九九から音が消えて、4×3= を見たら、瞬時に答え 12 が浮かぶ子が、4×0=4 と勘違いしていたら、4×0=0 と正しにくい勘違いです。

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline952\end{array}  }}\\ と計算する子です。

 

4×3=12 の 2 を、

正しい位置に書いています。

 

次の計算を、

4×0=4 として、

繰り上がり数 1 を足して、

5 を正しい位置に書いています。

 

4×0=0 ですから、

繰り上がり数 1 を足して、

1 を書けば、

正しい位置に、正しい答えになります。

 

さらに次の計算、

4×2=8 に、

繰り上がり数 1 を足して、

9 を正しい位置に書いています。

 

4×2=8 のままの 8 を書けば、

正しい位置に、正しい答えになります。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline812\end{array}  }}\\ が、正しい計算です。

 

さて、

この子は、

九九の 1 つの段を、

6 秒で楽に唱えることができます。

 

このような速いスピードの九九になると、

子どもの九九から、

音が消えています。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の最初の計算、

4×3= は、

4 から、上の 3 を見た瞬間に、

九九の音(しさんじゅうに)を使わないのに、

答え 12 が浮かんでいます。

 

そして、

2 を、

4 の真下に書いて  {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\

1 を、

繰り上がり数として覚えます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ の 2 番目の計算、

4×0= は、

九九として覚えていません。

 

九九にはないことを意識すれば、

頭の中を探り、

「ゼロを掛けると、ゼロ」を思い出して、

4×0=0 と、

正しく計算できます。

 

でも、

この子は、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ の 4 から、0 を見たとき、

九九にはないことを意識しなかったようで、

4 の段の最初の答え、

4×1=4 を、

4×0= の答えとして、

もちろん、

九九の音を使わないで、

浮かべています。

 

こうして、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:\:\:\:\:2\end{array}  }}\\ の 4 から、0 を見たときに、

この子の心に浮かんだ 4 を、

2 番目の計算の答えとして、

受け入れてしまい、

覚えていた繰り上がり数 1 を足して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:\:\:52\end{array}  }}\\ と書きます。

 

でも、

心の片隅で、

何かおかしな計算をしていると感じているようです。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:\:\:52\end{array}  }}\\ の 3 番目の計算、

4 から、2 を見て、

心に浮かぶ答え 8 をそのまま書かないで、

足す必要のない繰り上がり数 1 を足して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline952\end{array}  }}\\ と書きます。

 

さて、

九九の感覚を持っている子の

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ のような計算は、

見ていて驚くような速さです。

 

何かを焦って、

せかせかと計算している速さではなくて、

落ち着いた速さです。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の 4 と、3 を、

下から上に見た瞬間に、

かけ算 4×3= の

答え 12 が浮かぶのですから、

とても落ち着いた計算でありながら

速いスピードで終わります。

 

九九の感覚を持つ前に、

たし算 7+8= を見たら、

答え 15 が浮かぶ感覚と、

ひき算 13-9= を見たら、

答え 4 が浮かぶ感覚を持っていますから、

算数の計算に自信を持っています。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline952\end{array}  }}\\ と間違えた計算に、

「×(バツ)」が付いたら、

何ということなしに、

自力で、正しく直そうとします。

 

算数の計算に、

自信を持っているからです。

 

そうですが、

4×2= のかけ算の答え 8 に、

繰り上がり数 1 を足したミスであれば、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline852\end{array}  }}\\ と直せるでしょうが、

九九の感覚のミス、

4×0= のかけ算の答えの

4 とするミスを、

0 と正すことは、

とても難しいようです。

 

九九の感覚の出した答え、

4×0=4 を疑うことをしないからです。

 

だから、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline952\end{array}  }}\\ を正しく直す計算を手伝います。

 

こちらの計算を実況中継で見せる教え方です。

 

正しく直してしまう「完全解答」を見せます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline952\end{array}  }}\\ の 4 と、3 をこの順に示して、

「じゅうに(12)」、

この子の答え 952 の 2 を示して、

「に(2)、合っている」、

「指、1」で、

子どもの指に繰り上がり数 1 を取ります。

 

続いて、

4 と、0 をこの順に示して、

「ゼロ(0)」、

子どもが指に取った繰り上がり数 1 を触って、

「いち(1)、足して、いち(1)」、

この子の答え 952 の 5 を示して、

「ここ、いち(1)」です。

 

見て、聞いていた子は、

答え 952 の 5 を消して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline912\end{array}  }}\\ と書き替えます。

 

これで、

こちらが見せている

速いスピードの「完全解答」から、

4×0=4 としてしまう九九の勘違いを、

4×0=0 と正します。

 

それから、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline912\end{array}  }}\\ の 4 と、2 をこの順に示して、

「はち(8)」、

「このまま」、

この子の答え 912 の 9 を示して、

「ここ、はち(8)」です。

 

見て、聞いていた子は、

答え 912 の 9 を消して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  \:203 \\ \:\times  \:\:\:\:\:\: 4 \\ \hline812\end{array}  }}\\ と書き替えます。

 

正しく直してしまう

こちらの「完全解答」を見た子は、

4×0=0 が、

印象に残ります。

 

(基本  {\normalsize {α}} -382)、(×÷  {\normalsize {α}} -088)