
「なるほど」と解釈することができます。
その1つです。
(-2)×1 は、(-2)が1つですから、
(-2)×1=-2 です。
(-2)×0 は、(-2)がありませんから、
(-2)×0=0 です。
これが普通のかけ算の解釈です。
でも、
(-2)×(-1) は、(-2)が(-1)こです。
「?」です。
少し工夫します。
3つの計算を並べます。
(-2)×1=-2、
(-2)×0=0、
(-2)×(-1)=? です。
掛ける数が、1から0に、1減ると、
答えは、-2から0に、2増えています。
この規則から、
掛ける数が、0から(-1)に、1減ると、
答えは2増えるはずです。
もっともらしい考え方です。
掛ける数が0の答え0よりも、
2増えるのですから、
(-2)×(-1)=+2 となるはずです。
このような解釈です。
「なるほど」となるための解釈です。
もう少し込み入った
別の解釈もあります。
東に進むのをプラス(+)、
西に進むのをマイナス(-)とします。
今から未来の時間をプラス(+)、
過去の時間をマイナス(-)とします。
西に、時速2㎞で進みます。
西向きですから、-2㎞の時速です。
今から、
3時間前(過去)にどこにいたのかを
計算します。
過去の時間ですから、
-3時間です。
進んだ距離は、
時速×時間です。
(-2)×(-3) を計算します。
西向きに進み、
今より過去の時間にいたところは、
東のどこかです。
今よりも東ですから、
プラス(+)の距離になります。
このように込み入った解釈から、
(-2)×(-3)=+6 となります。
あくまでも「なるほど」となるためです。
4つの見本を正しい(公理)と認めれば、
「なるほど」とはなりませんが、
計算できてしまいます。
私見ですが、
産業の時代が終わり、
知識時代に活躍する今の子どもが学ぶには、
4つの見本を正しい(公理)と認めて、
正負の数のかけ算を計算する数学流の流儀が、
自由な発想を育てますから
有利なようです。
(基本 -030)、(×÷ -019)、(分数 -007)