上から下を引けなければ、1 を付けて、引けるようにします。そして、左隣を、1 減らします。これだけの計算です。

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ - \:\:\:\: 26 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ - \: 158 \\ \hline \end{array} }} \\ のひき算で、

ひどく混乱しています。

 

混乱してしまい、

何が何だか分からなくなり、

パニックを起こしたような状態です。

 

このような子を目の前にして、

こちらは、

慌てないように自制して、

深い冷静さを保ちます。

 

そして、

「この子は、計算できるようになる」と、

先に信じてしまいます。

 

さらに、

この子をリードする前に、

自分の内面に言い聞かせます。

 

百の位から借りるひき算は、

この子が、自力でつかむしかないことと、

パニック状態から抜け出ることが、

この子に自信を持たせることを、

自分に言い聞かせてから、

この子をリードします。

 

もちろん、

計算の仕方を何回でも、

この子が納得するまで教えます。

 

でも、

計算は、

この子が自力でする作業です。

 

「こうすれば、正しく計算できます」と、教えて、

この子を、

「なるほど、そういう風に計算するのですね」と、

納得させることはできますが、

この子が自力で計算するとき、

「なるほど」と納得したように

計算できるかどうかは、

この子次第なのです。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ - \:\:\:\: 26 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ - \: 158 \\ \hline \end{array} }} \\ のひき算は、

「なるほど」と納得したように、

計算しようとしても、

そのように計算することが難しいのです。

 

こうなる理由は、

百の位から 1 を借りる説明が、

長くて、

そして、込み入っているからです。

 

だから、

ひどく混乱して、

パニック状態になります。

 

しかも、

パニック状態になるような計算は、

この子には、

とても大きな試練です。

 

そして、

人は誰も、

大きな試練を乗り越えたとき、

大きく育ちます。

 

試練が大変であればあるほど、

乗り越えたときの育ちは大きいのです。

 

つまり、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ - \:\:\:\: 26 \\ \hline \end{array} }} \\ や、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ - \: 158 \\ \hline \end{array} }} \\ のひき算で、

パニック状態になっているこの子が、

こちらの手助けを受けながら、

でも、

パニックから抜け出るのは、

この子しかできないことですから、

自分が自分を育てることになって、

パニック状態から抜け出た後、

大きく育ちます。

 

さて、

お勧めの教え方は、

百の位から 1 を借りるのではなくて、

いつも左隣から 1 を借りる教え方です。

 

そして、

こちらの計算を実況中継で見せる教え方です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ - \:\:\:\: 26 \\ \hline \end{array} }} \\ の 3 と 6 をこの順に示しながら、

「3-6、引けない」、

「13-6=7」です。

 

このリードで、

子どもは、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ -\:\:\:\: 26\\ \hline \:\:\:\:7\end{array} }} \\ と書きます。

 

このリードのように、

引けなければ、

引けるようにします。

 

「1 を借りて」は、

手段です。

 

どのようなやり方であっても、

引けるようにすることが、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ - \:\:\:\: 26 \\ \hline \end{array} }} \\ の一の位のひき算の目的です。

 

その手段の一つが、

「1 を借りる」です。

 

繰り返しますが、

「借りる」のではなくて、

「引けるようにする」のです。

 

「1 を借りる」でも、

「1 を付ける」でも構いません。

 

つまり、

「3」を、

「13」にすれば、

「6」を引くことができます。

 

ただ、これだけの話です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ -\:\:\:\: 26\\ \hline \:\:\:\:7\end{array} }} \\ の続きは、

0 を示して、

「これ、1 減って、9」です。

 

3 を、13 にしていますから、

左隣が、1 減ります。

 

でも、

0 から、

1 減らすことはできません。

 

これは、

「3」を、「13」にしたのと同じようにできます。

 

「0」を、「10」にするだけです。

 

10 から、

1 減ると、9 です。

 

この計算を、

0 を示して、

「これ、1 減って、9」と実況中継しています。

 

0 を示して、

「これ、1 減らせない」、

「10 にする」、

「10 から、1 減って、9」と、

回りくどい実況中継もできます。

 

子どもに親切なように感じますが、

回りくどすぎると、

子どもは使えなくなります。

 

0 を示して、

「これ、1 減って、9」のように単純にすれば、

子どもが、自力でひき算を計算するとき、

使うことができます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ -\:\:\:\: 26\\ \hline \:\:\:\:7\end{array} }} \\ の 0 が、

9 になることを教えてから、

「9-2=7」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ -\:\:\:\: 26\\ \hline \:\:77\end{array} }} \\ と書きます。

 

この続きは、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ -\:\:\:\: 26\\ \hline \:\:77\end{array} }} \\ の 203 の 2 を示して、

「1 減って、1」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:203 \\ -\:\:\:\: 26\\ \hline 177\end{array} }} \\ と書きます。

 

百の位から 1 を借りる説明ではなくても、

このように計算できます。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ - \: 158 \\ \hline \end{array} }} \\ も、同じような教え方をします。

 

左隣から、

「1 を借りる」と説明しないで、

引けるようにしてしまう計算です。

 

こちらの計算を実況中継で見せる教え方です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ - \: 158 \\ \hline \end{array} }} \\ の 3 と 8 をこの順に示しながら、

「3-8、引けない」、

「13-8=5」です。

 

見て聞いていた子どもは、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ -\: 158\\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\ と書きます。

 

続いて、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ -\: 158\\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\ の 0 を示して、

「これ、1 減って、9」です。

 

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ -\: 158\\ \hline \:\:\:\:5\end{array} }} \\ の 0 が、

9 になることを教えてから、

「9-5=4」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ -\: 158\\ \hline \:\:45\end{array} }} \\ と書きます。

 

そして、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ -\: 158\\ \hline \:\:45\end{array} }} \\ の 403 の 4 を示して、

「1 減って、3」、

「3-1=2」です。

 

見て聞いていた子は、

 {\normalsize { \begin{array}{rr} \:\:\:\:403 \\ -\: 158\\ \hline 245\end{array} }} \\ と書きます。

 

普通の説明は、

十の位から、1 を借りられないので、

百の位から、1 を借ります。

 

こうしても説明できますが、

長くて、そして、

とても難しい説明になります。

 

引けなければ、1 を付けるだけにして、

1 を付けたら、

その左隣が、1 減ると説明すれば、

百の位から借りなくていいことになります。

 

そのような単純な説明でも、

子どもを大きく混乱させるひき算です。

 

(基本  {\normalsize {α}} -280)、(+-  {\normalsize {α}} -180)