「整数-分数」は、忘れなくなるまで、忘れては思い出すことを繰り返します。まったく何も思い出せない計算です。それでも、子どもには、じつにさまざまな選択肢が残されています。「選択肢が残されていること」は教えることの難しいことですが、その1つの工夫を紹介します。

四則混合 (2- {\Large\frac{5}{6}} )÷ {\Large\frac{7}{8}}= の

1番目の計算 2- {\Large\frac{5}{6}} は、

まったく忘れてしまって、

何一つできなくなることが、

よく起こる計算です。

 

このような場合、

「できない」や、

「分からない」と感じて、

ただジッと座ったままになる子が、

不思議なことに多いのです。

 

何らかの金縛りにあったように、

動けなくなりジッとしているだけになります。

 

 

実は、

「できない」や、

「分からない」と感じることも、

ただジッと座ったままになることも、

この子が選んだ選択肢の一つです。

 

もちろんこの子は、

自分が選んで、

そして、そうしている・・・なんて、

少しも思っていません。

 

が、

無意識であっても、

この子が選んでしていることであることだけは、

事実です。

 

つまり、

他にも、

選ぼうとすれば、

選べることがあるからです。

 

 

例えばですが、

「教えてくれそうな誰かに聞く」ことです。

 

この子が選ぼうと思えば、

選ぶことができます。

 

そして聞くことにしたら、

聞き方も選択肢になります。

 

ただ、

「分からない」と聞くことができます。

 

問題 (2- {\Large\frac{5}{6}} )÷ {\Large\frac{7}{8}}= の

2- {\Large\frac{5}{6}} を示して、

「ここ、どうやるの?」と聞くことができます。

 

自分の行動を、

自分が選ぶことができることに、

気が付いた子は、

アレコレと選ぶことを楽しむようになるはずです。

 

 

でも、

自分の行動を自分で選ぶことができる力を、

子どもに教えることは、

とても難しいことです。

 

この問題 (2- {\Large\frac{5}{6}} )÷ {\Large\frac{7}{8}}= の

2- {\Large\frac{5}{6}} の計算に睨まれて、

ただジッとしている子に、

以下のようなリードをすれば、

他にも選ぶことができることに、

気付かせることができる可能性があります。

 

 

この問題 (2- {\Large\frac{5}{6}} )÷ {\Large\frac{7}{8}}= の

2- {\Large\frac{5}{6}} を示して、

「引ける?」と聞きます。

 

こちらが聞いた内容を、

この子は理解できないでしょうが、

それでも、

「引けない」と答えてくれます。

 

子どもの答え「引けない」は、

「やり方が分からない」に近いはずですが、

「引けない」と答えてくれます。

 

ですから、

2- {\Large\frac{5}{6}} の 2 を示して、

「引けるようにする!」、

「どうする?」と、

子どもに重ねて聞きます。

 

アレコレとさまざまな選択肢があることを、

このように示すことで、

「選ぶことができること」に、

漠然とであっても気付くことを期待しています。

 

でも、

「どうする?」に答えられずに、

無言です。

 

計算の仕方を教えるのではなくて、

選択肢の幅が広いことを示唆したいのですから、

子どもを待ちません。

 

「いち(1)、借りる」と教えてしまいます。

これも、選択肢です。

 

そして、

子どもに重ねて、

「 1 を、どうする?」と聞きます。

 

やはり、無言です。

同じ理由で、待ちません。

 

「下、ろく(6)」とリードして、

「上は?」と聞きます。

 

これも、

選択肢です。

 

この子は、ここで、

「分かった」となり、

「6!」と答えます。

 

この後も同じようなリードで手伝い、

2- {\Large\frac{5}{6}}

 {\Large\frac{6}{6}} {\Large\frac{5}{6}}= まで進むと、

「もう、分かった」、

「できる」となりますから、

続く計算をこの子に任せます。

 

 

このようにして、

多くの選択肢を、

短時間に、

次々とこの子への質問の形で

示して考えさせるから、

選択肢の多さに気付く可能性を

こちらは期待できます。

 

(基本  {\normalsize {α}} -728)、(分数  {\normalsize {α}} -315)