四則混合の計算で、分数の+・-・×・÷ を区別できなくなるのが普通です。大混乱です。この「混沌」を、嫌々であっても、心に受け入れることは、計算の発達段階の一つです。

 {\Large\frac{1}{9}} {\Large\frac{1}{6}} )÷15 や、

 {\Large\frac{2}{3}}×4- {\Large\frac{2}{3}} のような四則混合で、

子どもが体験する大混乱は、

何日も、

何週も、

あるいは何か月も続く、

混乱している期間の長い「混沌」です。

 

子どもの個人差の大きなところです。

 

数日で、

「混沌」から抜け出る子もいれば、

数か月もの長い間、

「混沌」が続く子もいます。

 

分数の+・-・×・÷ の計算は、

似ているようにみえて、

少しずつ違います。

 

そして、

少しずつ違うことが、

子どもを大きく混乱させます。

 

例えば、

整数と分数の計算は、

+・-・×・÷ で少しずつ違います。

 

たし算でしたら、

2+ {\Large\frac{1}{4}}=2 {\Large\frac{1}{4}} や、

 {\Large\frac{1}{3}}+1=1 {\Large\frac{1}{3}} ですから、

整数を分数の前に付ければ、答えです。

 

実は、

帯分数です。

 

ひき算でしたら、

2- {\Large\frac{1}{4}}=1 {\Large\frac{4}{4}} {\Large\frac{1}{4}}=1 {\Large\frac{3}{4}} と、

 {\Large\frac{1}{5}}-2=2 {\Large\frac{1}{5}} ですから、

整数から分数を引くときと、

分数から整数を引くときとで、

計算の仕方がかなり違います。

 

もちろん、

ひき算は、

たし算と

計算の仕方が少し違います。

 

かけ算でしたら、

3× {\Large\frac{1}{6}} {\Large\frac{3}{1}}× {\Large\frac{1}{6}} \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{3}\end{matrix}\,}{1}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{1}{\begin{matrix}\cancel{6}\\2\end{matrix}\,}} {\Large\frac{1}{2}} と、

 {\Large\frac{1}{6}}×3= {\Large\frac{1}{6}}× {\Large\frac{3}{1}} \require{cancel}\displaystyle {\frac{1}{\begin{matrix}\cancel{6}\\2\end{matrix}\,}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{3}\end{matrix}\,}{1}} {\Large\frac{1}{2}} から、

整数と分数を掛けるときは、

整数を左から掛けても、

右から掛けても、

計算の仕方が似ていて、

答えは同じです。

 

でもかけ算は、

たし算やひき算と

かなり違う計算の仕方です。

 

わり算でしたら、

2÷ {\Large\frac{2}{3}} {\Large\frac{2}{1}}× {\Large\frac{3}{2}} \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{2}\end{matrix}\,}{1}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{3}{\begin{matrix}\cancel{2}\\1\end{matrix}\,}} {\Large\frac{3}{1}}=3 や、

 {\Large\frac{2}{3}}÷2= {\Large\frac{2}{3}}÷ {\Large\frac{2}{1}} {\Large\frac{2}{3}}× {\Large\frac{1}{2}} \require{cancel}\displaystyle {\frac{\begin{matrix}1\\\cancel{2}\end{matrix}\,}{3}}× \require{cancel}\displaystyle {\frac{1}{\begin{matrix}\cancel{2}\\1\end{matrix}\,}} {\Large\frac{1}{3}} から、

整数を分数で割るときと、

分数を整数で割るときとで、

計算の仕方が少し違います。

 

わり算は、

かけ算に変えてから計算しますから、

似ているようで、少し違います。

 

このように、

整数と分数の +・-・×・÷ の計算で、

これだけ違うのですから、

この計算の違いを、

四則混合の中で、

別けて使えるように育つまで、

子どもの大きな混乱が続きます。

 

もちろん、

子どもが望んでいることではないのですが、

この大きな混乱を、

心に受け入れなければ、

四則混合を計算できるようにならないのです。

 

避けて通ることのできない

回り道のない試練です。

 

つまり、

「サッパリ分からない」、

「何が何だか区別できない」、

「難しすぎる」のような気持のまま

四則混合を計算し続けます。

 

このような「混沌」を、

嫌々であっても、

心に受け入れて、

四則混合を計算し続ける態度は、

算数・数学の計算の発達段階の一つです。

 

(基本  {\normalsize {α}} -227)、(分数  {\normalsize {α}} -075)