筆算のかけ算の計算で、繰り上がりのたし算を、先回りして待つことは、子どもが繰り返し計算する中で、自らつかむ以外に学ぶ方法がありません。

答えを出すことで

答えを出した子ども本人だけが

学ぶことができることがあります。

 

とても分かりにくいのですが、

例えば、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  15\\ \:\times  \:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のかけ算で、

2 回の九九の後、

繰り上がりのたし算に、

瞬時に切り替えることです。

 

計算して、

答えを出すことで、

答えを出した子どもは、

計算の種類を、

九九からたし算に、

瞬時に、

切り替えることができるようになります。

 

 

言葉で説明して教えることができることは、

計算の仕方です。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の仕方を、

4 から 9 を、下から上に見て、

4×9=36 と、

かけ算を計算して、

36 の 6 を、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \:\:\:6\end{array}  }}\\ のように書いて、

36 の 3 を繰り上がり数として覚えて、

次に、

4 から 2 を、下から左斜め上に見て、

4×2=8 と、

かけ算を計算して、

繰り上がり数 3 を、

8+3=11 と足して、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \times  \:\:\: 4 \\ \hline 116\end{array}  }}\\ のように書くことを、

言葉で説明して、

教えることができます。

 

言葉で教えることができることは、

このような計算の仕方までです。

 

 

計算には、

スピードがありますが、

望ましい計算のスピードを、

言葉で教えることはできません。

 

こちらの計算の実況中継を、

子どもに見せれば、

見ている子どもは、

計算のスピードを学ぶことができます。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の 4 と 9 を示して、

「4×9=36」、

4 の真下を示して、

「6」、

「指、3」のような

こちらの計算の実況中継を見せるとき、

こちらがスピードをコントロールできます。

 

4 と 9 を示すスピード、

「4×9=36」と話すスピード、

4 の真下を示すスピード、

「6」、

「指、3」と話すスピードを、

こちらは、速くすることも、

遅くすることもできます。

 

速くすれば、

速いスピードの計算を、

子どもに見せることができます。

 

一つの目安ですが、

4×9=36 を計算して、

6 を書く位置を示して、

繰り上がり数 3 を指に取らせるまでを、

5秒程度のスピードがお勧めです。

 

実は、

子どもは、

速い動作に反応します。

 

テキパキとした速い動作で、

5秒ほどで、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の最初の計算を見せられると、

子どもの目には、

心地よいスピードになります。

 

このように、

こちらの計算の実況中継を

程よい計算のスピードに注意して見せれば、

子どもに、

計算のスピードを教えることができます。

 

 

それでも、

2 回の九九、

4×9=36 と、

4×2=8 の後、

瞬時に、

たし算に切り替えて、

8+3=11 と計算することを、

見せることはできません。

 

もちろん、

瞬時に、

計算を、

たし算に切り替えることを、

言葉で教えることは不可能です。

 

でも、

こちらの計算の実況中継を見せて、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ を、

15秒ほどで、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \times  \:\:\: 4 \\ \hline 116\end{array}  }}\\ と、

子どもに書かせてしまうとき、

こちらは、

頭の中で、

2 回の九九の後、

瞬時に計算を切り替えて、

8+3=11 と計算しているのですが、

こちらが、

瞬時に計算を切り替えたことを、

子どもに見せようがありません。

 

実況中継で見せようにも、

実況中継できないのです。

 

こちらの頭の中で行われていることです。

 

ですから、

ここは、

子どもが、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  15\\ \:\times  \:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のようなかけ算を、

繰り返し計算して、

答えを出すことで、

自ら学ぶしかない部分です。

 

 

さて、

こちらが、

2 回の九九の後、

瞬時に計算を切り替えて、

繰り上がりのたし算を計算できるのは、

どうしてでしょうか?

 

筆算のかけ算に慣れてない子どもが、

瞬時に計算を切り替えて、

繰り上がりのたし算を計算できないのは、

どうしてでしょうか?

 

こちらは、

最初の計算で、

4×9=36 のように、

繰り上がりがあれば、

次の九九 4×2=8 の後、

繰り上がりのたし算 8+3=11 を

計算すると分かっていて、

たし算の計算を待ち伏せているからです。

 

つまり、

4×9=36 の計算から、

繰り上がり数 3 を覚えるとき、

繰り上がりのたし算があると、

先回りして待つからです。

 

このような

待ち伏せ」や、

「先回り」の繰り上がりのたし算のことを、

言葉の説明は無力ですし、

こちらの計算の実況中継を見せても、

こちらの頭の中で行われていることですから、

教えることができないのです。

 

繰り上がりのたし算を、

待ち伏せるようなことは、

子どもが、

自分でつかむしかないのです。

 

つまり、

子どもが、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ や、

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  15\\ \:\times  \:\:\: 8 \\ \hline \end{array}  }}\\ のようなかけ算を、

繰り返し計算することで、

自分自身を育てて、

つかむ以外に方法がないのです。

 

こちらは、

子どもが、

繰り上がりのたし算を

待ち伏せる自分を育てるために、

一定のスピードで、

筆算のかけ算を計算する

手伝いしかできないのです。

 

 

もうお気付きだと思いますが、

筆算のかけ算に慣れる前の子どもは、

繰り上がりのたし算を、

先回りではなくて、

後追いです。

 

 {\normalsize {  \begin{array}{rr}  29 \\ \:\times  \:\:\: 4 \\ \hline \end{array}  }}\\ の計算の手順を追うことに精一杯で、

計算の後追いですから、

後手に回っていて、

九九の後の

繰り上がりのたし算への切り替えが、

そうなったときにあわてるから、

遅れてしまいます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -477)、(×÷  {\normalsize {α}} -106)