自分が演じる物語を子どもは持っています。

「えっ、あの子が!」と

ビックリするくらい大きく

変わることがあります。

 

心の中の自分の物語を

書き換えたからです。

 

人は、

自分が演じる物語を書きながら、

主人公を演じています。

 

ほとんど意識してはいませんが、

自作自演で、

人生を生きています。

 

こうなっています。

 

子どもも、

同じです。

 

家族の中の自分や、

学校生活での自分の物語を、

自分が書いて、

そして演じています。

 

算数のテストの点数が悪かったことや、

先生の問いに答えられなかったことが、

「算数のできない子」の物語を

無意識ですが、

書き始めるキッカケになります。

 

もちろん、

「算数のできる子」の物語を

無意識で書くキッカケもあります。

 

ですが、

算数の困ったことが

アレコレと続けて起こると、

「算数のできない子」の物語の方が、

この子の心の中で

勝ってしまいます。

 

すると、

「算数のできない子」の物語に、

やはり無意識ですが、

新しい材料を書き加えて、

物語が大きく育ち始めます。

 

とても上手に

主人公を演じます。

 

8+4 のたし算で、

「はち」としてから、

指を使って、

「く、じゅう、じゅういち、じゅうに」と、

モタモタと計算します。

 

ユックリと

ダラダラと

答え12を書いて、

8+4=12 と計算しています。

 

たくさんの

ミスをします。

 

何回も集中を切らせて、

ボーっとします。

 

このような子に、

「算数のできる子」という

別の物語を新たに書かせて、

主人公を演じさせます。

 

どのようにしたら、

こうできるのでしょうか?

 

物語を書くのは、

子どもの内面の心の中ですし、

無意識に行うことですから、

外からリードできません。

 

「算数のできない子」を演じている子に、

半ば強引にリードして、

リードしているときだけ、

「算数のできる子」を

演じさせてしまいます。

 

「算数のできない子」を

一時的に忘れて、

「算数のできる子」を

演じてくれます。

 

10秒や

20秒でしたら、

「算数できる子」を、

リードに従って

演じてくれます。

 

7+4 の計算に

割り込んでしまいます。

 

素早い動作で、

7を示して、

「しち」と読んでから、

「はち、く、じゅう、じゅういち」と、

子どもと同じ計算を使って、

指で数えます。

 

そして、

7+4=11 と、

子どもに書かせて、

1問、計算してしまいます。

 

同じように計算をリードして、

10秒~20秒で

3~4問を計算してしまいます。

 

子どもは、

「算数のできる子」を

演じてくれます。

 

普通、

今までの物語のままに、

今までと同じ主人公を

演じます。

 

でも、

10秒~20秒でしたら、

今までの物語:「算数のできない子」と違う、

新しい物語:「算数のできる子」を

演じてくれます。

 

こちらが

半ば強引に子どもをリードして、

たし算を速く計算させて、

「分からん!」ではなくて

「どうやるの?」と言い直させます。

 

「算数のできる子」を

演じてくれます。

 

指で

モタモタとダラダラと計算し、

たくさんミスをし、

「分かりません!」を連発している子が、

「算数のできない子」を

短時間中断して、

「算数のできる子」を

演じてくれます。

 

10秒~20秒のリードを繰り返し、

「算数のできる子」を

演じさせます。

 

すると子どもは、

「算数のできる子」の新しい物語を。

「算数のできない子」の代わりに、

心の中に持ち始めます。

 

参照:

蔵一二三、「計算の教えない教え方 基本」(2017)。

アマゾン。

計算の教えない教え方 基本―たかが計算 されど算数の根っこ そして人育て