因数分解は、因数を探しやすい視点があります。実況中継を見せて、子どもに視点を盗ませます。

因数分解

問題を見る視点を盗ませます。

 

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}=(2xy+y)(2xy-y) と、

解いている子です。

 

因数分解は、

出すことのできる共通因数を、

すべて出します。

 

こういうルールですから、

(2xy+y)(2xy-y) を答えにしているこの子は、

間違えています。

 

まだ、

y を出すことができるからです。

 

(2xy+y)(2xy-y) の

左のかっこは、

(2xy+y)=y(2x+1) と、

右のかっこは、

(2xy-y)=y(2x-1) と、

どちらも、y を出すことができます。

 

ですから、

(2xy+y)(2xy-y)=

y(2x+1)y(2x-1)=

 {\normalsize {y^{2}}}(2x+1)(2x-1) とすれば、

正しい答えになります。

 

因数分解が途中までですから、

間違えていますが、

力のある子です。

 

問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の形を、

「(2乗)-(2乗)」と見ることができて、

公式を正しく使って、

因数分解できています。

 

このような

力のある子です。

 

問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の形の

この子の見方とは少し違いますが、

でも、効果的な見方を、

この子に教えます。

 

この子は、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の形を、

「(2乗)-(2乗)」と見ています。

 

式を見る視点が、

少し遠いのです。

 

もう少し視点を近くすれば、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} の2つの項、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}}}」と、

 {\normalsize {y^{2}}}」のどちらにも、

 {\normalsize {y^{2}}}」があることが見えます。

 

これが見えれば、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}

 {\normalsize {y^{2}(4x^{2}-1)}} と、

因数分解できることに気付きます。

 

そして、

この子の視点よりも、

少し近い視点を保って、

 {\normalsize {y^{2}(4x^{2}-1)}} を見ると、

 {\normalsize {(4x^{2}-1)}} から、

「(2乗)-(2乗)」が見えます。

 

理屈はこうなっていますが、

こちらが、

この子の視点よりも、

少しだけ手前の視点から、

問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= を見ていると、

言葉で教えても、

この子は理解できないでしょう。

 

視点の違いを見せることも、

言葉で伝えることも難しいので、

因数分解を解く実況中継を見せることで代用します。

 

因数分解の仕方を教えているのではなくて、

実況中継を見る子が、

因数を発見し易い視点を、

盗むことを期待しています。

 

だから、

問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の

どこを見て、

どのように因数分解しているのかを

実況中継します。

 

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の - の

左と右の「 {\normalsize {y^{2}}}」を順に示しながら、

「これと、これ、ここ」と言いながら、

= の右を示します。

 

見て聞いている子は、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の 2 つの「 {\normalsize {y^{2}}}」を、

順に見ることで、

視点が、自然に、

問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= に近くなります。

 

そして、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} と書きます。

 

続いて、こちらは、

「かっこ」と言って、

子どもが、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}}( と書くように促します。

 

そして、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}}( の

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}}} の「 {\normalsize {4x^{2}}}」を示して、

「これ」です。

 

見て聞いている子どもは、

視点を近い位置に固定したまま、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} {\normalsize {4x^{2}}} です。

 

次は、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} {\normalsize {4x^{2}}} の - を示して、

「これ」とリードすれば、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} {\normalsize {4x^{2}}}- です。

 

それから、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} {\normalsize {4x^{2}}}- の

元の問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の

- の右の  {\normalsize {y^{2}}} を示して、

「いち(1)」、

「かっこ」とリードすれば、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} {\normalsize {4x^{2}}}-1) です。

 

ここまでリードしたら、

 {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}} {\normalsize {y^{2}}} {\normalsize {4x^{2}}}-1) の

 {\normalsize {4x^{2}}}-1) の - を示して、

「できる?」です。

 

この子は、

この続きを因数分解できますから、

「うん」や、

「分かった」となります。

 

問題  {\normalsize {4x^{2}y^{2}-y^{2}}}= の中の

2 つの「 {\normalsize {y^{2}}}」が

浮かんで見える視点があります。

 

視点の位置は感覚ですが、

このような実況中継で、

視点の位置を盗ませれば、

子どもは感覚をつかみます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -294)、(分数  {\normalsize {α}} -093)

 {\scriptsize {参照:蔵一二三、「計算の教えない教え方 基本」(2017)。アマゾン}}

計算の教えない教え方 基本―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て