「目の前の計算に、
持てる力を精一杯に使って、
夢中になるとは、
どのようにすることなのか?」は、
教えることの難しい対象です。
計算の仕方ではなくて、
分かっている計算に、
スラスラとできる計算に、
夢中になることを教えます。
切れている集中を計算に戻すことではなくて、
夢中になって計算することに戻します。
間違えた計算を、
間違えているから直すのではなくて、
もう一度、夢中になって計算することを教えます。
言葉で説明することが、
できないことはないでしょうが、
とても難しいテーマです。
ですから、
持てる力を精一杯に使って、
夢中になって計算することを
体験させることで教えるようにします。
さまざまな計算で例示します。
たし算の指が取れた子の
たし算を夢中にさせるリードです。
6+8=、4+6=、9+5=、7+5=、8+8=、
4+8=、6+5=、7+9=、8+5=、4+4=、
5+7=、8+7=、9+6=、4+7=、5+6=、
8+4=、7+7=、5+4=、8+6=、7+8=、
5+5=、7+6=、9+8=、7+4=、6+7=。
このようなたし算 25 問を、
20秒以下になるようなリードです。
6+8= の+を示して、
「じゅうし(14)」と、
小声で、号令をかけるように言って、
6+8=14 と書き始めるのを待たないで、
次の 4+6= の+を示して、
「じゅう(10)」、
4+6=10 と書き始めるのを待たないで、
次の 9+5= の+を示して、
「じゅうし(14)」・・・。
子どもの動きを待ちません。
次々に、+を示して、
答えだけを、小声で言います。
たし算の指が取れている子ですから、
たし算に自信を持っています。
自分でも答えが浮かびます。
この子が、
こちらのリードのスピードに
付いてくるのがやっとにします。
持っている鉛筆に汗をかくようになれば、
夢中になっています。
別の例です。
スラスラと言えるようになった7の段の九九を、
6秒で言えるように練習させます。
「しちいちがしち」、
「しちにじゅうし」、
「しちさんにじゅういち」・・・。
ストップウォッチを子どもに持たせ、
自分で時間を測らせて、
「6秒だよ!」と指示します。
笑顔で、
期待を込めて言います。
でも、
7の段を、6秒で言いきることは、
とても難しいのです。
顔を真っ赤にして、
夢中になって、
「しちいちがしち」、
「しちにじゅうし」・・・と練習します。
もう一つ、別の例です。
分数の四則混合で、
先に計算順を決めさせます。
① カッコの中、
② ×・÷、
③ +・- が、計算順を決めるルールです。
子どもが、
計算順を決めることに慣れたら、
「もっと速く」、
「遅い、もっと速く」と要求します。
(3-)÷(1-) や、
1×÷- や、
( 3+2 )÷-( 4+1 ) の計算順を、
子どもは夢中になって決めます。
このようにして、
持てる力を精一杯に使って、
夢中になって計算することを
体験させます。
(基本 -231)、(+- -145)、
(×÷ -055)、(分数 -077)